2015 ミラノサローネ 最新リポート|ARMANI / CASA
ARMANI / CASA|アルマーニ / カーザ
ミラノサローネ国際家具見本市 2015
時代を超えた世界最高峰のラグジュアリーの本質を求めて
「ARMANI / CASA(アルマーニ / カーザ)」は、ミラノ・トルトーナ地区にたたずむ、安藤忠雄氏の手がけたアルマーニ / テアトロで新作コレクションを発表した。ブランド設立40周年を迎える今年、精力的に新作や限定モデルを発表するとともに、同会場でアルマーニ ホテルをはじめ世界各国で展開されている、インテリアデザインスタジオが手がけたプロジェクトの特別展示が公開され、アルマーニの世界観が披露された。
Photographs by Daniele DAINELLIText by KATSURA Kumi(TOL STUDIO INC.)
アルマーニの描く夢のスタイル
“メイド イン イタリー”を代表する最高峰のデザイナーであるジョルジオ・アルマーニ氏が手がけるデザイン哲学は、ファッションの世界を変えた。ラグジュアリーの本質の探求によって生まれるスタイルは、インテリアのデザインプロジェクトを通じて、彼のアイデンティティをより深く表現し、心地よさにたいする認識を、美しさという面から変貌させてきた。
2015年のアルマーニ / カーザの新作コレクションでは、空想上の“王子”に着想を得た、ラグジュアリーの本質的なスタイルとかたちをもつ美が探求された。東方の国をテーマとし、アートとデザインへの感受性が、わずかなタッチで、しかし正確で明確に、彼の横断的な文化へのまなざしから表現されている。このテーマに、創造性と職人技術が重なり合い、オリエント文化の抽象表現に換言されることで、時代を超えた夢として体現された。
「私は、つねに感受性や趣向の間に生まれる繊細な交流に魅了されてきた。単なる“異文化”という概念を超えて、文化的な情熱を通して伝えられる“ものごと”にたいする複合的なビジョンにたどり着く。私を魅了してやまない文化“東方”と、私の所属する文化“西方”の間に類似性を探し、これらの類似性を家具や装飾に置き換ることで、奥深く洗練され、時間を超えた優美さを、空間にもたらすことを試みた」と、ジョルジオ・アルマーニ氏は語る。
会場は、アルマーニ / テアトロを真っ黒な空間にしつらえ、コンテンポラリーを象徴するような、石膏色の幾何学的な直方体が浮かび、しなやかに輝く家具コレクションと鮮やかに対比されていた。
アルマーニ・ブランドの40周年を記念して作られた40台限定のデスク「Justin(ジャスティン)」は、グレーのタモ材が描く美しいラインと、ウォーターグリーンの革に気品が漂う。クラシックな風情を感じさせる、鍵付きの引き出しや、革の質感に込められたのは、“raccogliere pensiero(考えを集める)”ための机という詩的な情景を示している。
新作コレクションのなかでもとくに目を引いたのは、細い金具で床面から浮かび上がった、バーキャビネット「Jazz(ジャズ)」。側面の編み込み模様が銅の塗装で仕上げられ、中央の取っ手を引くと、内側には、鮮やかな朱色で仕上げられた引き出しや棚が備えられていた。
今年のコレクションの制作に際して、ヴェネツィアの老舗テキスタイルメーカー・ルベリによる特殊技術を採用した手織り生地と、日本の鎧に着想を得たパターンから、オリジナルのテキスタイル・コレクションを開発。新色は、ヒスイ、ルビー、サファイアブルーで、各テーマに合わせたクッションがコーディネートされていた。
さらに、ヴェネツィアのムラノ島で約800年前から続くガラス製造技術をもつ巨匠が手がけた新作ランプシェードを用いた照明機器が、コレクションにふさわしい豊満な光を放っていた。ほかにもインテリアを彩る燭台や、ゲーム、サソリをかたどったペーパーウエイトなど、東方文化と西方文化の掛け合わせから、夢の空間を探求するアルマーニの世界観をさらに広げていた。
また、ブランド設立40周年を迎えた今年は、「インテリアデザインスタジオ」特別展示として、2004年に発足したインテリアデザインスタジオ(通称IDS)が手がけたインテリア、フロア、プロジェクトのプランや模型を展示した。各国の文化への傾倒、尊重をもって文化を解釈し、日常空間に置き換えていき、アイデアのメタファーが徐々にかたちになっていく様子をうかがうことができた。
ARMANI / CASA(アルマーニ / カーザ)
東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ / 銀座タワー4F
Tel. 03-6274-7003
http://www.armanicasa.com