マクラーレンの新シリーズ、マクラーレンGT日本初披露|McLaren
McLaren GT|マクラーレンGT
新シリーズ、マクラーレンGT日本初披露
マクラーレン オートモーティブ アジアは超軽量のグランドツアラー「マクラーレンGT」を日本で公開した。価格は2,645万円(10%税込み)で、納車は2019年末からの予定だ。
Text & Photographs by UCHIDA Shunichi
マクラーレン流のGTの解釈
現在マクラーレンには、スポーツシリーズ、スーパーシリーズおよびアルティメットシリーズと3つのシリーズがある。このマクラーレンGTはそれらに並ぶ位置づけとなる、マクラーレンファミリー初の、真のグランドツアラーである。
マクラーレン オートモーティブ アジア日本支社代表の正本嘉宏氏は、「GT、グランドツアラーはもともと長距離を快適、かつ短時間で移動するというキャラクターを持ったクルマ。かつ、スタイリッシュで快適でありながら、スポーツカーのようなハンドリングを備えたクルマでした。しかし、長い歴史の中でGTは徐々にラグジュアリー志向になっていった結果、車体のサイズが大きくなり、車重は重くなり、結果としてドライバーとの一体感を失いつつあります」と、グランドツアラーの現状を語る。
そこでマクラーレンは、「昨今のこういったグランドツアラーのあり方に“ニュールール”という新しいヘッドラインとともに、一石を投じたいと考えています」という。具体的には、「快適性、実用性、さらには美しいスタイリングといったGTならではの資質を持つことはもちろんのこと、抜群のパフォーマンスとシュアなハンドリング特性、俊敏性、そしてドライバーとの一体感を高めるライトウエイトなグランドツアラー、こういった従来の常識を塗り替える新たな価値を提供するということです」と述べ、マクラーレンGTの方向性を説明。
その特徴は大きく4つ。一つめは超軽量と革新的な素材の積極的な採用で、具体的には「カーボンモノコックボディから、アルミのマシン加工を施したスイッチの一つひとつまで徹底した軽量化を実現しています。一方で、上質なレザー、カシミヤ、さらには抜群の耐久性を誇るスーパーファブリックといったさまざまな最高級の素材を活用し、高機能かつ上質な室内空間を実現しています」と語る。
2点目は、GTならではの美しいスタイリング、3点目はマクラーレンならではのドライビングダイナミクス、そして4つ目には実用性をあげる。
「スーパーカーでは日常での使い勝手に神経を使うことがあります。例えば歩道を超える時の段差や、路面のバンプなどで擦ってしまうのではないかなどの不安です。しかしマクラーレンGTでは使い勝手を非常に重視していますので、車高をあげて、アプローチアングルにも注意し、実用性、さらにはちょっとした週末の小旅行やゴルフといったシチュエーションにも対応できるような収納力、実用性も持ち合わせているのです」
また、「マクラーレンならではのプレミアム感、稀少性も忘れてはいけません」と述べ、新たなシリーズ追加の背景を説明した。
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新シリーズ、マクラーレンGT日本初披露(2)
圧倒的な加速を誇る
マクラーレンGTは、マクラーレンの各モデルと同様に、圧倒的な強度と剛性を持ちながら、比類なきドライビングダイナミクスとクラス最軽量の車両重量を実現する、カーボンファイバー構造が核となっている。車両重量は1,530kg(DIN)で、最も重い競合モデルよりも200kg以上軽量だという。
搭載されるエンジンは4リッターV型8気筒ツインターボエンジン「M840TE型」で、マクラーレンGTのために開発されたものだ。最高出力は620ps、トルクは3,000rpm〜7,250rpmで95パーセントを、最大の630Nmは5,500rpm〜6,500rpmで発生する。この新しいエンジンと7段SSGトランスミッションの組み合わせにより、直線的で、シームレスかつ圧倒的な加速を生み出している。
その結果、0-100km/h加速は3.2秒、0-200km/h加速は9.0秒を記録。最高速度は326km/hとなっている。
使い勝手や快適性もポイント
グランドツアラーを名乗る同モデルは、当然、使い勝手や快適性も重視された。専用設計の“モノセルII-T”モノコック(Tは「ツーリング(Touring)」の意味)にはカーボンファイバー製のリアアッパー構造が組み込まれており、これによって重量は増えたものの、全体がガラス張りのリアテールゲートの下に420リッターの収容スペースを作り出すことに成功。
エンジン高を低くし、エグソーストの位置に工夫を加えることによって、ラゲッジスペースの容量、形状および使いやすさが最適化でき、ゴルフバッグまたは185cmのスキー板が2セットとブーツ、ならびに手荷物の積載を可能にしている。さらにフロントにも150リッターの収納スペースがあり、収容量は合計で570リッターとなっている。
カーボンファイバー製コア構造が高い強度を持つため、ガラス張りのCピラーとリアクォーターウインドウをデザインに組み込むことが可能となった。その結果、後方の視界が広くなり、また十分な広さが実現されたキャビンにより多くの光が射し込むようになった。また、ディヘドラルドアを上側に開くと、広い開口部と低いシルにより、乗降性も高くなっている。
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新シリーズ、マクラーレンGT日本初披露(3)
実用性のためにフロントは高く
今回の発表会ではイギリスのマクラーレン オートモーティブからチーフデザイナーのゴラン・オズボルト氏も登壇。
「マクラーレンGTは、全く新しいプロダクトで、高速で長距離を走る“究極のラグジュアリーカー”として開発されました」とその性格について語った。
「スタイリングのポイントは3つ、すなわち、流れるようなボディライン、フォーマルダイナミクス、そして大胆なエレガンスです。それらにより、流れるようなシルエット、圧倒的な存在感を演出する大胆なボリュームをエクステリアで感じてもらえるでしょう」
フロント周りでは、「ノーズ位置の高さとともに、際立ったグランドクリアランスも目につくでしょう。これらは実用性の高さに効果を発揮しています」と、使い勝手にも気を使っていることを強調。
サイドでは、「エレガントなフロントフェンダーが、彫刻のようなドア周りに流れるようにつながり、また、すっきりとしたボディラインを演出すべく、フラッシュドアリリースはボディサイドパネルと一体化させました。そして、パワフルでどっしりとしたリアフェンダーはサイドラジエーターを覆うようにデザインされ、力強さと精巧さを表現しています」と説明。マルチスポーク軽量ホイールはGT専用で、フロントは20インチ、リアは21インチとなっている。
インテリアに目を向けると、標準装備されているナッパレザーのトリムは、スペックに応じて上質なソフトグレインレザーかアルカンターラのいずれかにアップグレードが可能だ。2019年末頃には、カシミヤもオプションに追加される予定で、この素材が量産車両に使用されるのは世界初だ。
乗員の快適性を優先
快適性を追求するために、オプティマル コントロール セオリーと呼ばれるソフトウェアが搭載された。これは、「ケンブリッジ大学と協力して作ったソフトウェアで、路面状況を読み、その変化する状況に瞬時に対応するもの。走行を重ねるほどに学習効果からその“知識”を進化させていきます。これはプロアクティブ ダンピング コントロールと連動し、乗員の快適さを優先したセッティングとなっています」と説明。しかし、マクラーレンらしく、“コンフォート” “スポーツ” “トラック”という3つのアクティブ ダイナミクス ハンドリング モードも用意され、ドライバーの好みに応じてセッティングの変更が可能となる。
順調なマクラーレンビジネス
さて、マクラーレンの日本のビジネスについて正本氏は、「順調に推移しています。現在日本マーケットは、アメリカ、イギリスに次いでグローバルランキング3位です。今年度の販売台数も、前年比で64パーセント増と極めて好調に推移しています。さらに先月にはついに、国内の累計登録台数が1,000台を超えるという極めて象徴的な節目を迎えました」と好調に推移していることを強調した。
McLaren GT|マクラーレン GT
ボディサイズ|全長 4,683 × 全幅 2,045(ミラー収納時) × 全高 1,213 mm
ホイールベース|2,675 mm
乾燥重量|1,466 kg(油類及び燃料90パーセント積載のDIN値は1,530 kg)
エンジン|3,994 cc V型8気筒 ツインターボ
最高出力| 456 kW(620 ps) / 7,500 rpm
最大トルク|630 Nm / 5,500-6,500 rpm
トランスミッション|7段オートマチック(SSG)
駆動方式|MR
ブレーキ 前|φ367 mm キャストアイアン ディスク
ブレーキ 後|φ354 mm キャストアイアン ディスク
サスペンション|ダブル ウィッシュボーン
タイヤ 前/後|225/35R20 / 295/30R21
トランク容量|フロント 150リッター、リア 420リッター
最高速度|326 km/h
0-100km/h加速|3.2 秒
0-200km/h加速|9.0 秒
200-0km/h減速|127メートル
100-0km/h減速|32メートル
CO2排出量(WLTP)|270 g/km
燃費(WLTP combined)|11.9 ℓ/100km(およそ8.4 km/ℓ)