銀座・和光|アートと工芸展、伝統を更新する「承」開催
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2015年4月3日

銀座・和光|アートと工芸展、伝統を更新する「承」開催

銀座・和光

暮らしに取り入れたい、きらりと感性が光るアートと工芸

伝統を更新する「承」開催

 

たしかな技をもち、それぞれの分野で未来を担う作り手として、つねに時代の先を見据え、あらたな試みに挑戦しているアルチザンやアーティストを紹介する展覧会、伝統を更新する「承」が、銀座・和光 本館6階和光ホールにて12月6日(金)より開催される。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

企画/総合監修を山田 遊氏が、企画/意匠監修を丸若裕俊氏が担当

伝統技法を用いながらも、枠にはまらず自由な感性でユニークな作品を生み出す作家、日本古来の技術を守りながらも、モダンに表現される作品の数々――今回、伝統を更新する「承」で紹介される作り手の作品はどれもパワーに溢れ、伝統を受け継ぎながらも、更新していく“心と技”を、日常のなかで身近に感じることができる。

銀座和光|承 02

九谷焼に軽やかな遊び心を添えて|上出惠悟

「九谷焼の歴史、技法にかんする制約を引き受けながらも、九谷焼を『伝統工芸』だけとして捉えず、あたらしいものであると考える」と話すように、上出氏は九谷焼の窯元・上出長右衛門窯の六代目でありながら、若手アーティストとしての一面ももつ。たしかな技術を受け継ぎながらも、身近にあるバナナをモチーフにしたオブジェや、伝統的な文様である「花詰」で埋め尽くされた髑髏(どくろ)形の菓子壺など、独創性豊かな作品作りに取り組んでいる。
http://www.choemon.com

銀座和光|承 03

金魚をテーマにさまざまな手法で表現|深堀隆介

深堀氏がスランプに陥り、「美術なんてやめてしまおう」と思っていた2000年、それまで粗末に飼っていた金魚にふと目がとまり、「最高に美しく」見えたという。深堀氏はこれを「金魚救い」と呼び、以来、金魚にテーマを絞り、さまざまな作品を発表。代表作品は、升や桶などの器に透明樹脂を流し込み、硬化した表面にアクリル絵具で金魚を描き、それを繰り返すというオリジナルの技法で、絵画とは思えない立体感が魅力。
http://goldfishing.info

銀座和光|承 04

植物だけで染め上げた優しい布|染司よしおか

紫草の根や紅花の花びら、茜の根、刈安の葉と茎などから色を取り出し、絹、麻、木綿といった天然素材を、地下100メートルから汲み上げた伏見の水を使い、ひとの手で幾度も幾度も染めていく。「日本の伝統色」に染め上げられた色調はどこまでも優しく柔らかで、この手法は、日本で5、6世紀に完成した伝統的な染織技術。今展では、ストールを中心に、屏風や座布団といった日々の暮らしを豊かにする作品の数々が出品される。
http://www.sachio-yoshioka.com

銀座和光|承 05

鎌倉彫のイメージを覆すモダンな意匠|博古堂

鎌倉彫の老舗「博古堂」。連綿と受け継がれてきたたしかな技によって作られる品々は、どれも潔さと同時に深みを感じさせる。これまで、陰影を生み出す「乾口塗り(ひくちぬり)」を考案したり、さまざまな動植物を独自に図案化したり、つねに時代を先取りしてきた。伝統的文様をモダンに、大胆に表現した『手刳小筥(てぐりこばこ)唐草』は、観る者に驚きをあたえる。
http://www.kamakurabori.org

銀座和光|承 06

木と紙でできたモダン建築にも合う灯|興石

「100年もつ建物を造るならば、それとおなじように照明も作るべき」。この信念に基づき、オリジナルの和照明を製作している。木の温もりを愛し、木の特性を知り尽くした数寄屋大工の最高峰・中村外二氏を源流とする興石の照明は、数寄屋建築を彷彿させる木や紙を用いたすっきりとしたデザインが印象的。良質の吉野杉を釘を使わずに組み立て、美濃和紙を張り合わせていく。興石は今回の伊勢神宮の式年遷宮でご神宝の準備に携わった。

http://www.kohseki.com

銀座和光|承 07

生命の息吹を表現した力強い切り絵|福井利佐

音楽や映画、ファッションといった、さまざまな分野のプロジェクトに参加し、才能を発揮している、新進気鋭の切り絵アーティスト。細やかな観察眼による精緻な描写力と大胆な構図が特徴で、一度観たら忘れられない迫力がある。人間や動物、植物をモチーフにした作品は、幾重にも伸びる線が生命の息吹を力強く表現し、私たちが「切り絵」に対してもっている固定概念をやすやすと超える、パワーのある作品群。
http://risafukui.jp

伝統を更新する「承」

会期|2013年12月6日(金)~12月15日(日)

時間|10:30~19:00

※13日(金)・14 日(土)は20:00まで、最終日15日(日)は17:00まで

会場|和光本館6階 和光ホール

東京都中央区銀座4丁目5-11

Tel. 03-3562-2111(代)
http://www.wako.co.jp/

           
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