2015 ミラノサローネ 最新リポート|Foscarini
DESIGN / FEATURES
2015年7月30日

2015 ミラノサローネ 最新リポート|Foscarini

Foscarini|フォスカリーニ

ミラノサローネ国際家具見本市 2015

トップブランドへ駆け上がった軌跡の集大成

2000年代以降のイタリアにおけるデザイン照明を牽引してきた「Foscarini(フォスカリーニ)」。伝統的なヴェネチアンガラスを背景に、カーボンなどの樹脂素材を使いこなしながらデザインの幅を広げ、トップブランドとしてその地位を得た。まさに、照明デザインの革命児といえよう。今年は、佐藤オオキ氏率いるnendo(ネンド)がデザインを手がけた新作をはじめ、代表作のリバイバルなど、意欲的に作品を発表している。

Text by YUDA Takeshi(TOL STUDIO INC.)

コンテンポラリーデザインの最先端を牽引する、デザイン照明の革命児

今年のブースデザインはフォスカリーニを代表するデザイナー、フェルーチョ・ラヴィアー二氏が手がけた。劇場のようにデザインされた巨大なブースでは、入口付近にはフォスカリーニを代表するマスターピースを配置し、中段には準新作、そして最上段には最新作が並び、プロダクトが演者のごとく乱舞していた。演者たちは、あたらしいビジョンを定義するために、過去の名作たちを現代的に解釈し、ディテールや素材の見せ方に工夫をこらした。設立から30年で蓄積した経験を存分に還元させた、集大成と呼んで差し支えないほどの展示といえよう。

Foscarini|フォスカリーニ

Foscarini|フォスカリーニ

フェルーチョ・ラヴィアー二氏が手がけたフォスカリーニの展示ブース

新作の「CAIIGO(チャイゴ)」は霧を意味し、美しい白から透明のグラデーションを吹きガラスで作り上げた。「GEM(ジェム)」と「TARTAN(タータン)」は、ヴェネチアンガラスを追求しつづけてきたパロンバ・セラフィーニが手がけた。「ジェム」は宝石、「タータン」はタータンチェックを意味し、その名にふさわしい美しいディテールが魅力だ。

Foscarini|フォスカリーニ

ベネト州の方言で霧を意味する「チャイゴ」

Foscarini|フォスカリーニ

吹きガラスで作られた新作「ジェム」と「タータン」

1000年以上の歴史と伝統をもつガラスとLEDとのマッチングは、各ブランドに共通する思想だが、フォスカリーニはプロダクトごとに光源を開発し、徹底的に光にもこだわる。nendo(ネンド)がデザインを手がけた「KURAGE(クラゲ)」にも注目が集まった。和紙でできたランプシェードは、この形状に整形できる数少ない日本人作家にオファーしたという。ソケットもセラミックを使い、徹底してナチュラル素材を採用した。

開発力を示したDIESELとのコラボレーション

カーボンやPPMなどの樹脂素材を使ったデザイン照明へのチャレンジをはじめ、あたらしい素材や光源の開発を積極的におこない、一気にトップブランドへと自らを押し上げたフォスカリーニ。今年の展示では、すでに周知となったDIESEL(ディーゼル)とのコラボレーションで、その開発力の高さを示した。

ディーゼルが目指す“プレミアム カジュアル リビング”の特徴を見事に捉え、アバンギャルドな意匠とハイクラスの品質を両立する、素晴らしい開発技術を見せた。イタリアンライティングの伝統と革新的なアイデアが交わる場所にあって、新素材や技術を積極的に取り入れてあたらしいモノを生み出す力、このトプブランドへと駆け上った原動力をうかがうことができた。

Foscarini|フォスカリーニ

ディーゼルのブースで発表されたコラボレート作品

ルミナベッラ東京ショールーム
東京都品川区東五反田5-25-19 東京デザインセンター4F
Tel. 03-5793-5931
http://www.luminabella.jp/

           
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