Berlin-Praha(3)
[ハンブルガー・バーンホーフ現代美術館]
古い駅舎を改築した美術館。元駅舎といえばパリのオルセーが有名だけど、あっちが古典ならこっちは現代。鉄骨アーチなど見るとかなり似たフォルムだが、壁・床・天井の考えひとつ見てもこっちは完全にミニマ ルな表現。無駄や贅沢は何ひとつない。また、少し装飾的なあえて当時ままのファサードにはブルーの蛍光灯(Dan Flavinの作品か?)、これもいい。
今回行って驚いたのは、2~300mはあろうかという列車の格納庫を改築した(地下まである)映像インスタレーションを集めたホール。大画面の映像・音・闇・塗料の匂いまでもが合わさって織りなす独特の空気が良かった。空間そのものも現代アート。これも今のベルリンの空気感がよく出た場所だと思った。
[ホロコースト慰霊碑+ユダヤ博物館]
都市部ほぼ中心のブランデンブルグ門のすぐ近くにある、ナチス・ドイツによるホロコーストの犠牲者を追悼する慰霊碑。
墓標に見立てた2711のコンクリートが縦横完璧に整列しながらも、その高さやグランドレベルはランダムなため、中を歩くとどこにいるのか分からなくなったりする。建築家ピーター・アイゼンマンの設計。地下には資料館。
これだけ中心部に作るというのは、虐殺・戦争の歴史を直視するというドイツの姿勢かもしれないが、このコンクリートには落書きとかを簡単に消せる加工が成されてるらしく、実際それが起きても悪くいうとその痕跡を“無かったこと”に出来るということにも。そういうことがないことを祈るけど、現にホロコーストを知らない若年齢層が増えてるらしい。 (ホロコーストに関してはWikipediaで)
ダニエル・リベスキンド設計のユダヤ博物館。中のホロコースト・タワーの遠い光と微かにこだまする外界の音は、確かに彼らの先の見えない心の奥底を見るようで感慨深い反面、もちろん実際のそれとは違うのだという少し冷めた気も同時に起きてしまった。
忘れてはいけない悲惨な過去を伝える手段として、こういうコンセプチャルな“体験型の”モニュメントを考えると、これがそのことに近い感覚だという気にさせてしまうのは見方によっては危険なことかもしれない。実際の惨劇は体験した人にしか知り得ない苦しみなのだから。
こういうモノを通してヒトに当時を想像させ事実を知ろうという気にさせることが重要だし、こういうモノの本当の機能はそこにあるのだと思う。決して、疑似体験させること自体が目的であってはいけないのだろうと思う。
(4)に続く