一枚革のあらたなる美意識｜JOHN LOBB
JOHN LOBB｜ジョン ロブ
シングルモンクを纏った新作「COAST」が登場
職人の技と造形美が醸し出す、現代的エレガンス
大人になるにつれ、嗜好はさまざまに変化する。そのなかで見えてくるものは、華美な装飾ではなく、シンプルな美しさに秘められた、モノがもつ本質。デコラティブなものよりも、シンプルで美しく、エレガントなものを手に入れたい。そういう大人のための靴が今シーズンのプレステージラインの新作「COAST」だ。
Photographs by KOBAYASHI Takashi（ITARU Studio）Text by ITO Yuji （OPENERS）
ストイックな華やぎをもつ、シングルモンク
シンプルな靴というと、真っ先に思い浮かぶのがホールカットのプレーントゥだろう。一枚革でつくられるその構成は製法もシンプルになる分、素材や技術力が如実に表れる靴ともいえる。つまり、クオリティに自信のあるブランドだけが手掛けることのできるデザインでもあるのだ。
一方で、靴のデザインのなかでも比較的要素の多いものがモンクストラップシューズ。近年ではダブルモンクが人気を集めているが、よりクラシカルな佇まいを望むなら、シングルモンクにも注目したい。
“モンク”というのは、修道士を意味する言葉。そこからうかがえるように、ヨーロッパアルプス地域の修道士が、当時履いていたサンダルが原型となっているという。その歴史もあってか、どことなく禁欲的なストイックさを感じられるのも、モンクストラップの特徴ともいえる。
クラシカルな顔立ちに軽やかなエッセンスを
前述の通り、モンクストラップにはシングルとダブルがあり、それぞれに趣は異なる。ダブルモンクが昨今のカジュアルなスーツスタイルにマッチするのに対し、シングルモンクはよりエレガントな着こなしにもマッチする。
そのような、クラシカルなコーディネートにふさわしいのが、今季ジョンロブがリリースするプレステージラインのうちの一足「COAST（コースト）」である。「7000」ラストを用いて、すっきりとした表情に仕上げられたデザインは、一枚革でシームレスという特徴をもつ。
これが意味するのは、ジョン ロブにとって、この靴は自信の集積であるということ。その技術力の高さにくわえ、汚れや傷にも強いクシュベルカーフを採用して、リアリティをもたせているのも特徴のひとつ。これらの組み合わせによって、上質なものを大事に飾っておくのではなく、いい靴こそ、その履き心地を堪能すべし、というジョン ロブの思いが伝わってくる。
またストラップ位置もサイドに流れるようなデザインとなっており、今回あらたにデザインされたスクエアのバックルが、さらなるエレガンスを際立たせている。ホールカットのプレーントゥの美しさや、木型、素材、ほど良いサイズのバックルなどによって、モダンに仕立てられた「コースト」は、重厚なだけではない新時代のドレスアップが似合う一足といえる。
「COAST（コースト）」
価格｜29万1600円（シューツリー込）
木型｜7000
色/素材｜Black,Navy/Courchevel Calf
製法｜グッドイヤーウェルト製法
ソール｜シングルレザーソール
サイズ｜5E～9.5E
