TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス(後編)|真の銘品に上り詰めた
TOYOTA PRIUS|トヨタ・プリウス(後編)
真の銘品に上り詰めた
6月17日時点で、18万台という途方もないバックオーダーを抱えていることをアナウンスされたトヨタ・プリウス。前編にひきつづき、大ヒットとなった元祖ハイブリッドのニューモデルの真価をたしかめる。
文=渡辺敏史写真=河野敦樹
ウィークポイントだった高速燃費の改善にも成功
発進から最高速(180km/h)まで全域で作用するモーターアシストと、高速巡航時のエンジン回転数を落とす目的で1.8リッターに拡大されたアトキンソンサイクルエンジン。新型プリウスは他の追随を許さない街中領域での低燃費にくわえ、これまでのウィークポイントだった高速燃費の改善にも成功した。
恐らく新型プリウスは、130km/h巡航を基準とするヨーロッパの高速道路事情に焦点を合わせ、そこでしのぎを削るフォルクスワーゲンやプジョー、フィアット等の新世代ディーゼル車に対して同等以上の燃費性能を得ることを必達条件にしたのだろう。すなわち新型プリウスは、日米の成功を後ろ盾にいよいよ本格的に欧州市場に打って出る構えということだ。
その欧州市場に導入される仕様は、件のツーリングセレクション。アシを硬め操舵応答性をきっちり確保し、高速領域のドライバビリティを重視したそれは、低速域での乗り心地も及第点を与えられるもので、個人的には現状のプリウスでベストグレードではないかと思う。
カローラに代わる存在になる!?
ちなみにほかのグレードはタイヤやサスペンションだけではなく、パワーステアリングの部品等もふくめて意外と細かく作り分けがされており、従来のプリウスの延長線的なドライバビリティにある。購入を考えるならできるだけ両グレードの試乗をお薦めしておきたい。
そのGツーリングセレクションに乗り、平日の昼下がりの横浜で僕が出した燃費は25.7km/l。最廉価のLであれば走行抵抗が低減することもあり、更に一割近い燃費向上が見込めるはずだ。要はどこまでエコドライブに徹するかだが、恐らく普通のひとが普通に乗っての新型プリウスの実用燃費は、街中で20km/l強、高速で25km/l付近という感じに収まるのではないだろうか。
それにしても凄まじい売れ行きである。このままの勢いでいけば、プリウスがカローラにとって代わる存在になるのもそう時間はかからないだろう。裏返せば希少性という面からの、ブランドイメージの維持はもはや困難な状況だ。言い換えればもはやプリウスは、前型の初期にみられたような、ファッションの小道具的な存在にはなり得ないともいえる。
しかしこれは非常に肯定的に捉えるべき現象だと思う。生活のなかの当たり前の環境活動としてこれを選ぶ。そういうひとが増えたことを物語るその数字をみるにつけ、プリウスは真の銘品に上り詰めたのだと実感する。ひとつの商品がそれほどの存在となることは本当に大変なことだ。プリウスはそれを、たった12年で実現したわけである。
トヨタ・プリウス S “ツーリングセレクション”
ボディ|全長4460×全幅1745×全高1490mm ホイールベース2700mm
車両重量|1380kg
エンジン|1.8l直列4気筒+電気モーター
最高出力|エンジン:73kW[99ps]/5200rpm モーター:60kW[82ps]
最大トルク|エンジン:142Nm[14.5kgm]/4000rpm モーター:207Nm[21.1kgm]
駆動方式|FF
トランスミッション|電気式無段変速機
価格|245万円
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