[Anne Valérie Dupondインタビュー] 新作展「Bestioles」が表参道ヒルズ・MEDICOM TOY PLUSにて開催 | MEDICOM TOY
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2025年11月22日

[Anne Valérie Dupondインタビュー] 新作展「Bestioles」が表参道ヒルズ・MEDICOM TOY PLUSにて開催 | MEDICOM TOY

 

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

Anne Valérie Dupond新作展「Bestioles (ベスティオール)」

 
25年以上にわたりアートとファッションの領域を横断した活躍を続けてきたフランスのテキスタイル彫刻家 Anne Valérie Dupond(アン・ヴァレリー・デュポン)。古着やヴィンテージファブリック、レースなどの素材を針と糸で縫い合わせ、動物や人物を再構築するスタイルは、日本でも大人気。
そんな彼女の新作展「Bestioles (ベスティオール)」が2025年11月29日(土)~12月14日(日) 、東京・表参道ヒルズのMEDICOM TOY PLUSにて開催決定。主催のメディコム・トイと彼女は2019年よりコラボレーションを重ねており、これまでハンドメイド作品 「ONE OF KIND BE@RBRICK 1000%」 を100点近く発表してきた。開催を記念して、本展のテーマについて彼女に訊いた最新インタビューをお届けしよう。
 
 

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

“奇妙な生き物たち”をテーマに動物や花をモチーフにした113点の新作が大集結

 
フランス語で親しみを込めて“奇妙な生き物たち”というニュアンスで使われる「Bestioles」をタイトルに掲げた本展では、彼女の原点ともいえる動物をモチーフにしたテキスタイル彫刻作品や「ONE OF KIND BE@RBRICK 1000%」、花と動物のブローチなどの新作113点が一挙に展示される。
 
 
会場内は「Mer(海)」「Terre(陸) 」「Ciel(空) 」「Maison(おうち) 」「Broche(ブローチ)」 「BE@RBRICK 1000%」の6つのゾーンでの構成となる。
 
展示作品の一部は店頭にて販売するほか、展示作品全113点を収録した図録、開催記念のTシャツ、クルーネックスウェットシャツ、トートバッグ、ダイカットクッションなどのアパレルグッズを発売。
また、会期初日の11月29日(土)にはAnne Valérie Dupond本人が来場し、作品制作のデモンストレーションや交流イベントの開催も予定している(詳細はメディコム・トイ オフィシャルブログにて11月後半に案内予定)。
 
日常の記憶を纏う素材に命を吹き込む彼女の作品。どこか親しみと優しさを感じさせる“奇妙な生き物たち”との出会いを、ぜひ会場で体験しよう!
 
 
 
Anne Valérie Dupond(アン・ヴァレリー・デュポン)
プロフィール
1976年生まれ。フランスのストラスブールにあるMarc Bloch Universityにて学び、2000年にFine Artsの修士号を取得。
2001年からデュポンはフランス、アメリカ、そして日本のそれぞれのギャラリーで活動。デュポンの作品は世界中に発信されるだけでなく、ファッションブランドのKenzo、UNDERCOVER、Le Printemps、Comme des Garçons、Y’sや MEDICOM TOYなど多くの注目を集めるプロジェクトを多々手掛けている。
 

 

今回の展示は、あらゆる種類の動物たちが共存する世界を描いています

 
──今回の新作展について、メディコム・トイとはどのような話し合いをされましたか。
 
Anne Valérie Dupond(以後、Anne) 泉水さん(メディコム・トイ顧問 須賀泉水)とはじめてお会いしたとき、私の作品を展示したいと話してくださいました。何年も前から、私の作品に関心を寄せてくださっていたと伺い、本当に光栄でした。そのときのアイデアが少しずつ形になり、こうして実現したことを心から嬉しく思います。
 
今回の展示にあたり、メディコム・トイからは20体の新たなBE@RBRICKと、動物コレクション、そしてブローチシリーズの制作をご依頼いただきました。20年以上にわたり動物をテーマに作品をつくってきた私にとって、メディコム・トイで新作を発表できることは大きな喜びであり、一つの節目のようにも感じています。
 
制作にあたっては、赤司さん(メディコム・トイ社長 赤司竜彦)と泉水さんにそれぞれお気に入りの動物を伺い、そこからインスピレーションを得ました。お二人への敬意を作品という形で表現できたことを、とても嬉しく思います。とはいえ、創作の過程では完全に自由を与えてくださり、その信頼が私の創作意欲をさらに高めてくれました。今回の展示では、さまざまな作品をご覧いただけます。
 
メディコム・トイとのやり取りはいつもとてもスムーズで、そこには深い信頼と尊敬の気持ちが流れています。創作において自由を尊重してくださるおかげで、楽しみながら制作に取り組むことができ、その“遊び心”を保てることは本当に贅沢だと感じています。今回の展示に向けて、メディコム・トイのチームは関連商品や図録の制作、会場の装飾に至るまで、素晴らしい仕事をされています。その過程の一つひとつを拝見するのは、私にとって大きな喜びです。
 
──メディコム・トイとのコラボレーションは2019年にスタートしました。
 
Anne ありがたいことに、もう6年ものお付き合いになります。信頼と尊敬に満ちた環境で仕事ができることを、心から誇りに思っています。メディコム・トイは大きな企業でありながら、常に好奇心にあふれ、遊び心と寛大さを持ち合わせています。赤司さんは、まさに“子どもの心”を持ち続けている方で、それこそがこのブランドが長く愛され続ける理由だと感じます。また、アーティストの知名度に左右されず、平等にチャンスを与えてくださるそのオープンな姿勢にも深く感銘を受けています。
そこにはヒエラルキーもスノビズムもなく、あるのは純粋な熱意だけです。
 
6年前に最初のオファーをいただいたときは、まさかここまで長く続くとは思っていませんでしたし、自身の個展につながるとは夢にも思っていませんでした。多くの著名なアーティストと仕事をされている中で、私に真摯に向き合い、信頼を寄せてくださっていることに、いつも深く感動しています。特に赤司さん、泉水さんの素晴らしさは、創造力を基準としてアーティストに光を当てるその姿勢にあります。その世界の一員としてご一緒できることを、本当に光栄に思っています。
 
メディコム・トイには、常に“創造性を追求する”という精神があります。その心は寛大で、遊び心に満ち、そしてとても楽しげです。この自由で温かな空気は、私がかつて抱いていた“大企業”のイメージとはまったく異なります。メディコム・トイとのコラボレーションを心から嬉しく思っています。そしてこの素敵な冒険が、これからも長く続いていくことを願っています!
 
© Yves.Petit
 
──今年はUNDERCOVERの2025-26年秋冬ウィメンズコレクション「but beautiful 4...」で21年ぶりの高橋盾さんとコラボレーションが実現したことも話題になりました。興味ある読者も多いと思いますので、再びご一緒された感想をお聞かせください。
 
Anne 初めて高橋盾さんとコラボレーションしたのは、私がまだとても若く、アーティストとしてのキャリアを歩み始めたばかりの頃でした。当時は第二子を妊娠しており、その出会いをまるでおとぎ話のように感じていました。まさかその“物語”が、21年後の今も続いているなんて、想像もしませんでした。
 
今回、高橋盾さんが当時のコレクションにオマージュを捧げたいとお話しくださったことに、深く感動しました。再び声をかけていただけたことが、本当に嬉しく、そして誇らしく思えました。まさに思いがけない、素晴らしいサプライズでした。
 
興奮とともに、20年以上の時を経て再びご一緒できたことは、非常に貴重な体験でした。私も年を重ね、世界も変わりました。それでも再び交わるご縁に、運命的なものを感じました。
 
新しいコレクションの内容については、事前に何も知らされていませんでした。唯一聞いていたのは、「“But Beautiful”へのオマージュになる」ということだけ。高橋さんから「ショーで使用する靴をお願いしたい」とだけ伝えられ、詳細は一切明かされませんでした。「信頼しているから、自由にやってほしい」と言ってくださり、その言葉が本当に嬉しかった一方で、正直とてもプレッシャーでもありました。
 
それでも制作を進めるうちに、どんどん楽しくなっていきました。そして不思議なことに、私が自由に制作していた靴が、まるで打ち合わせをしていたかのようにコレクションの衣装と完璧に呼応していたのです。たとえば、私は偶然「鳥」をテーマにした靴を制作していたのですが、高橋さんもまさに“鳥”をモチーフにした衣装を手がけていらっしゃいました。その一致には本当に驚かされ、まるで20年という時間が、私たちの感性を同じ方向に磨き上げてきたかのように感じました。
 
完成したコレクションは本当に美しく、ショーを目の前で見たときには胸がいっぱいになりました。思えば21年前のショーには、出産のため参加することができませんでした。娘がちょうどその日に生まれてきたのです。今回こうして目の前で新しいショーを見届けられたことにも、感慨深さを感じました。
 
その後も高橋さんから新たな挑戦をいただきました。次のプロジェクトに向けて、短期間で多くのテキスタイル彫刻を制作してほしいというご依頼です。その一部、私の「臓器の彫刻」を用いたドレスが、パリ・ファッションウィークで発表されたのを拝見したとき、またしても涙がこぼれました。
 
この21年にわたる物語が、今もこうして続いていることを心から嬉しく思います。そして、この素晴らしい時間を共に紡ぎ続けてくださる高橋盾さんに、心から感謝しています。
 
 
──改めまして「Bestioles」の展示テーマや内容について教えてください。
 
Anne 今回の展示テーマを考えるのに、あまり時間はかかりませんでした。なぜなら「動物」は、私にとってずっと大切なモチーフであり、長年のライフワークでもあるからです。ぬいぐるみ作りを始めたのは、今から25年前。子どもへのプレゼントに、自分の手でぬいぐるみを作ってみようと思ったのがきっかけでした。それ以来ずっと制作を続けており、今では私のアーティスト活動の大部分を占めています。
 
メディコム・トイとは、コラボレーションの初期から数多くのBE@RBRICKの再解釈を任せていただいています。私は、この「BE@RBRICK」というクマを別の動物へと変身させる過程をとても楽しんでいます。とはいえ、それは簡単なことではありません。BE@RBRICKは非常に象徴的なオブジェなので、題材となる動物がその独特のシルエットを覆い隠してしまわないように、変身後もBE@RBRICKらしさをしっかり残す必要があります。
 
私はこのBE@RBRICKたちに深い愛着を感じており、制作のあいだはまるで自分の分身のように思いながら、多くの感情を注いでいます。子どもがぬいぐるみに向けるような愛情を、作品を通して表現したいのです。そして、そこには必ずユーモアも込めています。見ている私自身が思わず笑顔になれるような存在でなければなりません。
 
作品の中では、動物たちに人間のような表情を与えています。現実に知っている“動物のイメージ”と、私が創り出す“見た目”とのコントラストを楽しむのが好きなのです。その創作のプロセスは、私にとって本当に楽しく、心が躍る瞬間です。この展示は、あらゆる種類の動物たちが共存する世界を描いています。それは、子ども時代のぬいぐるみの記憶を呼び起こし、実在する動物や想像上の生き物を思い出させながら、最終的には「人間」という存在そのものを語る展示でもあります。
 
 
Bestioles (ベスティオール)
主催|メディコム・トイ
会期|2025年11月29日(土)~12月14日(日) ※会期中無休
会場|MEDICOM TOY PLUS
(東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館B2F)
開場時間|11:00 ~ 20:00
入場料|無料

※作品の販売やイベント詳細については下記をご確認ください。

※イベント設営のため、11月27日(木)は「MEDICOM TOY PLUS」を17:00閉店とさせていただきます。

 

問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート

Tel.03-3460-7555(平日11:00~18:00)
E-mail. usersupport@medicomtoy.co.jp
 
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