グラフィティアート「Mr. A」の生みの親 André Saraiva(アンドレ・サライヴァ)インタビュー|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2021年2月8日

グラフィティアート「Mr. A」の生みの親 André Saraiva(アンドレ・サライヴァ)インタビュー|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

「VCD ANDRE BALL W SIZE」の新色"BLUE"発売

パリを拠点に活躍し、シャネルやルイ・ヴィトンなど数々のブランドとのコラボレーションでも知られるグラフィティ・アーティスト André Saraiva(アンドレ・サライヴァ)。ホテル経営者、レストランオーナーとしての顔も持つ彼が生み出したシグネチャーキャラクター「Mr. A」は、いまや世界中の人々に愛されるアートピースとなっている。
今回はその「Mr. A」をアートトイとして立体化した「VCD ANDRE BALL W SIZE」の新色"BLUE"がMEDICOM TOY at RESTIR、他一部店舗にて発売されることを記念して、彼のこれまでの経歴紹介とともに届いたばかりの最新インタビューをお届けする。

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

André Saraivaの歩み

スウェーデン生まれ、パリ育ちのアンドレ・サライヴァの名を最初に世界に知らしめたグラフィティ。「街の景観を損ねるのではなく愛で満たすべき」というコンセプトのもとに生まれたアーバンアートの数々は世界中の美術館や現代アートギャラリーに展示され、2016年にはタイル張りの壁の記念碑がポルトガルの首都リスボンに設置されている。
彼の分身である「Mr.A」は、いつもウィンクをしたコミカルな表情で街ゆく人々に笑顔をもたらす存在だ。
1990年代から事業家としてもパリのナイトライフに確固たる地位を築き、パーティーの企画、クラブのデザイン設計を手がけ、2000年代初期からはフランス、ニューヨーク等の外国間を行き来してホテルやベンチャー事業のパートナーや創設者となったが、それらの事業もアートプロジェクトの一部として捉えているという。
2010年にはクリエイティブ・コンサルタントとして、ホテル経営者André Balasz(アンドレ・バラッツ)のアドバイザーになり、ニューヨークで人気のルーフトップバー「Le Bain(ル・ベイン)」のデザインおよびキュレーションを担当。アップステート・ニューヨークにホテルとレストランを共同で開発している。2015年にはマンハッタンのロウアー・イーストサイドにアートプロジェクト兼24時間営業のカフェ「Café Henrie(カフェ・ヘンリー)」をオープン。壁に友人の作品を展示し、ファッションブランドのパーティーを開催するなど賑わいを見せた。
2018年には、リスボン市外の小さな漁村に7月から9月の間のみ営業するレストラン兼ホテル「Miramar(ミラマー)」をオープン。夏の隠れ家にうってつけなそのスペースでは、地元産の有機野菜と漁船から直接運ばれた新鮮な魚を使用した料理を提供している。
世界を股にかけながら、自身の作品を土地土地の文化と自然に融合させるアート活動を続けるアンドレ氏。次はどんなプレジャーを提供してくれるのか注目したいところだ。

André Saraiva(アンドレ・サライヴァ)最新インタビュー

──まず最初に、現在のコロナ禍について意見をお聞かせください。アーティスト活動に支障はございませんか?
世界市民のひとりとして、これまで私たちが直面してきた最大の課題のひとつだと思います。コロナ禍は国境および私たち人間の居場所についての問題を提起しています。苦しまないためにも、孤立するのではなくお互いの心の距離を近づけて親密になるべきです。みんなが手を取り合えば、きっと明るい未来を迎えることができるでしょう。
私自身の創作活動については本質的にずっと一人で作業してきたため、アーティストとして大して変化はありません。

グラフィティは精魂込めたポップアート

──日本でもあなたのグラフィティは広く知られていますが、「Mr. A」のタグはどうやって生まれたのでしょうか。
グラフィティを始めたばかりの頃は自分の名前、Andréのサインを書いていました。文字自体は素晴らしいことですが、キャラクターであれば世界中の誰もが理解できるものだということに気付いたんです。
「Mr. A」は80年代の終わりにパリの壁に初めて登場し、それから私の「相棒」になりました。その後、彼を連れて世界中を旅行し、90年代の終わりに日本に来ました。日本はグラフィックやスケッチに対して非常に感性が豊かで、すぐにMr. Aを自分たちのものとして受け入れてくれました。30年経ちましたが、現在もなおMr. Aは変わらず私の最高の友人です。
企業やブランドとのコラボレーションや自身の活動はひとつひとつ異なりますが、Mr. Aの本質はまったく変わりません。グラフィティは精魂込めたポップアートであり、複数の媒体で制作可能です。例えば、壁、電車、貨車、キャンバス、Tシャツ……形あるものであればなんでも。

メディコム・トイはアート編集者のような存在

──メディコム・トイとは2005年に発売されたBE@RBRICK以来のつきあいとなります。同社にはどんな印象をお持ちですか?
メディコム・トイは様々なアーティストと協力しておもちゃを作り上げることを行った最初の会社のひとつで、彼らとの仕事は毎回素晴らしいものでした。いまでは家族のようにすら感じているため、可能なときはいつでもコラボレーションしています。私にとってアートをさらに皆さんに近づけやすくしてくれるアート編集者のような存在ですね。
──「VCD ANDRE BALL W SIZE BLUE」についてうかがいます。ピンク、ブラックに続いて、今回新色として発売されるブルーにはどんな意味を持たせていますか?
私のアートにおいてピンクは非常に重要な色ですが、おそらくブルーはその次に多用する色だと思います。そのため3つ目のバージョンはブルーになりました。
──そもそも2018年に発売されたオリジナルの「VCD ANDRE SARAIVA MR. A BALL」(全高約135mm)は、どういう経緯で誕生したのでしょうか?
Mr. Aの頭部はいつも円形です。20年前、私は彼の頭像を惑星のような丸いスカルプチャー(直径2m)を作ることを決めました。これが3次元で彼の丸い頭部が誕生した経緯です。その後、メディコム・トイからご連絡を頂き、コラボレーションをしてどなたでもお買い求めしやすいように小さめのBALLを製作しました。
──今後メディコム・トイとやってみたいことがあれば教えてください。
メディコム・トイとやってみたい共同プロジェクトはたくさんあります。もしかすると次回作はプラスチックではなく、地球にやさしい素材を使った別バージョンのBALLかもしれません!
──最後に現在進行中のプロジェクトについてお聞かせください。
ニューヨークのRizzoli(リッゾーリ)という出版社から刊行される、過去30年間のプロジェクトの大部分をまとめた本を制作中です。この本では自分がこれまでやってきたプロジェクトを総括的にとらえ、それぞれを私の旅路の一章として考えていますが、あくまで途中経過でありこの旅路はまだまだ終わりそうにありません!
VCD ANDRE BALL W SIZE BLUE
原型製作|PERFECT-STUDIO
サイズ|全高約280mm
価格|2万2000円(税別)
発売日| 2021年2月発売予定
取扱店舗|MEDICOM TOY at RESTIR、他一部店舗
ANDRE ©
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
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