UNITED ARROWS|バイヤー特集|心が動かされる服
UNITED ARROWS|ユナイテッドアローズ
ユナイテッドアローズ バイヤー 内山省治氏
心が動かされる服
『ルミネ有楽町』ルミネ2の2階にメンズとウィメンズの複合店がオープンし、大盛況のユナイテッドアローズ。今回のバイヤー特集に登場いただくのは、メンズのメインバイヤーの内山省治氏。「今年の秋冬は、ハンドメイドや素材のもつあたたかさなど、人間味ある感じに好感がもてたのと、ディレクションのテーマである“スモールトレード=日常生活のなかで出会う制服(ユニフォーム)など自然なかっこよさ”に注目しました」と語る。
文=OPENERS写真=原恵美子
バイイングの基本は、自分の“かっこいい、欲しい”からはじまる直感
「シーズンのディレクションのテーマをベースに、ショーや展示会を見ながら、買い付けを修正していきますが、基本は自分の“かっこいい、欲しい”からはじまる直感。やはり心が動かされる服を買ってしまいます」と内山氏。そういうなかでも今シーズンとくに気になったのは、ベレー帽やパラブーツのチロリアンなど、必然的に生まれてきた伝統的なモノや、オーセンティックでトラッドマインド溢れるアイテム。そして、「ウミット・ベナンやエムズ ブラックのように、流行も気にしながら、デザイナーの趣味やアイデンティティが色濃く出ている服は、毎日の生活のなかで気分が上がって、気分よく過ごせるもの。そういうブランドにも注目してください」と語る。
Purchase01
「McRitchie」ジャケット
イタリアの繊細で丁寧なものづくりの意識が反映されている一着
イタリアのブランド「マックリッチ」は、昔はイギリスに存在していた会社らしいとも言われているブランド。イタリア人のオーナーに変わって以来、イギリスの生地を使いながら、繊細なモノづくりができるイタリアで生産しているが、バイヤー内山さんは新ブランドとしてとらえているという。
「シェットランドの縮絨(しゅくじゅう)は大好きな素材。イギリスの生地を使いながら、イタリアの技術で美しいシルエットに仕上がっていて、着てみて思ったのは、まさに“ありそうでなかった”一着。軽い着心地で、伸縮性のあるジャージの感覚も味わえる。真ちゅうを使ったボタンもおしゃれで、さらに大好きな赤と、いうことなし。
この冬を楽しむ着こなしなら、Scye(サイ)のデニムのつなぎに、シャツを着てタイドアップして、このジャケットをアウターとして着るコーディネイトをお薦めします」
McRitchieジャケット 5万4600円(ユナイテッドアローズ)
Purchase02
「Paraboot」別注シューズ
アッパーのステッチを黒で仕上げた、大人のチロリアンシューズ
内山さんはパラブーツが大好きで、今の若い世代にとっても“あらためていいな”と魅力を感じられるような、時代を超えた定番だという。
「パラブーツの“MORZINE(モジーン)”は、1940年代に誕生したといわれ、パラブーツのなかでも古くからあるモデルとして有名なチロリアンシューズ。今年注目している“あたたかみのある民族的なもの”そのもの。山岳地帯などで作業をする方々が履いていた靴として知られていますが、アッパーの革に厚みがあるため、革が重なりあうモカ部分は手作業で縫われています。実用性から生まれたデザインは現代に美しく、今回の別注は、アッパーのステッチを黒にしていて、大きく雰囲気が変わっています。スーツやジャケットと合わせてほしいですね」
Paraboot別注シューズ 6万3000円(ユナイテッドアローズ)
Purchase03
「CANADA GOOSE」別注ダウンベスト
大好きなスーツスタイルのために、ジャケットの上に着てカッコイイ一着
「僕はリップストップ素材のアルバータというモデルを愛用していますが、ダウンジャケットを着ると重ね着がしづらくなるのが寂しくて、今回、レイヤードが楽しめるようなカナダグースを提案しました。スーツジャケットと重ねて着てほしいですね。表面に極力ディテールが見えないような比翼仕立てで、中はダブルジップ仕様。素材はブランドを代表する素材のひとつ、アークテックにしています。トリコロールのワンポイントで、きれいさ、ポップさは残しながら、とても上品な仕上がりです。
ベージュ、ネイビー、ブラック、オリーブの4色展開です」
CANADA GOOSE別注ダウンベスト 4万6200円(ユナイテッドアローズ)
Purchase04
「Boinas Elosegui」バスクベレー
スペインのバスク地方のベレー
「今日僕がかぶっているのは、フレンチバスクのベレー。ベレー帽は冬の定番の帽子で大好きなんです。これは、昔からあるバスクベレーで、ボイナス エロセギのもの」という内山さん。
「ボイナス エロセギはスペイン バスク地方の世界最古のブランドとも言われ、別注するとさまざまな大きさのベレーをつくってくれますが、ただしサイズはワンサイズフィットオール。かぶっているうちにそのひとの頭のかたちやサイズに馴染んでいきます。僕も自分なりのかぶり方があって、均等にかぶらずに、ちょっとずらしてぐちゃぐちゃにかぶるのが好きですね。これは風も通さないし、雨も大丈夫。冬の出張時には欠かせません。この秋冬は、気分を上げてくれる服が多いので、ベレーもぜひ!」
Boinas Eloseguiバスクベレー 9975円(ユナイテッドアローズ)
Purchase05
「Scye」の別注マント
ドレープのあるコート? 肩が収まるのでとても着心地の軽いマント
昨年ウィメンズのコレクションに登場して、カッコイイなと思っていたマントが、今年はメンズのエクスクルーシブとして登場した。
「歴史あるオーセンティックでトラッドなアイテムですが、このマントは、サイならではの計算されたパターンがあって、肩がしっかりはまって重さを感じず、ダブルブレストのチェスターコートを着ているのと変わらない感覚です。手が自由に出せるし、内側には手を収められるポケットもあり、すっきり着こなせるのも魅力。しっかりした生地で、チンガードを留めれば、冬の極寒のなかでも大丈夫」
Scye別注マント 7万1400円(ユナイテッドアローズ)
Purchase06
「Mando」別注サファリジャケット
見よう見まねでつくっていない、本物のよさが凝縮している
サファリジャケットは、ユナイテッドアローズのスタッフはみんな大好きで、制服のようなものだという。「サファリジャケットには1970年代のサンローランに代表されるイメージがあり、エレガントでスポーティ、かつ男の色気やタフさがあるアイテム。今回はデザイナーの高巣満導さんにお願いして、加工をかけて表面起毛の通年着られるシャツジャケットをつくってもらいました」とのこと。
「僕らや満導さんのファッションのルーツのひとつでもあり、満導さんの感性やセンスのすばらしさが凝縮された一着です。自分にとってはなにがうれしいかって、ポケットが一杯ついていて便利なんです。僕は会社のキーや財布、携帯電話、パスモなど全部ポケットにしまって出かけるので、とても重宝しています。また、つねにジャケットは着ていたいので、合わせかた次第で見え方がちがってくるのもいい。冬なら、シャツの上に着て、この上にダウンやコートを羽織ったりして楽しんでください。ネイビーとカーキがあります」
Mando別注サファリジャケット 4万6200円(ユナイテッドアローズ)
Purchase07
「m's braque」別注スーツ
想像を上回る素材で提案されたストライププリントのスーツ
「九州の男は、よく“男はつやばつけとらんと~”と言いますが、男性ならではの色気みたいなものを提案したい。そこでこのエムズ ブラックのスーツです。まさにデイリーに着られる男の色とツヤがあって、ただの一張羅ではない」
「展示会でデザイナーの松下貴宏さんと“上品で色気のあるスーツを着たいね”と話していて、このベルベットにストライププリントのスーツが出てきた。見る角度によってはコーデュロイに見えますが、だまし絵的なおもしろさのある生地で、ネイビーとブラウンがあります。ダブルブレストスーツにはシングルとはまたちがった雰囲気があって、まさにとことん色気を楽しみたいスーツ。しゃれ込んで着てみてほしいですね。おなじ素材でチェスターコートもあります」
m's braque別注ジャケット 10万9200円、パンツ 3万3600円(ユナイテッドアローズ)
内山省治|UCHIYAMA Shoji
1997年ユナイテッドアローズに入社。
以来10年間、原宿本店 メンズ館に勤務したあと、バイヤーへ。
デザイナーズブランドからシューズ、アクセサリーまでメンズ全般の買い付けを担当する。福岡県出身。36歳。
ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
東京都渋谷区神宮前3-28-1 B1F-3F
営業時間|12:00~20:00(平日)、11:00~20:00(土・日・祝日)
Tel. 03-3479-8180
www.united-arrows.jp