僕が塊根植物をフィギュアにした理由。BOTANIZE代表 横町健さんインタビュー|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2021年1月25日

僕が塊根植物をフィギュアにした理由。BOTANIZE代表 横町健さんインタビュー|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

世界中のPLANTS LOVERSから大きな反響があった

2020年9月に発売された「パキポディウム・グラキリス」のフィギュアは、植物好きとフィギュア好きの双方から話題となる商品に。その後、12月にはブラックとホワイトのモデルも登場し即完売。さらに2021年1月には新作が3種類発売される。この企画はBOTANIZEの代表である横町さんの熱い思いからスタートしている。彼がこれまで歩んできた植物とフィギュアへの愛とは?

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

塊根植物に魅了されたきっかけからフィギュア化まで

個性豊かな植物を扱い、東京・白金と代官山に実店舗を展開するエキゾチックプランツショップ「BOTANIZE(ボタナイズ)」。中でも近年、愛好家を急速に増やしているのが塊根(かいこん)植物。主にマダガスカルや北米・南米・アフリカなどに生息する多肉植物のことで、乾燥した環境でも生きていけるように水分を蓄えておける太く膨らんだ茎や根が特徴となっている。
そんな塊根植物ブームの火付け役となったのが、今回登場いただいた横町健さん。自身が代表をつとめる「anea design inc.(アネア デザイン)」で、「ボタナイズ」の経営、カフェ「Anea Café(アネア カフェ)」の運営、お弁当のセレクトショップ「TOKYO BENTO STAND(トーキョー ベントウ スタンド)」、アパレル企画の作成・販売もしている。
これまでもさまざまなブランドやセレクトショップとコラボを精力的におこなってきた「ボタナイズ」だが、昨年秋にメディコム・トイより発売され話題を集めたのが、「VCD Pachypodium Gracilius」。人気の塊根植物「パキポディウム・グラキリス」をフィギュア化した背景には、横町さんの強い要望があったという。まもなく新作フィギュアも発売されるということで、いろいろ話を伺った。

小学生の頃、お小遣いをすべてサボテンに注ぎ込んでいた

──横町さんが最初に塊根植物やサボテン、多肉植物に惹かれたきっかけはなんだったのでしょうか?
横町 僕は小学生の頃からサボテンで部屋を埋め尽くすような収集癖の強い少年でした(笑)。機械のエンジニアだった父は週末に趣味の盆栽の講師めいたことをするくらいの趣味没頭型の人間だったので、もろにその血を受け継いでいます。そんな父に連れられよく園芸ショップに行っていたんです。ひとつサボテンを買ってもらうと収集癖の血が騒いだのか、お小遣いは全てサボテンに注ぎ込みたちまち部屋はサボテンに埋め尽くされました。やがて中学生になると色気付いて、いつしかサボテン熱は冷めてしまいました。
月日が経ち、会社を起こし軌道に乗って来た頃、たまたま知人の事務所に遊びに行った時に『出会って』しまったのです。塊根植物に。サボテンによく似た棘、まん丸のフォルム。好きな要素が全て積み込まれた塊根植物。一気に幼少期のトキメキがフラッシュバックして、そこから国内にある塊根植物を買い漁りました。もう楽しくて、楽しくて。たちまち当時の事務所は塊根植物で埋め尽くされました。すぐにバルコニー付きの事務所に引っ越しました。これが僕の愛しい塊根植物との出会いです。恋は盲目ですね。
──代官山に続いて白金店がオープンして2年になりますが、愛好家の趣向などトレンドに変化はありましたか?
横町 塊根植物を収集し始めるとほとんどの方は、欲しくなる種類の順番があります。これはもうほぼほぼ分かってしまうものです。「このお客様は前回これを買ったから、そろそろこれを欲しがる頃だな」という具合いに。
もちろんトレンドもあります。以前はマダガスカルから輸入されて来た、いわゆる『輸入球』が主流でした。現地の過酷な環境下で長年育った、傷だったり日焼けして剥がれた表皮だったりが魅力です。それが白金店オープンの頃になると、日本国内で種から育った『実生』がじわじわと人気になってきました。ある程度完成された樹型を楽しむ輸入球から、より育てる楽しみが強い実生がトレンドとなってきました。

植物部門であるBOTANIZEはコロナ禍で売上げを伸ばした

──コロナ禍の影響はあったのでしょうか?
横町 さほど変化がなかったことはラッキーでした。会社には飲食部門があり、カフェを4店舗ほど運営していますが、そちらは大打撃でした。そんな中でも植物部門ボタナイズの売上はジリジリと伸びていきました。
おうち時間が長くなったことで植物を育てる方が増えたため、ボタナイズのウェブショップのラインナップを増やしたり、ウェブでのお買い物をお客様が楽しんでいただけるように工夫しました。未曾有のコロナ禍、まさに僕は塊根植物に救われました。
──2020年9月、メディコム・トイから塊根植物界で人気の高いパキポディウム・グラキリスがフィギュアとなって発売されました。この企画について、お聞かせください。
VCD Pachypodium Gracilius
横町 この企画の構想はボタナイズを始めた頃、6年ほど前からあったんです。収集癖の強い僕は、もともとメディコム・トイさんのフィギュアが大好きでたくさんコレクションしており、「いつか自分の考えたオモチャをメディコム・トイさんからリリースしたい!」という思いはずっと持っていました。
どんな世界でも「自分の欲しいもの」を作って提供する、これは一番大事なことだと思います。自分が欲しいと思わないものなんてつまらないし、絶対人様になんて進められませんからね。メディコム・トイさんのそういうところに僕も影響され、魅力を感じていたので、絶対にメディコム・トイさんじゃないとダメだったのです。初めてメディコム・トイさんのご担当者様にお会いしたときは熱い想いを伝えました。おそらく、ご担当者様も「えっ、なんで植物のフィギュア? 植物でいいじゃん」と最初は思ったのではないでしょうか(笑)。
そんな熱い想いが伝わり、ついに企画がスタートしました。ファーストサンプルはもう本物のグラキリスそのものでした。「メディコム・トイさんさすがの技術!」と思ったのですが、これではまさに「本当の植物でいいじゃん」ってことになってしまうので僕が出させて頂いたオーダーは「80%リアルでお願いします!」とそれだけ。セカンドサンプルは完璧でした。いま思い出しても涙が出そうです。最高でした! 物凄くざっくりな要望でも毎度完璧に答えてくださるメディコム・トイさん、流石ですね。
グラキリス好きのコレクターの方は「いかに丸いボディで、短い均等な枝であるか」。これを突き詰めていきます。VCDグラキリスはまさに皆が憧れる究極のグラキリスなのです。僕の感覚からいくと、本物と間違われてしまうのは本望ではないので。最初からブラックやホワイトをリリースしたかったのですが、メディコム・トイさんからは最初はノーマルカラーにしましょうとご提案いただきました。
塊根植物のことをご存知ない方からすると、いきなりブラックが出てくると植物ということすらわからず、「なんのこっちゃ」となってしまうから。確かに! おっしゃる通りです。そんなリリースの順番についてもメディコム・トイさんはスペシャリストでした。

塊根植物好きもフィギュア好きも共に収集癖がある

──発売後の反響はどのようなものがありましたか。
横町 反響はものすごかったです。ある程度は想定していましたが、はるかに上回る好感触でした。特に、中国、香港、台湾、韓国のPLANTS LOVERS達に刺さったようです。もちろんフィギュアファンの方々からの反響も大きかったです。やはり塊根植物ファンは皆様収集癖の塊なのでフィギュアファンと相通ずるものがあります。この2極の収集癖の塊の方々を1つにしたい、できるアイテムだと思っています。
──2020年12月、新色の「VCD Pachypodium Gracilius BLACK/WHITE」が発売されました。フィギュアならではのモノトーンカラーは新鮮でした。
VCD Pachypodium Gracilius BLACK / WHITE
横町 発売のことを考えると、ドキドキして寝れなくなるほどでした! ボタナイズのイメージカラーは白黒ですので、うちのファンの方々は特にお待ちかねなのではないでしょうか。ファーストカラーをお持ちの方は特に、白黒と3個並べたくなることは明白です(笑)。おかげさまで、発売から1分と経たずに完売となりました。ありがたいことです。感謝と同時に「本当にメディコム・トイさんとご一緒させていただいて良かった、今後ともさらに皆様にワクワクをお届けしたい」と強く思いました。
──2021年1月には新作が3種類発売されます。こちらの感想もそれぞれお聞かせください。
VCD Pachypodium Gracilius  AUTUMN LEAVES
横町 グラキリスは秋冬には休眠します、まあ亀の冬眠のようなもので、春夏には青々していた葉っぱが秋から初冬には黄葉して落葉して休眠に入ります。そんな黄葉(AUTUMN LEAVES)を再現しました。ノーマルカラー? と思いきや、「黄葉してるっ!!」とクスッと笑っていただけると嬉しいです。
サイズ|全高約210mm
価格|1万2800円(税別)
発売日| 2020年1月発売予定
取扱店舗|メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、
Botanize直営店舗 & ONLINE STORE(botanize.jp)
BE@RBRICK BOTANIZE 400%
横町 こちらはユーフォルビア・オベサという種類の植物の総柄となります。僕が最初に日本中を駆け回り探して回った思い出の植物です。それがBE@RBRICKになるなんて感激です。VCDと同様にこちらのパッケージのデザインもやらせていただいたので、是非パッケージにも注目して一緒に飾っていただけると嬉しいです。
サイズ|全高約280mm
価格|1万1800円(税別)
発売日| 2020年1月発売予定
取扱店舗|メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、
Botanize直営店舗 & ONLINE STORE(botanize.jp)
BE@RBRICK TM & ©️ 2001-2021 MEDICOM TOY CORPORATION. All rights reserved.
BOTANIZE POT(BLACK/PINK/EMERALD GREEN)
横町 僕たちボタナイズ植物屋からすると鉢は白か黒くらいなんです。それが奇抜なピンク、グリーン。しかも鉢がブリスターパックに入っているなんてもう最高ですよね。これってメディコム・トイさんだから許される、成せる技です!
サイズ|各全高約80mm
価格|各3800円(税別)
発売日| 2020年1月発売予定
取扱店舗|メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、
Botanize直営店舗 & ONLINE STORE(botanize.jp)
──最後に、今後メディコム・トイとのコラボレーションも含め、BOTANIZEで進めていきたい企画やアイテムがございましたら教えてください。
横町 「VCD Pachypodium Gracilius」「BOTANIZE POT」については様々な企業様からコラボレーションのオファーをいただいております。それ以外にもまだまだ温めている企画があります。特に植物キャラクターは早くスタートを切りたいですね。植物の種類も何百、何千とあります。可能性は無限です。僕の頭の中の妄想を具現化してくださるメディコム・トイさんには感謝しかないです。これからもまだまだ自分が欲しい、大好きなものを沢山の方々と共有できたら幸せです。
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555
Botanize order@anea.jp

                      
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