
DESIGN /
INTERIOR
2025年9月26日
バスルームが人生の舞台になる日 ― LIXIL『aq.』が描く、日本の入浴文化の新章
SponsoredLIXIL|リクシル aq.
湯船に浸かりながら、ふと考える。日本人にとって入浴って、どんな意味を持つのだろう。体を洗うだけなら、シャワーで十分なはず。でも私たちは、わざわざお湯を張り、ゆっくりと身を沈める。それは単なる習慣を超えた、何か特別な時間なのかもしれない。そんな入浴という行為に、新しい光を当てるブランドが生まれた。LIXIL『aq.(エーキュー)』。フルオーダーメイドのバスルームという、ちょっと贅沢で、でも考えてみれば当然の選択肢を提示している。
Text by AOYAMA Tsuzumi
10組のクリエイターが描く、入浴の未来
『aq.』のウェブサイトを開くと、まず目に飛び込んでくるのが建築家やデザイナーとのコラボレーションプロジェクトだ。国内外の著名クリエイター10組が提案する独創的なバスルーム。森のようなグリーンに囲まれた空間、まるで洞窟のような原始的な佇まい、光と影が織りなすミニマルな箱。それぞれが全く違うアプローチで、入浴という行為の可能性を探っている。
これらのコンセプトデザインは、バスルームが持つ潜在的な可能性を視覚的に示している。「非日常の感動を日常に」という『aq.』のコンセプトが、具体的な形として表現されているのだ。日本人が長い時間をかけて育んできた入浴文化、その精神性や美意識を、現代のクリエイターたちが再解釈している。
なぜバスルームは隠されるのだろう
「キッチンは住空間の主役になりつつあるのに、浴室はまだまだそうなり得ていないんですよね」
LIXIL『aq.』の開発を手がける大森さんは、少し残念そうにそう話す。
「どうしても生活感が見えてしまうからでしょうか。家の後ろ側、見えない場所に配置されることがほとんどです」
でも、ちょっと待ってほしい。リゾートホテルや温泉旅館を選ぶとき、私たちは何を重視しているだろう。露天風呂があるとか、部屋にジャグジーがあるとか、水回りこそが決め手になることも多いはず。なのに自宅となると、なぜか浴室は脇に追いやられてしまう。この矛盾に、日本の住文化が抱える課題が潜んでいる。
九割のシステムバス、一割の夢
「国内の浴室の約9割がシステムバスになりました」と大森さんは続ける。
「その快適性が受け入れられた証拠だと思います。でも、残りの1割の方々は何を求めているのか。それは機能の向上というより、自分だけの特別な空間なんです」
『aq.』が提供するのは、完全フルオーダーメイドのバスルームだ。でも、好きなものを詰め込めばいいというわけではない。そこには「バスアーキテクト」と呼ばれる専門家たちがいる。社内で浴室の開発や設計を長年やってきた人間から選ばれた、今は6名のチーム。彼らがお客様と直接話しながら、図面を描いて理想を形にしていく。
「バスアーキテクトは営業もしますし、実際に手を動かして図面も書いていきます。aq.ではお客様とのディスカッションを本当に大事にしています」と大坂さん。
興味深いのは、『aq.』には決まったスタイルがないということだ。「同じ提案は二度とないんです」と大坂さんは言う。「ですから、これがaq.らしさです、というものを出すのは難しいけれど、逆にそれが強み。既製品ではない、お客様が本当に欲しいものをご提案できるからです」
バスアーキテクトたちは、システムバスの構造を活かしながら、断熱性や清掃性といった機能面も担保する。10年、20年と経ったときのメンテナンスを見据えた設計に、住まい手の美意識や精神性を形にする柔軟性。この融合こそが『aq.』の真骨頂といえるだろう。
みんな違って、みんないい
「最近は本当にみなさまが求めるものは多様化していますね。浴槽をあえて設けない若い世代もいれば、浴槽を二つ欲しいという方もいる。海外の富裕層が、日本の入浴体験を自宅で再現しようとするという話も聞いたことがあります」
そう大森さんが語ると、大坂さんも、顧客の要望の幅広さを実感していると話す。「明るく清潔感のある空間を求める方もいれば、照明を落とした落ち着いた雰囲気がお好きな方もいる。お子様とのコミュニケーションの場として考える方もいれば、完全にプライベートな空間として設計される方も。本当に十人十色です」
確かに、シャワーだけで済ます人が増えているのも事実だ。でも、それはそれでいいですよね、と大森さんは言う。浴槽のスペースを使って広々とした洗面にするという選択だってある。
「海外と比べると、日本はまだ水が豊かなんです。お湯を気兼ねなく使えるって、実は日本独特の環境。だから温泉文化も生まれたし、お風呂に浸かる習慣も根付いた」
『aq. 』では施工も含めた費用は500万円あたりから、上は2000万円を超えるものまでと、決して安くはない。でも、これを高いと見るか、人生への投資と見るか。毎日使う空間だと考えれば、意外と理にかなっているのかもしれない。
F1のように、限界に挑むこと
「社内では『そんなことやってなにがあるの?』って言われることもあります」と大森さんは苦笑いしながら、でも誇らしげに語る。「F1レースみたいなものなんです。一見すると採算が合わなくても、そこで培った技術は、いずれマス市場の製品に活かされますから」
設計事務所からの「突拍子もない」要望。異形の空間への施工。超高天井の浴室。今まで使ったことのない素材の組み合わせ。毎回がチャレンジだという。でも、そのひとつひとつが経験値になって、次の提案につながっていく。
施工の技術も向上するし、素材の知識も豊かになる。そうやって限界を押し広げていくことが、いつか「普通」の基準を変えていくのだろう。
特別であり続ける『aq.』が生み出す価値
「『aq.』は特別な空間を、こだわりを持った方たちにお届けする事業です。だからお見せできる事例はなかなか増えません。それでも、地道に一つずつ、信頼を積み重ねていくしかないと考えています」
大森さんの言葉は、すなわちラグジュアリーブランドとしての矜持であり、同時に日本の入浴文化を守り、次世代に伝えていくという使命から発せられたものでもある。
バスルームが「見せたい空間」になる日は、もうそんなに遠い未来の話ではないのかもしれない。キッチンがそうなったように、水回りが暮らしの主役になる時代が来る。
湯気の向こうに、自分だけの物語が見える。そんなバスルームで過ごす時間は、きっと人生を少し豊かにしてくれる。『aq.』が提案するのは、日本人が大切にしてきた「湯に浸かる」という行為の、新しい価値なのだ。
問い合わせ先