JOHN LOBB|最高のジョンロブの一足ができあがるまで(4)
JOHN LOBB|ジョンロブ
製造ラインを増設したファクトリーを完全取材~釣り込みから完成へ~
最高の一足ができあがるまで(4)
靴作りの工程でもっとも語られる半面、また理解しづらいプロセスでもある“ラスティング=釣り込み”。詳細は下記の本文に譲るが、今回撮影した写真からも、ジョンロブの代名詞であるグッドイヤーウェルト製法の最大の特徴“中物”と呼ばれるコルクの存在や、ソール付けの工程、フィニッシングのこだわりなどを感じてもらえるはずだ。全部で190の工程があるとされるジョンロブの既製靴。その靴作りへのこだわりと歴史を改めて感じた。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by ARAKI Ryuji
乾燥にかける時間が、履き心地に直結する
前回、スティフナーを乾かすために丸1日をかけたが、ここからが製造セクションでの2日目だ。
グッドイヤーウェルト製法の重要な部品であるウェルトを“すくい縫い”で縫いつけ、中底裏にできたリブ(つまみ)に囲まれたスペースに、中物となるコルクを敷き詰める。コルクは濡れた状態で、乾いて固まるまで、また一晩寝かせる。
中底と表底とのあいだに緩衝材として入れるコルクは、グッドイヤーウェルト製法で作る靴の履き心地の良さに直結する。靴を履き込むほどに足裏の形になぞるように変形し、“沈む”ことで、フィット感が高まっていく。
3日目は、底付けの第三段階
中物のコルクが乾いたら、表底を貼りつける。そして、ひとまわり大きい表底の張り出した部分を切り取ってから、表底と細革を縫い合わせる“出し縫い=溝起こし”をおこなう。
ソール用の革を濡らして、その状態でステッチをかける。これはビスポークを作っているパリの工房とまったくおなじだという。「機械縫いだが、譲れない工程」だと担当者は説明する。
上質な革は撥水性も高い。木型に乗せて乾かすと、フルグレインの革のソールは形を覚えていく。
いよいよ完成へ
ソールが乾いて仕上がったら、ヒールの取り付け。担当者は一足一足に微調整をくわえ、ヒールカップを削りながら取り付けをおこなう。木型を抜いたら、靴のコバ面を整形し、靴の見栄えを仕上げていく。
最後のフィニッシングセクションでは、さらに細かい調整をおこないながら、ハンドポリッシュでクリームを塗って、検品。おなじみの黄色の箱に詰められて、世界へ送り出されるのだ。
「お客さまの手に渡り、実際に履いてアッパーは足の形なりに変わっていきますが、つま先の形状は出荷時の形のまま、変わってほしくない。ですから、つま先は相当硬く作られています」と、ジョンロブのアイコンである、鏡面のようになったつま先を、さらに愛おしむように磨いていたのが、印象的だった。
ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp