KITCHEN FABRIC│これまでにない「色柄」の完成度を求めて
DESIGN / FEATURES
2015年4月9日

KITCHEN FABRIC│これまでにない「色柄」の完成度を求めて

「ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE」
KITCHEN FABRIC│これまでにない「色柄」の完成度を求めて

「ISETAN LIVING × HIROCOLEDGE」の特集第10回は、伊勢丹リビングのキッチンファブリック担当バイヤーの杉原正規さんが、熟練職人と取り組んだキッチンアイテムを紹介する。

人物写真=川本史織文=伊勢丹 リビング営業部 キッチンファブリック 杉原正規

柄の出方を想定したデザインと発色にこだわりました

今回の取り組みで生まれたキッチンアイテムは、従来にはない「色柄」が見どころです。
家事をするさいにエプロンを身に着けるお客さまが減っているなど、お客さまの最大の関心である「色柄」に関して、新しい提案が足りなかったのではないかと考え、その点に問題意識をもって今回のプロジェクトに臨みました。

はじめて高橋さんの作品を見たとき、その斬新な色柄に目を奪われ、ぜひ一緒に仕事をしたいと直感したのがスタートです。ものづくりの過程で、高橋さんのこだわりに触れ、その直感は確信に変わりました。
丸と直線だけで構成される独特の柄。今回は、さまざまなキッチンアイテムがおなじ生地からつくられるため、それぞれのアイテムの大きさを考慮し、柄の出方を想定したデザイン。色にも細心の注意を払い、山形のプリント工場までご一緒させていただきました。何度も試作を重ね、現地でも直前まで色調整を行い、顔料と染料、手仕事と機械を使い分けながら実際にかたちになった瞬間の感慨深さは言葉になりません。

とくに、その道20年の熟練職人によるハンドプリントは、手仕事とは思えないクォリティの高さに驚きました。さらに、アイテムに合わせて生地の風合いを損ねない撥水加工による機能性をくわえるなど、さまざまなシーンでお使いいただけるアイテムバリエーションも見どころです。

見て、触って、感じていただき、生活のなかに取り入れてください

──高橋理子さんの作品についてどんな印象をおもちですか?

はじめて高橋さんにお会いしたときにお聞きした、「日本という国に生まれ、その精神性のなかで成長し、そこに存在する技術を活用した日本ならではのものづくりをすることは、私にとって必然だと思います」とのお話や、その必然ともいえることを、特別視されることに違和感があるという言葉がとても印象的でした。
その活動に対する確固たるポリシーに触れ、高橋さんの作品が海外でも高い評価を受けていることに納得するとともに、これからも要注目のアーティストだと思っています。

杉原正規さん

──今回の「ISETAN LIVING × HIROCOLEDGE」プロジェクトについて

住空間は多種多様なアイテムで構成されています。であるがゆえに、商品供給は専門分化しており、カテゴリー横断企画は非常に難易度が高く、その意味においても今回のプロジェクトの意義は大きいと感じています。

──3月4日(水)からいよいよ販売です

カテゴリー横断での統一テーマ設定、高橋さんのデザインやものづくりに対するポリシー、製造メーカーの素材・技術へのこだわり、それぞれの要素にきっとお客さまが共感してくださると信じています。
ひとりでも多くのお客さまに、とくに今まで百貨店のリビングフロアに来ていただけなかったお客さまに、見て、触って、感じていただき、生活のなかに取り入れて長く愛していただければ幸いです。

杉原バイヤーとのKITCHEN FABRICについて(高橋理子)

杉原バイヤーとのKITCHEN FABRICについて(高橋理子)

今回は同素材であらゆるアイテムを展開したいというお話があり、アイテムに対しての柄の大きさや、完成した際の柄の出方、生地を無駄なく使うためのリピート幅など、製作に入るまでにシミュレーションを重ね、デザインを決定しました。
また、テーブルウェアからキッチンまわりの小物、エプロンやショッピングバッグまでと、用途のちがうアイテムに対して最適な生地の厚みが異なるという問題を解決するため、撥水加工やラミネート加工、キルティングなどの後加工により、それぞれのアイテムに適した仕上がりとなっています。

環境のためにも、できるだけ生地を無駄にすることのないものづくりを目指していますが、使いやすいミトンや、着心地のよいエプロンの形を目指せば、それを実現するのは難しい。
しかし、今回の取り組みによって、多くの方にものづくりの背景を知っていただき、愛着をもって長くお使いいただければ、それもまたひとつの環境保全につながるのではないかと思っています。

特集│伊勢丹と高橋理子が取り組む、2009年春の「オンリー・アイ」は、毎週金曜日公開更新!
           
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