メディコム・トイがBE@RBRICK 400%サイズ ポータブル BluetoothⓇスピーカーの年内発売を発表  | MEDICOM TOY
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2023年10月25日

メディコム・トイがBE@RBRICK 400%サイズ ポータブル BluetoothⓇスピーカーの年内発売を発表 | MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

BE@RBRICK AUDIO 400% Portable BluetoothⓇ Speaker

『MEDICOM TOY EXHIBITION '23』で大きな話題を集めた、BE@RBRICK 400%サイズのポータブルBluetoothⓇスピーカー。その誕生秘話を、本企画を立ち上げ製品開発へと導いたリナロ社のファウンダー兼CEOであるパヴロ氏に聞いた。

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

リナロ社が擁する音響工学の技術を結集したBluetoothⓇスピーカー

今年7月に開催された『MEDICOM TOY EXHIBITION '23』では、今後発売予定のメディコム・トイ新製品が多数展示されたが、中でも注目を集めたのが史上初となるBE@RBRICK 400%サイズのポータブルBluetoothⓇスピーカーだ。
CLEAR、SMOKE、BLACKとグラデーションのように3色並ぶ姿は、BE@RBRICKファンはもちろん、オーディオマニア、ガジェット好きの間でも話題となった。

BE@RBRICK AUDIO 400% Portable BluetoothⓇ Speaker

開発を担当したウクライナのRinaro Isodynamics(以後リナロ社)は、前身の研究所を含めて30年以上の歴史を持ち、これまで数多くのヘッドホンメーカーにドライバーを供給してきた実績を持つ磁気ドライバーの専業メーカー。
リナロ社のファウンダーでCEOを務めるパヴロ・シマノヴィッチ(Pavlo Shymanovych)氏はかねてよりBE@RBRICKの大ファンであり、今回のプロジェクトを実現させるため4年前にメディコム・トイを訪問。その熱意と高いクオリティが認められてコラボレーションにゴーサインが出ると、リナロ社が擁する音響工学の技術を結集し、実に20,000時間以上に及ぶ開発期間を経て完成させた。
400%サイズのフォルムをそのままに、「QUAD'360™」という革新的なオーディオ技術を採用したポータブルBluetoothⓇスピーカー。その発売を記念して、本企画を立ち上げたリナロ社CEOのパヴロ氏にBE@RBRICKとの出会いや思い、BluetoothⓇスピーカー開発秘話や機能についてうかがった。

BE@RBRICKを知ったときからメディコム・トイを訪れることを夢に見ていました

──まずは日本の読者のために、Rinaro社の歴史、これまでに手掛けてきた製品について教えてください。
パヴロ この度はメディコム・トイとのBE@RBRICK AUDIO プロジェクトというユニークなコラボレーションについて、ご紹介する機会を設けていただき大変感謝しています。
Rinaro社は2014年に創設された会社ですが、会社の中心を担うチームはウクライナのリヴィウにて、研究機関として1985年に結成しました。当社が重きを置いて取り組んでいるのは、独自開発したアイソダイナミックオーディオ技術を用いたハイエンドなオーディオ機器です。
ルーマニアのMeze AUDIO社との取り組みでは、Empyrean(小売価格 3,000USD)、Elite(小売価格 4,000USD)、Liric(小売価格 2,000USD)という、3つのモデルのヘッドフォンを製作しました。ありがたいことに大変な人気を集め、日本を含めた世界55か国で販売されています。
現在も当社は家庭用、プロフェッショナル用そして車載オーディオの分野で革新的なオーディオ機器の開発や製造に努めています。
──CEO自らBE@RBRICKの大ファンであると伺っております。BE@RBRICKとはどのようにして出会ったのでしょうか。また、ご自身のコレクションやお気に入りのアイテムについても教えてください。
パヴロ BE@RBRICKを初めて見つけたのは、CHANELのストアウィンドウの展示品でした。私に大きな影響を与えたBE@RBRICKを挙げるとすれば、KAWS の Companionのモデルです。
今日までに30以上ものBE@RBRICKをコレクションしていて、中でもお気に入りはHajime Soroyama x Daniel Arsham、カリモク、Tom & Jerryのアイテムです。
将来的には2000%のBE@RBRICKも自分のコレクションに加えたいと思っていますし、BE@RBRICK AUDIOプロジェクトとして新たなコラボレーションへと広げていきたいと考えています。
──今回のスピーカープロジェクトの提案をするため、来日してメディコム・トイのオフィスを訪問されたそうですね。その時のメディコム・トイに対する印象をお聞かせください。
パヴロ BE@RBRICKを知ったときから感銘を受け、メディコム・トイを訪れ、赤司さん(代表取締役)やそのチームに会うことを夢に見ていました。
2018年、当社はMeze AUDIO社と共に製作した最初のEmpyrean ヘッドフォンを発表し、日本を含めた世界中でメディアの注目を集めて人気を博しました。
2019年、私は記者会見のために来日した際、東京にあるメディコム・トイのオフィスを訪れ、赤司さんにお会いしました。そこでメディコム・トイチームの進歩的かつ創造的なビジョンに感銘を受けたことを今でもはっきりと覚えています。オフィスに展示されていた2000%サイズのBE@RBRICKを実際に見たのも、この時が初めてでした。
そのミーティング以降、より具体的にコミュニケーションを深めていき、スピーカーコラボレーションのビジョンを共に模索しました。私たちはBE@RBRICKのファンを新しい次元や体験に誘うような、まったく新しい何かを作りたいと熱望していました。
当社の専門知識はそのビジョンと願望にうまく合致したと思います。私たちはこれまでにない新しいBluetoothⓇスピーカーを製作するため、まず400%サイズのBE@RBRICKを選びました。
私たちがゴールに据えていたのは、BE@RBRICKのフォルムに加える変更を最小限に留め、当社のオーディオテクノロジーとBE@RBRICKをうまく組み合わせることでした。視覚的な変化を可能な限り抑えながら、オリジナルのBE@RBRICKの形状や動きを保ちたい。最終的には通常のBE@RBRICK 400%と比べてもほんの僅かな違いに留めることができました。
具体的には、頭部に4つのオーディオドライバーを埋め込んで音響グリルで覆い、腰にあたる部分にコントロールボタンを仕込み、充電用USB-Cポートの挿しこみ口を加えています。さらに言えば、オリジナルのBE@RBRICKのようにBE@RBRICK AUDIO 400%のボディの大部分は動かすことができます。
──BE@RBRICKファンならではのこだわりですね。内部に組み込まれたスピーカーの構造にも驚かされました。開発で特に大変だった部分について教えてください。
パヴロ まず第一の挑戦は、BE@RBRICK 400%の形に高品質の音響システムを組み込むことでした。
音響、機械設計の両方の観点から見ても極めて複雑な挑戦でもありました。故に、単に現存する形式にサウンドを当てはめるというよりは、まったくの新しいコンセプトを作り上げることがこのプロジェクトには課されていました。
当初の大きな課題は音響解析にありました。音響においては、スピーカーエンクロージャーのサイズが大きいほど、必要とされる音響パラメーターや音質に到達しやすくなります。
しかし、BE@RBRICK 400%では音響容積となり得るのは頭部のみで、全体の1/3にも満たないものでした。限られた容積で、質のあるサウンドを生み出すこと──この点が最初にして最大の難関となりました。この難題を解決するのに1年近く費やしました。
基本的には、新しいドライバーをゼロから設計し、この非常に限られた容積内で動作するよう特別に調整しました。これは開発者が既存のドライバーを使用し、その周りの音響要素を設計して望む結果やサウンドに到達するという一般的なアプローチとは対照的なものでした。このフィギュアはスピーカーであると同時に、コレクターの価値を有するアート作品でもあります。

──音響面については。リナロ社独自の革新的な技術が投入されているそうですね。

パヴロ 今回のプロジェクトには本当にたくさんのエンジニアリングソリューションが組み込まれており、そのうちのいくつかにおいて当社は特許を取得しています。
例えば、後頭部と両耳に合計4つのスピーカーを組み込み、サウンドを均等に分配するシステムを設計し、音質を損なうことなく本体を自由に動かせるようにしました。このプロジェクトのために特別に開発した“QUAD'360™”という特許出願中の独自技術で、どこに置いても均一な優れたサウンドが保証されます。これは特にBE@RBRICK AUDIOのようなポータブルスピーカーにおいて重要なポイントです。
BE@RBRICKの重心もスピーカーを頭部に仕込んだため大きくシフトしてしまい、初期のプロトタイプはとても不安定で転倒しやすいものでした。この問題を解決するため、足の部分に追加のカウンターウェイトを設計しました。
コントロールインターフェイスも可能な限りシンプルにすることを目標としていたので、ボタンひとつに動作をまとめました。2秒間の長押しで電源のオン・オフができ、短く押すことでBluetoothⓇのペアリングができます。シンプルかつ直感的なインターフェイスです。
また、BE@RBRICK AUDIOを末永く愛用してもらうため、交換可能なバッテリーも設計しました。このフィギュアはスピーカーであると同時に、長期的な目線でコレクターの価値を有するアート作品であることも十分理解しています。
──デザインのこだわりについても教えてください。Blackバージョンは重厚で落ち着きがあり、Clearバージョン、Smokeバージョンは製品の内部構造が透けて見えて、とても美しいです。
パヴロ 当社では全ての工程において完璧をめざすというコミットメントを共有しています。製品の美しさやデザインに対しては特に注意を払っており、例え見えない部分であったとしても商品の内部と外部のいずれにおいても見た目は美しくあるべきだと思っています。
ゆえに、BE@RBRICK AUDIO 400%の技術的な美しさと複雑さをわかりやすく提示するため、Clearバージョンを製作しました。私たちのチームは数えきれないほどの時間を費やし、どんなパーツであってもデザインの一部となるように努めました。SmokeバージョンとBlackバージョンは、3体並べた際、この商品の進化を提示するパレットとなることを目標として作成しました。
その他にも開発当初からBE@RBRICKのファンに喜んでもらえる、何か特別なことをしたいと考えていました。そこからBE@RBRICKの手のパーツ部分をひねってボリュームを調整したり、トラックを切り替えるアイディアが生まれました。エンジニアリングデザインの観点で言うと極めて難しい課題ではありましたが、チームが努力を重ねた結果、アイディアを実現することができました。BE@RBRICKファンの皆様に喜んでいただけると私たちも嬉しいです。
──完成したBE@RBRICK AUDIO 400% Portable Bluetooth®︎ Speakerの感想をお聞かせください。開発を担当したチームの反応や社内での評判はいかがでしたか?
パヴロ BE@RBRICKの新たな次元を開くことになるので、総じてこのコラボレーションがBE@RBRICKの愛好家の皆さんにとって大きなニュースになってくれればと思っています。BE@RBRICKの歴史における新たな1ページとなり、BE@RBRICKを愛するファンの皆様にとっても、まったく新しい体験とテクノロジーを披露することになるでしょう。
当社はエンジニアリング、技術、組織上の様々な課題に直面してきましたが、チームに精神的な負担をもたらしたウクライナでの戦争が勃発してもなお、粘り強く開発を続けてきました。私たちは目の前に立ちはだかるどんな困難にも打ち勝つことができたと思いますし、こうして得た成果にとても満足しています。
このプロジェクトには合計で20,000時間以上を開発に注ぎ込み、20人以上ものエンジニアが携わり、214個の専用新規パーツが準備されました。結果として自信の持てる製品を作ることができたと思います。この成果はチーム全員のものです!
今はBE@RBRICKのコレクターやファンの皆様がこのコラボレーションをどう評価するかがとても気になるところです。
──どのような活用法を想定していますか?
パヴロ 何よりもこのスピーカーは高音質のサウンドを維持しながら、お部屋のどこにでも置いていただけるようにデザインされています。
ホームパーティーやキャンプといったアウトドア・アクティビティでBGMを流すことにも適していると思います。来年にはアウトドア向けのアクセサリーをリリースする計画もあります。ただし、スピーカー自体は耐水性ではないので、ご使用の際は水を避けていただくことを推奨しています。
──改めて、完成おめでとうございます。今から発売日を楽しみにしております。今後はどんなプロジェクトに挑戦されたいでしょうか。
パヴロ 現在、BE@RBRICK AUDIO 400%用の公式アクセサリーのラインナップに取り掛かっています。最初のアクセサリーはBE@RBRICK AUDIO 400%をどこへでも持ち運ぶことのできるトラベルケースになると思います。2024年には他のアクセサリーもご紹介することになるでしょう。
そして現段階ではまだ多くお伝えできませんが、1000%サイズの商品も開発中です。今後も多くのBE@RBRICKファンの皆さんを楽しませることができたらいいなと思っています。
BE@RBRICK AUDIO 400% Portable BluetoothⓇ Speaker
サイズ|全高約280mm
カラー|CLEAR、SMOKE、BLACK
発売日|メディコム・トイ直営各店舗及びMCT TOKYO、BE@RBRICK.AUDIO (https://www.bearbrick.audio)、他一部店舗にて、11月発売予定。
価格|7万7000円(税込)
※3色とも限定生産となります。
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現在、メディコム・トイ直営各店舗にてBE@RBRICK AUDIO 400% Portable BluetoothⓇ Speakerをご体験いただけます。
[メディコム・トイ直営店舗] http://www.medicomtoy.co.jp/official_shop/
b8ta Tokyo - Yurakucho、蔦屋家電+でも、11月1日(水)よりご体験可能です。
[b8ta Tokyo - Yurakucho] https://b8ta.jp/store/yurakucho 
[蔦屋家電+] https://store.tsite.jp/tsutayaelectricsplus-futako/
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
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