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2021年11月30日
ランボルギーニ ウラカンSTOの試乗──内燃機関の魅力を極限まで推し進めたようなクルマ|Lamborghini
降りてきたらみんな笑顔になるクルマ
運転席も、機能的にはサーキット走行に向いている設計だ。主要な操作類が分かりやすいところにそなわり、インフォテイメントなどレースで必要ない装備の操作系は、いってみれば二次的な位置に配置され、区別しやすい。
小径のステアリングホイールは人工スエード巻なので、手にしっくりなじむ。ステアリングスポークに設けられたドライブモードで、スポーティ、ノーマル(これでも速い)、それにウェット(充分速い)を選ぶのも簡単。
ステアリングホイール背後に設けられた上下に長いパドルシフトを引いて7段ツインクラッチの変速機で1速を選んだのち、ブレーキペダルからアクセルペダルへと右足を移し替え、軽く踏み込んだだけで、ええッ?と声が出るほど力強い加速力で発進する。
ブレーキの制動力もレースカーのように強力なので、コーナーのぎりぎり手前まで加速していけるのも、このクルマの感動的なポイントだ。6速、7速まで加速していき、この辺かなと思うところで、ぽんとブレーキを踏み、パドルでシフトダウンしていく。
眼の前に見えない壁があるように、ごく短時間で効果的に減速。トルクは最大値6500rpmとはいうものの、エンジン回転域の広い範囲にわたって実用十分な力を発揮するため、3000rpmあたりをキープしながら、コーナーを回っていくのも、スムーズの一言に尽きる。
コーナーでの身のこなしは軽い。高速コーナーでの路面に張り付くような安定性といい、小さなコーナーでのすばやいステアリングホイールの操作に対応した車体のスムーズな動きといい、体験すると、“これはいいね!”と思わず破顔してしまう。
「降りてきたらみんな笑顔になるクルマですよ」。試乗会当日、ランボルギーニジャパンでヘッド・オブ・ジャパンを務めるダビデ・スレフレコラ氏が言っていたとおりだった。
現役のレーシングドライバーも試乗に参加していたので、感想を求めると「こんなに素直で許容量が大きなスポーツカーはそうそうないのでは」と、やはり笑顔で応えてくれた。スポーツカーってこういうところがいいなあと、あらためて感心した次第。
ランボルギーニも、ハイブリッド化、そしてその先にはピュア電動化を推進しているという。噂ではV12エンジンのプラグインハイブリッドなんて超ド級モデルの計画もあるとか。それはそれで楽しみであるものの、内燃機関の魅力を極限まで推し進めたようなウラカンSTOは、自動車黄金時代を象徴するミュージアムピースのようなモデル、と呼びたくなった。
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