バリーの2012年春夏コレクションのシューズ|BALLY
BALLY|バリー
2012年春夏のシューズコレクションを一挙公開
靴づくりからはじまり、前進しつづけるバリーのいま
プレタポルテが話題となったり、現代アーティストやセントマーティンズの学生とコラボレーションするなど、さまざまな方面で注目を浴びているバリー。だがその原点となるものはというと、そう、やはり「靴」なのである。ここではブランドの原点とも言える「靴」に焦点を当てていきたい。
Photographs by JAMANDFIXText by NAKAMURA Akiko (OPENERS)
バリーと靴、その熱い関係のはじまり
19世紀の半ば、あるひとりの男がパリを訪れる。スイスのシェーネンヴェルトからやって来たカール・フランツ・バリーだ。見るものすべてが活気に溢れていたそのころのパリ。そのなかでも彼を惹き付けたのは、妻のためにと買い求めた、美しい装飾をほどこした女性用の靴。シェーネンヴェルトに戻った彼は、父親から譲り受けたゴム製リボンとシルク製造業を活かし、靴づくりの技術を開発。それはたちまち町の人びとのあいだで評判となり、広がっていった――。
今年161年めを迎えるバリーの長い物語は、靴からはじまる。現在もスイスを代表するラグジュアリーレザーブランドであり、バッグやその他のレザーアクセサリーはもちろん、プレタポルテラインにまでその領域を広げているが、“原点は?”と問われると、やはり「靴」なのである。
では、それだけ長い歴史を誇るブランドが、いまなおトップを走りつづけていられるのはなぜだろうか。それはやはり、技術革新や素材の開発、モダンなデザインへのアップデイトなど、前進をつづけてきたことにある。バリーのシューズには、ブランドが長いあいだいかに靴に対して情熱を傾けてきたのかということがわかるような、さまざまな工夫が凝らされている。ほんの一部ではあるけれど、それをここでご紹介したい。
ドレスシューズからサンダルまで、
貫かれる美学
まず、バリーの最高級のメンズ ドレスシューズ・ライン「SCRIBE(スクリーブ)」。創業者C.F.バリーの孫息子マックス・バリーが、パリのカシュピーヌ通りにある「オテル・スクリブ」に宿泊したさいにインスピレーションを受けたことから名付けられたというコレクションである。そこで目にした国際色豊かな宿泊客たちが醸し出すエレガンス。「スクリーブ」はそんなライフスタイルをもつ男性にこそふさわしいシューズラインだ。
2010年よりメイド・トゥ・オーダーもはじまっており、自分だけの一足をパーソナルオーダーすることができる。素材はいずれも最高品質のものだけを使用。そして200もの段階があるグッドイヤー・ウェルト製法を、熟練の職人たちがすべて手仕事でつくり上げていく。
その「スクリーブ」をさらに進化させたのが「スクリーブ・レジェ」。おなじ製法で作られながら、素材などの工夫で、より軽く履きやすくなっているラインだ。靴底は基本的にラバーが使われるが、一枚レザーを挟み込んでファッション性を出しているところに、バリーのこだわりが感じられる。
これからの季節はデッキシューズも見逃せない。今季バリーから登場したのは、白のフロントに鮮やかな色づかいをほどこしたもの。バリー・ストライプや「B」のモチーフなど、ところどころにあしらわれたブランドアイコンも、デザインのポイントになっている。
ウィメンズからはまず、2011年に登場した「Bally-Rina(バリーリーナ)」。2010年よりクリエイティブディレクターを務めるグラエム・フィドラーとマイケル・ヘルツによるあたらしいコレクションで、遊び心とモダニティとリラックス感が絶妙にミックスされたフラットシューズのラインだ。触ると驚くほど柔らかいラムレザーが使用され、包み込むような履き心地。まるでルームシューズのように足にフィットするのも特長。赤×白のバリー・ストライプがフロントのリボンデザインに取り入れられているのも可愛いポイントだ。
つづいては、バリーのシューズラインナップのなかでも鉄板的な人気を誇るパンプスのシリーズ。バリーのパンプスの歴史は“パディーニ”というスリッパに近いような形からスタートした。いまではさまざまなデザインのものを揃えるが、インソールが靴の中心あたりまでほどこされたスタイルフレックス製法が用いられていたり、前半分にはウレタンが仕込まれているなど、その履き心地は保証付き。また、シューズの裏側を見ても、ソールからヒールまで一枚革があしらわれており、歩く後ろ姿の美しさまで計算されている。
ときにはデザインで思い切りポップに遊ぶのも楽しい。1950年代のアーカイブからインスピレーションを得たというラインは、リボンやあや取りがモチーフ。この春夏トライしたい、50年代ふうな着こなしにもばっちりはまることは間違いない。紐が複雑に編まれていることで、履いたときに安定感があるのもうれしい。リボンタイプ以外は各型一色のみというのも、選ぶ楽しさがある。
そして、夏には欠かせないのがマリン。ここで紹介するのはウェッジソールのシリーズで、ヒールの部分を真後ろから見ると、下に向かって細くなっていくフォルムが美しい。足もとからネイビー×白のカラーリングで、涼しさをアピールしたい。ヒールの高さも3cm、7cm、10.5cmと、バリエーションも豊富。
創業当時から「靴」に向けて注がれつづけてきたバリーの情熱。技術の革新、受け継がれてきた職人たちの熟練の手仕事、そしてつねに進化しつづけるモダンな感性。バリーと靴の熱い関係は、これからも目が離せないものとなりそうだ。
バリー・ジャパン
Tel. 03-6215-6609