祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.37 香取慎吾さん
FASHION / MEN
2019年4月2日

祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.37 香取慎吾さん

Page. 1

今回のゲストは、祐真編集大魔王とともに「JANTJE_ONTEMBAAR(ヤンチェ_オンテンバール)」のディレクションを手掛ける、タレント・アーティストの香取慎吾さん。ローンチしたばかりの2019年春夏コレクションや、今後お店で取り組みたいことについて語り合います。

Interview by SUKEZANE TomokiPhotographs by MAEDA AkiraText by ANDO Sara (OPENERS)

2シーズン目となる春夏のヤンチェ_オンテンバール、その見どころは?

祐真朋樹・編集大魔王(以下、祐真) ヤンチェ_オンテンバールをスタートして2シーズン目。今回慎吾さんが一番納得のいく仕上がりになったものはなんですか?

香取慎吾さん(以下、香取) すべてに満足していますが、やはり靴ですね。服バカとしては、靴って、ついついたくさん買ってしまうもののひとつじゃないですか。

祐真 オシャレは足元からっていいますからね。

香取 なので、靴を作ることができたのは大きいです。それからメンズのインナーですね。前回、作り忘れてしまいましたから(笑)。

祐真 インナーがないために、撮影した時にすべてコートの前を閉めるはめになってしまいました(笑)。

香取 でも今回はシャツを始め、いろいろとバリエーションが増えました。それから、作り忘れでいうと、前回はMINEDENIM(マインデニム)のスリムパンツを僕のサイズで作り忘れました(笑)。

祐真 穿くものががなかったという(笑)。それが今回、あがってきましたね。Borsalino(ボルサリーノ)の帽子もさらに充実しました。

香取 前回一緒にやらせていただいた実績もあり、今回の春夏コレクションはぐっと幅を広げることができて嬉しいです。

ASICSTIGER

Borsalino

祐真 そして、やっぱり靴ですかね。今回、初めてASICSTIGER(アシックスタイガー)とスニーカーを作りましたが、クリエイティブチームが素晴らしかった。前回もSANYO COAT(サンヨーコート)やマインデニムなど、作り手の方たちの顔を見ることができましたが、今回のアシックスほどテンポ良くクリエイションが進んだことはなかったと思います。

香取 実際、全体で話したのって2時間ぐらいでしたよね。絵に描いたり画像やサンプルを探したりして、こんな感じはどうでしょう、ってあっという間に形にしてくれて。せっかくだから箱も作りましょうって言ってもらえて、えっ!こんなこともできるんですか?って驚きの連続でした。

祐真 箱にも慎吾さんの絵が使われて、世界観が反映されていますね。

香取 僕、基本的に靴の箱は捨てちゃう派なんです。でも捨てられない箱もあるじゃないですか。これがまさにそう。

祐真 これは捨てられないですね。

香取 今回の箱は、僕も困ります(笑)。自分のブランドじゃなくても捨てられない。なかなかないと思うんですよ。今まで、何百足って靴を買ってきていますが、こんな箱はどこを探してもないと思う。

祐真 素晴らしい仕上がりです。今回、アシックスがあって、ボルサリーノがあって、マインデニムがあって、サンヨーにSTAIR(ステア)とami alexandre mattiussi(アミ アレクサンドル マテュッシ)があって。あとは、wei(ウェイ)ですね。

MINEDENIM

wei

香取 特にレディスのスカートを可愛らしく作りたかったので、僕のアートをのせて春夏らしいものができあがりました。ウェストがゴムになっていて着やすいはず。好みのTシャツに合わせてもらえると嬉しいですね。それからサングラスも自信作です。

祐真 鯖江製のメイドインジャパンです。

香取 自分でもこれだけサングラスをしてくると、かけた瞬間にわかるものですよね。あ、これはいいサングラスだって。というわけで、ウェイではスカートと一緒にサングラスも作ることができました。

祐真 今回で一通り、ワンブランドコーディネートが完成しつつありますね。ヤンチェ_オンテンバールの春夏は、一段と店も楽しくなりそうです。

wei

香取 そうですね。ショップの内装も変える予定ですし、飾ってある本や写真集なんかも入れ替えます。

Page02. 二人に共通する買い物の極意とは?

Page. 2

二人に共通する買い物の極意とは?

祐真 前回、お店に並べた本はどのようなイメージがあったんですか?

香取 実は特になくて。僕、CHANEL(シャネル)やSAINT LAURENT(サンローラン)なんかの写真集を山のように持っていて、本当はすべて並べてみたかったのですが、ヤンチェ_オンテンバールはセレクトショップではなく、パーマネントポップアップショップじゃないですか。だから、装飾としてなら成立するかなと思いつつ、普通のお店では置かないか、と葛藤して結局置かなかった。僕たちのブランドとしてヤンチェ_オンテンバールをやっているのに、ほかのブランドのものを置くのは不自然かなと。

祐真 好きなものとして持っているわけだし、慎吾さんの世界観として置いてもいいんじゃない?バンビの隣にシャネルの写真集があっても面白い気もする。

香取 次は一冊ぐらい何か混ぜてみてもいいかもしれないですね。

祐真 どういう感じになるか楽しみです。ところで、好きなフォトグラファーはいますか?

香取 いまヤンチェ_オンテンバールにも一冊写真集を飾ってあるのですが、ウィリアム・クラインが好きです。

祐真 巨匠ですね。

香取 僕は自分で絵を描くこともあって、人の絵や写真を買うことや飾ることって一切なかったんですよ。でも先日初めてウィリアム・クラインのニューヨークの風景の写真と、メイクルームにいる女の子たちの写真を買いました。

祐真 可愛いよね、モノクロで。1994年頃にフランスのモード写真フェスティバルに招待されたことがあるんですよ。その時の特別審査員長がウィリアム・クラインでした。みんなで食事をする会があって、ウィリアム・クラインは全てのテーブルにチャーミングに挨拶してまわっていてカッコよかった。素敵な人でした。

香取 すごい!そんな素敵なウィリアム・クラインの作品を初めて買いました。唯一、自分の写真じゃないものが家に飾ってあります。

祐真 いいですね。それはどこで見て買おうと思ったの?

香取 ギャラリーのようなお店で売っていたのを即決でした。僕、洋服もそうだけど買うと決めるとはやいんです。その写真も、突然買いました。スケさんは買い物をする時、どうですか?

祐真 僕も恐ろしくはやいですね。しかも大体予定していない時だったりする。計画的な買い物はほぼないですね。欲しいと思ったら、一回店を出てもすぐ戻ります(笑)。

香取 わかります、わかります。

祐真 あんまり長いこと迷っていると、途中で気が変わっちゃう。衝動的に「これ欲しい」と思うことが多いかな。慎吾さんは、試着しなくても買うと決めていることはある?

香取 あります。頭の中であれは絶対に買うって決めて。

祐真 試着してもやめてしまうことは?

香取 それもあります。昔は、サイズが合わないけど買っちゃおうっていうのがよくあったけど、最近はしなくなりました。

祐真 結局着ないからね。サイズの合わない服ってカッコよくならないから。でも今はルーズなコートを含め、ビッグシルエットが増えてます。この冬は僕も50のコートなんかを着てましたけど、それぐらいかな。やっぱり袖が長いとかはだめだよね。

Page03. アートと音楽とファッションは密接につながっている

Page. 3

アートと音楽とファッションは密接につながっている

香取 オーバーサイズ、今本当に流行ってますよね。

祐真 主流になっていますね。慎吾さんは昔からオーバーサイズ好きだよね。

香取 トレンドに乗ってると思われたくないって気持ちはあるけど、僕はずっと好きで着てきましたから。そんな僕からしたら、まさかこんな時代が来るとは思っていなかったです(笑)。

祐真 思わなかったよね。そうだよね、長年オーバーサイズ着てきたもんね。確かに慎吾ちゃんのパツパツは見ないですね。ところで、最近面白いと思うお店はありましたか?

香取 面白いお店……。答えにならないかもしれませんが、やはり、去年パリで初めて個展をやらせてもらった時、設営のためにルーブルに通う中で、本当にコレットがなくてびっくりしました。それまで当たり前にあったから、実感がわかなくて。

祐真 コレットがなくなって、サントノレ通りのあの周辺の雰囲気が一気に寂しくなったというか、ファッション性がなくなったというか。コレットの真向かいにカフェがあるけど、客層が一掃しましたね。ファッション関係の人がいなくなっちゃった。というわけで、驚きの店はないということですか?

香取 やっぱり、ヤンチェ_オンテンバールですかね。スケさんと僕が居心地の良い、遊びに行きたいと思えるショップを作ってみたら、あまりに人が来てくれちゃって、ほぼ行けていないんですけど(笑)。もうちょっとぷらっと気軽に行こうと思ってたら、想像以上にお客さんが入ってくれているみたいで。

祐真 そうですね。僕はわりと行くようにしていて、近くに行くと必ず寄るんですよ。今は少し落ち着いたかな。冷静にお店を見渡しながら、あぁ、いい店だなってつくづく思ったり(笑)。

香取 僕もそう思います(笑)。

祐真 なんといってもロケーションがいいなと改めて感じます。慎吾さんは、今後お店でやりたいことはありますか?今は服を売っていますが、それ以外に何かイメージしていることは?

香取 何かイベントがあってもいいのかなと思っています。若いアーティストの子たちを集めて、みんなの作品を販売する「NAKAMA de ART」をお店でも開催したいですね。ヤンチェ_オンテンバールが品薄の時にはアートを飾るとか。

祐真 いいアイデアですね。ファッションショーをやるのはどうですか?

香取 ショー!いいですね。

祐真 お店でやっても面白いけど、狭すぎますか。やるなら大きくやったほうがいいよね。やっぱり、ファッションショーがないと面白くないんですよね。

香取 ショーだったら任せてください!

祐真 そうでした。慎吾ちゃんは、エンターテイナーとしてキャリアがありますから。ファッションショーにはもっとエンターテインメントがなくちゃ。

香取 そうですね。こうやってファッションもアートも絵の個展もやらせてもらえるようになって、よくそれぞれの違いを聞かれることが多いんですが、僕の中では全て一緒。今までやってきたことも何一つ変わらないんですよね。

祐真 それがヤンチェ_オンテンバールの面白いところ。

香取 アートと音楽とファッションは密接につながっているから。それこそ、ファッションショーのショーだって、ショービジネスのショーと変わらないでしょ?だとしたら、ステージに30年以上立たせてもらっている、僕の馴染みの深いエンターテインメントの世界とも変わらないって思う。

祐真 ぜひそういったものが複合したものをやってみたいですね。

香取 いきなり大きなことじゃなくても、ね。これからもよろしくお願いします。

祐真  こちらこそ、よろしくお願いします。

問い合わせ先

PPP SHOP JANTJE_ONTEMBAAR

〒100-0011 東京都千代田区内幸町1丁目1−1 帝国ホテルプラザ1F

03-6812-7106(営業時間 11:00〜19:00)

http://j-o.tokyo/

           
Photo Gallery