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第2回 アートとデザインの急接近(2)
第1回 アートとデザインの急接近(2)
10年ほど前からメジャーオークションで取り上げられるようになったモダンデザイン。
当初は一部のマニアやコレクターを悦ばせるだけの存在だったが、一部のセレブの間でステイタスとなりはじめたのをきっかけに一般の富裕層にも飛び火。
また、ebayなどの開かれたネットオークションの普及もあって、デザインオークションの入札者が劇的に変わってきている。
彼らはモノの相場ではなく、自己満足の金額で落札し始めたことによって、今までの既成価値を遥かに超えたアートと同等の金額で売買されるようになってきている。
写真=Jamandfix
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表紙の椅子が1億円で落札されたもの。
SOTHEBY'S "IMPORTANT 20TH CENTURY DESIGN" NEW YORK June,2006オークションカタログ
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MARK NEWSON展カタログ(発行:GAGOSIAN GALLERY) 2007 (資料協力:ELMO LEWIS)
ビジネス化するデザイン+アート
昨年夏、記録的な事件が起きた。
1986年に僅かな数だけ制作されたマーク・ニューソンのロッキード・ラウンジが約1億円という金額で落札されたのだ。これは日本のIDEEでも180万円で販売されていたものだ。
そして、今年1月ダミアン・ハーストなどを紹介し、90年代のアートシーンを牽引したNYのガゴシアン・ギャラリーがマーク・ニューソンの展示を行った。
ファインアート界の、それも頂点にいるギャラリーがはじめてデザインを扱ったのだ。これがデザインとアートの接近をもっとも決定づけさせた出来事になった。
ガゴシアンは大理石など高級な素材を使って作品を作らせ(画廊に出入りしている富裕層の好みにあわせたディレクション)1台数千万円にも関わらず、飛ぶように売れたそうだ。
最近ではデザインオークションも1回で20億円近い収益(出品数はほとんど変わらないが以前は2億程度)を出しており、もはやデザインは名実共にアートビジネスとなっている。