さる山|ピューター皿のもつ美しさの断片「うつすことから」開催
さる山
同形、同寸のものを異素材で見ることの面白さ
ピューター皿のもつ美しさの断片「うつすことから」開催
今回の「うつすことから」は、加藤良行さん(木工)、西村圭功さん(漆工)、濱中史朗さん(陶工)が出品。前回にも増して、つくり手には難しい試みとなったようです。
Text by SARUYAMA Osamu (さる山)
「うつすことから」すべてははじまる
うつす対象の18世紀イギリスのピューター皿は、直径240mm、高さのない非常に薄いものでありながら、リム部分の幅が広いものです。これを磁器でつくる濱中史朗さんにとっては、歪みを抑えるために、さぞかし大変な苦労を強いられたでしょう。
加藤良行さんの仕事は「挽きもの」ではなく、のみなどの道具で木の固まりから形を彫り出していく「刳りもの」と呼ばれる技法を用いていますので、同心円で構成されている丸皿は得意なかたちではないでしょう。この薄さは、木工品にも歪みとの戦いとなりました。
西村圭功さんは、この仕事を実現できる素材と木地師を求め各地に出向いたそうです。おなじ色の漆でも仕上げを使い分け、さまざまな表情をもった品々が並びます。
加藤さんは宮大工を経て木工の道へ、西村さんは京都の塗師の三代目、濱中さんは萩焼の窯元の二代目です。三者とも、このピューター皿のもつ凛とした姿を見事にうつしとり、さらに多様な展開をされています。同形、同寸のものを異素材で見ることの面白さ、そこから派生したバリエーションの豊かさをご覧いただけたら幸いです。
「うつすことから」
会期|2014年6月29日(日)まで開催中
営業時間|13:00~18:00 会期中無休
『さる山』
東京都港区元麻布3-12-46和光マンション101
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