柳本浩市|第17回 海山俊亮氏(MicroWorks)に「コミュニケーションツール」を聞く(後編)
Design
2015年5月15日

柳本浩市|第17回 海山俊亮氏(MicroWorks)に「コミュニケーションツール」を聞く(後編)

第17回 海山俊亮氏(MicroWorks)に「コミュニケーションツール」を聞く(後編)

デザイナー海山俊亮さん(MicroWorks)を迎えての対談3回目。海山さんがつくるプロダクトは、デザインとコミュニケーションがバランスよく揃ったもの。“自分たちがつくりたいものをつくる”という意欲をもった80年代前後生まれのデザイナーの考え方に迫ります。

Text by 柳本浩市

CLASKAで発表した新ブランド「mass item」

柳本 専門学校を卒業後に就職するという選択肢はなかったんですか?

海山 親からのすすめもあって卒業後は留学を考えていたのですが、いろいろ事情があって断念することになりました。そのときは就職も考えましたが、自分自身の作品製作はずっとやりたいと思っていましたし、すでにそのころから「Jump Out Mirror」(2004)のデザインを進めていたので、とりあえずこれを形にしようと思いました。

それから卒業した年に「東京デザイナーズブロック」(当時、秋に開催していたデザインイベントのひとつ)に出展し、この「Jump Out Mirror」を発表しました。アイテム的にもファッションと絡ませられたらと思い、アパレルのセレクトショップに提案したところ気に入ってくださって、翌年にそのショップから商品化しました。そんなこともあり、ある意味で危機感もなく気楽にやっていたかもしれないですね(笑)。就職しなかったことについてまわりになにも言われなかったというのも大きかったと思います。

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mass item(マスアイテム)│LADDER/ペーパーストック

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mass item(マスアイテム)│Butterfly/マグネット

柳本 現在、進行中のプロジェクトについて、少しお話を聞かせていただけますか?

海山 まずは先日のDESIGNTIDE TOKYO 2009(メイン会場/ TIDE MARKRT)で新作を発表しました。「Ladder Ruler」という定規です。この定規をつくろうと思った経緯は、定規って使わない時間がほとんどですが、置き場所に困ると思ったんですよね。ペン差しに入れても、バランスが悪くて上手く入らなかったり、引き出しに入れたり出したりするのも……。「Ladder Ruler」はハシゴの形をしているので、机の片隅やパソコンに立てかけておくだけで定規の居場所ができてしまいます。ビジュアル的にもハシゴって魅力的ですしね。

あとDESIGNTIDE TOKYO 2009のエクステンション会場・CLASKAで発表した新ブランド「mass item」(http://www.massitem.com)があります。これはプラスチック製品の生産を主体としている工房、株式会社益基樹脂が主宰しているプロダクトブランドで、僕はデザイン以外にディレクターとしてもかかわらせていただいており、ほかのデザイナーの起用やブランドのCIデザインなども携わらせていただいています。今回の第一弾のデザイナーは僕以外に寺山紀彦さん、熊野亘さん(WATARU KUMANO d.s.)に参加していただきました。ホームページからそれぞれのデザインを見ていただくことができます。

このプロジェクトのなかで僕は今回、ハンガー、手鏡、マグネット、トイレットペーパーホルダーを手がけさせていただきました。また今回の展示会場であるCLASKAはホテルということもあり、ホテルと家の両方で使えるようなものをイメージして提案させていただきました。おかげさまで多くの方にご覧いただくことができ、反響もありました。現在は各アイテム販売に向けて進行しています。

柳本 では最後に海山さんの今後の豊富をお聞かせください

海山 現在進行中のプロジェクトを中心に、これからも日々の生活に小さな驚きや喜びなどの「プラスα」を与えられるようなものをつくりつづけていきたいと思っています。現在はプロダクトが中心ですが、今後は家具にももっと力を入れたいと思っています。またファッションやアクセサリーなど身に付けるものにも興味があるので、ぜひ提案していきたいと思っています。

柳本 ありがとうございました。

海山俊亮 (うみやま しゅんすけ)/ マイクロワークス
1981年 東京都生まれ。在学時からオリジナルデザインの企画・製作を行い、卒業を機に2003年「MicroWorks」設立。
プロダクトを中心に素材やジャンルを超え幅広くデザインを手がける。様々なプロジェクトで作品を発表する一方、「MicroWorks Label」を立ち上げ、自身の作品の開発・販売をしている。
http://www.microworks.jp

           
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