Design
2015年5月15日
第1回 アートとデザインの急接近(1)
第1回 アートとデザインの急接近(1)
このところ世界の動きを見ていると、アートとデザインが急接近しだしている。
10年以上前までデザインは一部の愛好家のものでしかなかった。そして戦後のデザインはアートと呼べるものでもなかった気がする。その流れが10年前くらいからオークションなどにも取り上げられここ2、3年で美術品と同等の価値基準を持つまでにもなってきている。この流れはなぜ起こったのだろう。
毎回、デザイン+アートの作家や作品を紹介しながら、この世の中の動きを捉えていきたいと思う。初回は2回に分けてこの現象を大まかに紹介してみたい。
写真=Jamandfix
デザイン・マニアからセレブのステイタスへ
10年ほど前、日本ではイームズ旋風が巻き起こった。
日本でインテリアやデザインがこれだけ社会的に認知されたのはこれが初めてだと思う。それは日本に限ったわけでなく、世界的にもデザインの認知度は上がっていた。それを象徴するかのようにファインアートで有名なサザビーズやクリスティーズといったオークションハウスが、つぎつぎにデザインのオークションをはじめたのだった。
ただその頃は一部のマニアを悦ばせる程度にすぎなかった。この流れはアメリカを中心に多くのモダンオークションハウスを立ち上がらせるきっかけとなったのは事実だ。そして、2、3年前頃から次の大きな変化がおとずれることになる。
ファッションディレクターやハリウッドスターたちがステイタスとしてデザイン・家具を収集するようになり、その影響で富裕層のあいだでデザインが注目を浴びるようになったのだ。この動きによってそれまで、マニアだけで盛り上がっていたデザインオークションに、富裕層が参入しはじめた。
→次回へつづく