MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエルが語る最新メンズコレクション
FASHION / MEN
2015年1月16日

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエルが語る最新メンズコレクション

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル

~マーガレット・ハウエルが語る、2014年春夏コレクションとこれから~

直観から生み出されていく居心地の良い服(1)

マーガレットさんがOPENERSに登場するのは、2010年秋冬コレクション時以来、約3年ぶり。マーガレット・ハウエルのプレスルームで出迎えてくれた彼女は、にこやかに語りはじめた。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by SUZUKI Shimpei (INTERVIEW)

自分がオープンでいるからこそ、直観を信じられる

――2014年春夏メンズコレクションのインスピレーションを教えてください。

コレクションのインスピレーションについて一つのことを特定するのは難しいです。私はデザインを始めたときから変わらず一貫した哲学をもちつづけています。
私は何かのテーマのために、コレクションを作るということはありません。ただ一つ言えるのは、使いたい素材や色、スタイリングのシルエットなどに対する“直観”を感じます。その直観と出合えるのは、いつも自分がオープンでいることだと思っています。美術展や写真展へ行ったり、いろんなことからインスパイアされています。

――昨年の春夏シーズンは「Light Feeling(ライトフィーリング)」というキーワードでしたが、今シーズンは逆に打ち込みの効いたしっかりした素材感なども多く見受けましたが、その変化は?

メンズでは、テーパードの効いた細身のトラウザーズでの着こなしが主流になっていますが、今シーズンはワイドシルエットのトラウザーズもトピックスです。私は異なったものが共存していいと思って、コレクションで発表しました。しっかりと素材感のあるワイドトラウザーズはぜひ注目してください。春夏シーズンでは軽さやエアリー感は大事ですが、タフなコットンはアピールしていきたいですね。

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル 01

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル 02

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル 03

――マーガレットさんにとって、素材はやはり大切ですか。

素材は重要で大好きです。正しい素材をきちんとセレクトしないと、いくら良いシルエットがあっても、素敵な服は生まれません。
メンズもウィメンズも共通ですが、マーガレット・ハウエルの服を皆さんが着てくれるのは、素材がシルエットにマッチして快適さを楽しんでくれるからだと思っています。たとえば、今シーズン登場するリネン100%のニットは、麻独特のドライな雰囲気をもちながら、触り心地も良いし、見た目にとてもきれいで気に入っています。

――メンズのデザインやスタイリングなどで一番気を遣っているところは?

答えはすべてです。たとえば、私たち作り手がヴィンテージの服に魅力を感じてそれをそのままコピーしてもそこに意味はありません。その服から何かを解釈して、今日のクリエイションに落とし込んで、成功したときにキャラクター(特徴)のある服になっていきます。
また、着て快適で、カジュアルでリラックスできることが一番かというと、そうとも限りません。インディゴのコットンなど、丈夫で長持ちするのと同時に、着ていくうちに素材が柔らかくなり、着つづけることで、そのひとなりに変化していくのも、服の大切な要素の一つです。

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル

~マーガレット・ハウエルが語る、2014年春夏コレクションとこれから~

直観から生み出されていく居心地の良い服(2)

私たちのクリエイションのストーリーを伝えたい

――現在、ロンドンファッションウィークのメンズコレクションに参加していますが、参加のきっかけは?

ロンドンファッションウィークに参加するまでは、パリで展示会方式で見せていましたが、やはり、ひとに着せて動きを見せることは大切なので、ロンドンのショップにランウェイを設けてスタートしました。
マーガレット・ハウエルのクリエイションは、ランウェイ向きではないと思いますが、メディアの方を通して、私たちがどんなクリエイションをしたのかを正しく見て欲しいと思ったからです。

――ロンドンのショップより大きい会場を望まれないのですか?

我々のメンズコレクションはリアルクローズなので、自分たちのショップの規模ぐらいが伝えたいことを見てもらうのに適していると思います。

――ランウェイでは、見せることは意識しますか?

とくに創作にかんしては変化はありません。ただ、私たちにとってチャレンジなところもあるし、楽しいこととして臨んでいるので、今後もつづけていく予定です。今回の春夏コレクションでは日本人モデルも起用していますが、我々のクロージングを着ていただくひとは世界中にいるので、モデルの国籍は関係なく、体格や歩き方が服にマッチすれば、またそれも我々のキャラクターだと捉えています。

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル 04

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル 05

MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル 06

――今シーズンのルック(コーディネイト)で、とくに気に入っているものを3つ挙げてください。

そうですね。ではまず上左のニットのコーディネイトを一つ。これは英国のハンドメイドニットブランド「マリオンフォール」とのコラボニットで、マリオンフォール独特の染色と編みの技法から生まれる“ガンジーニット”はとても価値あるものです。
上中の着こなしは、ルーズなシルエットがうまくまとまっているところが好きですね。上右もおなじく今シーズンらしいシルエットが気に入っています。

――コレクションを発表することでの利点は?

私たちはハイファッションでグラマーなファッションワールドではないけれど、マーガレット・ハウエルのクリエイションのストーリーを伝えたいということですね。

――洋服に限らず、今一番気になるモノは?

そうですね、マーガレット・ハウエルのショップにあるものは全部好きです。「マーガレット・ハウエル プラス」でも取り上げたプロダクトデザイナーのケネス・グランジ、工業デザイナーのロバート・ウェルシュ がデザインしたカトラリー、アーコールの家具やデスクランプのアングルポイズ……、ファッションに限らず、アートや建築に目を向けることから、私たちとおなじデザインバリューをもつモノをストックして、ショップで見せることで、私たちが今どんな視点をもっているかを理解していただけるでしょう。
また、イギリスのモノをセレクトしていることで、ショップに一体感があることも感じていただけるはずです。

――多くの女性がマーガレットさんの「暮らし方」に憧れを抱いていますが、毎日を快適に暮らすポイントを教えてください。

個人的にモノを捨てることが好きではないので、特別に気に入っているものは大事に、長く、そして少しだけ所有することでしょう。また、屋外で過ごすこと、エクササイズなどをして健康でいること、建築やアートシーンなどに興味をもち、展覧会に出かけること、そうやってシンプルでいること。そういうところも女性が憧れてくれる暮らし方の一つなのかもしれません。

――日本には定期的にいらっしゃっていますが、日本の気に入っていることは?

日本の食事は大好きです。とくにお米が好きで、ロンドンでも日本米を買って食べています。あと、日本の伝統的な建築はシンプルで実用性を極めていて好きですね。そして、人びとの気遣いと丁寧さ。日本に来るたびに助けてくれて感謝しています。

※価格はすべて税抜価格(2014年1月現在)

アングローバル
Tel. 03-5467-7874
http://www.margarethowell.jp

           
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