2014 ミラノサローネ 最新リポート|ICHIRO
ICHIRO|伊千呂
特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2014
建築家・長坂常氏デザインのコンセプトモデルを発表
化粧板メーカーの伊千呂は、スキーマ建築設計事務所代表の長坂常氏のデザインによる、あらたな発想の照明、テーブル、スツールのコンセプトモデルを発表。ミラノサローネ期間中、ロッサーナ・オルランディのスペースで展示をおこなう。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by HASHIMOTO Hirotaka
伝統素材と工業素材を組み合わせた家具
伊千呂は、これまでの家具の概念をもう一度根本から見直し、生活の道具としての家具を生み出したいという思いから、空間とひととモノのあらたな関係を提案。ひとが自分らしく、生きられる未来が浮かび上がるようなプロダクトづくりに取り組む。
今回、建築家・長坂常氏とともに、これまで言語化されてこなかった家具と空間の関係性に着目。伝統素材と工業素材との組み合わせにより、それぞれの用途に応じたスペックを生み出した「TAKE KAGO」シリーズ、そして、“縛る”という行為から生まれたカタチを表現した「SHIBARI」シリーズを、発表。既存の家具カテゴリーに留まることなく、あらたな領域へと拡大するためのコンセプトモデルとなっている。
素材感のことなる、2つのシリーズ
「TAKE KAGO」は日本の伝統的な竹籠(たけかご)を使い、照明、スツール、テーブルを展開するシリーズだ。
照明は、竹部と紙部が一体をなす伝統的な構成にとらわれず、分離、独立させた。上部を照らす間接照明としての用途と、下部を照らすダイニング照明の用途の2ウェイを生み出し、さらに電球の取り付け位置を変え、床置き照明としての機能も付加している。
スツールは、本来座るには十分ではない強度の竹籠に、ラバーを絡めることによって強度を増して、座ることを可能としている。さらに、竹籠特有のささくれもカバーされているため、座る際も気にならない。
またテーブルは、編み方の立体感を利用して、そこに色のついたエポキシ樹脂を流し込むことで色の濃淡をつくり、テーブル側面の表情を生み出している。垂直面にエポキシ樹脂を使用した家具は、長坂氏にとってはじめての試みとなる。
あわせて発表される「SHIBARI」は、一枚のスポンジを折り、縄でしばることで造形。ラバーにつけることで表面をコーティングしたソファは、縄が食い込みながらもスポンジの弾力性を誇張するため独特のフォルムとなる。結び目をもつことで容易に持ち運びができるのも、この家具の特徴だ。
長坂常|NAGASAKA Jo
建築家、スキーマ建築計画代表。1998年東京藝術大学美術学部建築学科卒業。同年、スキーマ建築計画開設し、その後、2007年事務所を上目黒に移転し、ギャラリーとショップなどを共有するコラボレーションオフィス「HAPPA」を設立。
http://schemata.jp/
ICHIRO MILANO DESIGN WEEK 2014
JAPANESE TRADITIONAL THINGS
with Jo Nagasaka
会場|Spazio Rossana Orlandi(ロッサーナ・オルランディ)
Via Matteo Bandello 14/16,20123 Milano
期間|2014年4月8日(火)~13日(日)
時間|9:00~20:00
http://www.ichirodesign.jp