中田英寿、パリのビスポークアトリエを訪れる(トライオン・1)|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョンロブ
中田英寿、ジョンロブのビスポークとともに、職人と世界を巡る旅
パリのビスポークアトリエで“トライオン”(1)
舞台は東京からパリへ ―― パリの中心部、モガドー32番地にあるジョンロブのビスポークアトリエで、中田英寿さんのビスポークの“トライオンシューズ”のフィッティング(仮縫い)が行われた。日本でのメジャーメントから約2カ月。通常のビスポークよりかなり早いタイミングだが、中田さんの「ぜひ、パリのビスポークアトリエが見てみたい」という希望とスケジュールを調整することで実現した。
Text by MATSUNAGA MaikoPhotographs by MATSUNAGA Manabu
立っている状態と歩いた状態を丹念にチェックする
日本でのビスポークのオーダーは紐靴(レースアップ)がほぼ9割だという。それは、高い靴=レースアップという固定観念がまだ強いからだが、今回、中田さんは独自の視点でローファーを選んだ。「紐靴はいろいろな形やデザインがあるけれど、ローファーは一つ! 一生ものの靴を作るならこれ!」── 中田さんとジョンロブのマスターラストメーカーのフランソワ・マドニーニ氏がパリで再会した。
トライオンの進め方だが、まずフィッティングに沿って作成された仮縫い状態のトライオンシューズを履き、立っている状態、歩いた状態、ゆっくりと歩く、もう少し早く歩く、もう一度今度はもっと早く歩くをつづける。フランソワが中田さんに指示を出し、丁寧にフィッティング状態をチェックする。
「トライオン用の革はできあがりとちがう部分を使っているから、本物のときはもう少し重くなるそうですが、これはとても軽いですね」というのが中田さんの第一の感想。
ライニング(内側の芯)を薄くして柔らかい履き心地の靴を作ることもビスポークではできるが、丈夫ではない。しかし、履き心地はとてもいい。
「柔らかい素材の靴は、サイズがアジャストしていなくてもなんとなく履けますが、かちっとした靴は自分の足の形に合っていないと痛くなるからこそ、ビスポークでは芯地のしっかりとしたものがいいと思う」と中田さん。
シューズを脱いでフランソワがトライオンシューズをカットする
フィッティング状態をチェックし終わると、シューズを脱いでもらいフランソワがトライオンシューズをカットしだした。
なぜカットするのかと尋ねると、「大きかったり、骨が当たったりした部分が靴の中でどうなっているかを確認するためだ」という。このフィッティングを経て木型(ラスト)が完成すれば、それをベースに革を変えたり色を変えてオーダーすることができる。しかし、紐靴やブーツとなると、またちがった木型を作らなければならないそうだ。
さらに、カットした状態の靴を再度履いてもらい、もう一度フィッティングをチェックする。カットしたローファーを履いて中田さんは、「これだけを見ると、ジョンロブのあたらしいサンダルスタイルだね」と笑う。
今までにこうしたフィッティングをしたことはありますかと聞くと、「僕は今回が初めて」と答え、さらなるリクエストを聞くフランソワに、「ステッチは黒に」と注文。履いた状態をデジカメで撮影して、トライオンは終了した。
中田英寿、パリ・ジョンロブのビスポークアトリエを訪れる(トライオン・2)へつづく
ジョンロブ「ビスポーク」
価格|99万3600円~(税込)
※同一ラストでの2足目以降は89万1000円
期間|メジャーメントから約4カ月でトライオン(仮縫い)、さらに約4カ月後に納品
ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp