Design
2015年5月29日
Berlin-Praha(5)
[石畳]
プラハ城へ登る途中の石畳。張りのパターンもいい。この石はもう600年ほどここで人の足跡を受け止めている。日本で見かけるスクラップ&ビルドの渦中にある建築丸ごと一棟よりもこの1個の方が意味深いだろう。ひとつひとつのそれは摩耗して一カ所の尖りもなく、全てが丸みを帯びていて一歩一歩あるくほどに足裏に心地よさが伝わってくる。それらは時間をかけ成るべくして成った無理のなさを背景に、圧倒的な説得 力を持ってこの路地に存在している。こういうモノの連続でこの町は出来ている。
[吊るされた像]
プラハ中心地の移動は路面電車が便利だが、これもいつの製造かと思うほど古い様子。電車というより鉄の塊。長年塗られて表面の塗料も相当厚い。20年以上前の鹿児島で見ていたやつ以上に古そうである。
町中の古いモール(いたるところに通りから奥に伸びる商店街のようなものがある)に不気味な像がぶら下がってた。ちょうど劇場らしき入り口の前だったから何か関係あるのか、詳しくは知らないが、逆さまに吊るされた馬の腹に人が跨(またが)っている。ただでさえ奇怪な様子なのにこの相当重いであろう像はたった2本のロープで天井から吊るされてるだけ。もし落ちたら……このギリギリな感じ、ちょうどヤン・シュワンクマイヤー(チェコのアーティスト)の狂気的な作品を見ている感じに近い。
とにかく重い、実際の重量もさることながら、空気や質感が輪をかけて重い。例え偏った表現だとしてもこういう明らかに念の入ったモノに妙に興味を引かれる、小手先のつまらないデザインなんかよりよっぽど興味深い。こんな空気感を多く感じられるのも自分にとっての東欧の魅力。
次はロシアからポーランド、そしてチェコへと旅しようと思う。
了