ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWDに試乗する|Volvo
CAR / IMPRESSION
2015年7月29日

ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWDに試乗する|Volvo

Volvo V40 Cross Country T5 AWD |ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWD

ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWDに試乗する

現在ボルボのエントリーシリーズを担うのが「V40」シリーズ。なかでも標準モデルよりも車高を上げルーフレールを装着したアドベンチャースピリットあふれる「クロスカントリー」は、行動半径の広いアクティブなライフスタイルをおくるユーザー注目のモデル。今回は、新世代パワートレーン「Drive-E(ドライブイー)」と呼ばれる2.0リッター4気筒直噴ターボ「T5」エンジンを搭載した日本限定200台の「V40 クロスカントリー T5 AWD」で山梨県北杜市にある明野・ミサワワイナリーまでのロングツーリングをおこなった。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by HANAMURA Hidenori

最新のV40 クロスカントリーで山梨を目指す

新緑の山々を切り裂くように八王子からつづくワインディングセクションを勝沼で抜けると、眼下に広がるのは甲府盆地。ここからは、しばらく見通しの良いストレートがつづく。山間部を抜けた後のストレートなので、ついついアクセルに力が入ってしまうという気持ちは分かるが、赤色灯を隠した公務中の車両も多いので注意は必要だ。

もっとも、今回はすべて中央高速道路の制限速度である80km/h巡行では、バルクヘッドを通して聞こえるエンジンノイズやフロアから伝わるロードノイズも最小限で、快適なキャビンが保たれている。

ステアリングを軽く握るだけでキッチリと決まる直進安定性の良さは、ロングツーリングの際に感じやすい疲労やドライブそのもののストレスを大幅に低減してくれる。見逃されがちだが、クルマが真っ直ぐ走るという性能はかなり重要で、じつはこれがきちんとできていないクルマも少なくはない。

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少しの外乱でステアリングがチョロチョロと動き、ドライバーが修正舵を入れないと直進が簡単には保てないクルマは、良いクルマとはいえない。しかし、通常はドライバーがこうしたタイヤの動きを意識することなく、微妙な修正舵を反射的に当てているので、それが分かりづらいからやっかいなのだ。

乗り心地だけではなく、ステアリングに軽く手を添えるだけで真っ直ぐに走れるシャシー性能の確かさと、追い越しをかける際にアクセルに反応し、瞬時にキックダウンをおこなう最高出力180kW(245ps)、最大トルク350Nm(35.7kgm)の2.0リッター ターボエンジンは、あたらしい8段ATとのコンビネーションも抜群で、実に扱いやすいという印象だ。

ただし、今回のドライブでは、首都高を過ぎ、中央高速道路に入ってからというもの、この右足を使うキックダウンは一度もおこっていない。いや、正しくは、自分自身で一度もおこなっていないというべきだろう。

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ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWDに試乗する (2)

Drive-Eエンジン搭載でパフォーマンスアップ

なぜなら、中央道の三鷹を過ぎたあたりから、全車速追従機能付きACC(アダプティブ クルーズ コントロール)を使用して高速走行をおこなっているからだ。よって右足は常にフリー。本線上では、アクセルもブレーキも踏んでいない。全車速追従機能付きACCはステアリングに用意されるスイッチのみでコントロールでき、視線をほとんど動かすことなく安全にクルマの流れに乗れる。

制限速度に合わせいったんセットしてしまえば、あとはクルマ任せで快適な高速クルーズがおこなわれる。ドライバーはクルマの前後に気を配れば良く、その後はアクセル操作もブレーキ操作も必要ない。設定速度の範囲内でクルマが自動的に加減速をおこない、車間距離をキープしてくれる。

突然の割り込みではスムーズにブレーキング、前車が車線変更し前方が空いた際などは、力強く加速し、設定速度までスピードを上げる。これほど実用的で信頼できる装備を、ロングドライブで使わないわけにはいかない。

そう、今回ロングドライブに連れ出したのは、ボルボが新世代パワートレーン「Drive-E (ドライブイー)」と呼ぶ2.0リッターの4気筒直噴ターボ「T5」ユニットを搭載した、「V40 クロスカントリー T5 AWD」である。このエンジンは、今回の主題である「V40 クロスカントリー T5 AWD」と、専用のスポーツサスペンションやスポーティなエクステリアを採用した「V40 T5 R-DESIGN」にのみ採用される、進化したV40シリーズではもっともハイパワーなエンジンだ。

ハイパワーなだけではない。パワーとトルクは従来型と比べ23kW(32ps)、50Nm(5.1kgm)をそれぞれ向上させながら、JC08モード燃費はリッターあたり14.8kmと、約14パーセント(2.4km/ℓ)も改善。これには7速と8速ギアをオーバードライブに設定した新開発8段ATも大きく貢献しているといえる。

この8段ATはパドルシフト付で、マニュアル感覚の操作も可能。スポーティなドライビングが楽しめる仕様である。ターボラグの少ない自然吸気エンジンのようなアクセルレスポンスが味わえるは、このエンジンとトランスミッションのコンビネーションが織りなす大きな魅力だろう。

さらにいえば、「Drive-E (ドライブイー)」とAWDシステムの組み合わせは、「V40 クロスカントリー T5 AWD」が初のラインナップにして現状で唯一の選択肢である。おなじエンジンの「V40 T5 R-DESIGN」は、ほかのラインナップ同様FFだ。

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エントリーモデルにして全天候型グランドツアラー

全天候型ともいえるAWDと標準仕様よりも10mm車高を上げ、さらにルーフレールを備えたエクステリアは、スポーツやレジャーでクルマをガンガン使うアクティブなユーザーに大きくアピールするはずである。ただし、日本限定200台と販売台数は決まっているので、気になるのであれば、早めにアクションを起こさなくてはならない。

インテリアは、モダンスカンジナビアンとボルボが呼ぶラグジュアリーな雰囲気が特徴的だ。チャコール&ブロンドのツートーンカラーの本革シートや明るめのカラーがアクセントとなるモダンウッドのパネルをセンタコンソールに標準採用し、また直感的に操作可能な新世代インターフェース「SENSUS(センサス)」を備えたナビゲーションシステムも標準装備される。

いっぽうボルボといえば安全性というほどに定評あるセーフティでデバイスは、歩行者・サイクリスト検知機能付き追突回避・軽減フルオートブレーキシステムや、前述の全車速追従機能付きACC(アダプティブ クルーズ コントロール)/車間警告機能など10種類の先進安全装備・運転支援機能を備えた「IntelliSafe10(インテリセーフテン)」のほか、「歩行者エアバッグ」を標準装備としている。

静かに保たれたキャビンと、全車速追従機能付きACCに頼り中央高速を快適に走行し、クルマが到着したのは、今回の目的地、山梨県北社市明野町にある「明野 ミサワワイナリー」だ。明野ミサワワイナリーでは、2002年から甲州種ブドウを栽培。甲州種とは日本で唯一の在来種、つまり日本固有のブドウで、じつは1000年も前から栽培される古いブドウなのだという。

南アルプス連峰を正面に、北に八ヶ岳を望む「明野 ミサワワイナリー」の持つテラス構造の畑は、当初9ヘクタールから栽培をスタートし、いまでは12ヘクタールにまで規模を拡大している。

そこで生み出されるのが、甲州種ブドウを使った「グレイス」と名付けられたワインだ。いまでは日本をはじめ海外の航空会社などで採用され、日本の三つ星レストランはもとより、シンガポールやベルギーの有名ホテルにも置かれているのだという。

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見た目よりも狭くない居住空間

今回のランチでは、そのワインと共に新鮮な地元の食材を使った「マダム三澤」のオリジナル野菜マリネや、季節の野菜小鉢と天ぷら、おざらと呼ばれる夏のほうとうが振る舞われた。

空気の良い南アルプスを望むブドウ畑で栽培、収穫され、このワイナリーで除梗破砕、搾汁、発酵、熟成を経てワインとなった自慢の「グレイスワイン」と地元食材の料理のマッチングは、ともに大地の恵みを受けたものがもたらすひじょうに印象的なものだった。帰りの運転を担当するハンドルキーパーには申し訳ないが、山梨の味わいをしっかりと楽しめた。ちなみに「明野 ミサワワイナリー」では、予約制のワイナリーツアーもおこなっているという。

帰路はちょうど中央高速道の集中工事もあったため、富士五湖道路を経由し東名高速道に回るルートを選択し都心を目指した。遠回りにはなるが、気にすることではない。ステアリングを握るのはランチで「グレイスワイン」を楽しめなかったハンドルキーパーである(すまない)。

心地よいワインの酔いと「V40 クロスカントリー T5 AWD」の締まったアシがもたらすリアシートの乗り心地もあって、遠慮なく前後不覚に陥り、都心に入ったのは18時もまわった頃だった。

V40 T4やT4 SEに新採用された快適性重視のツーリングシャシー(従来比でフロント10パーセント、リア12パーセントソフトな設定のスプリングを採用)に比べ、「V40 クロスカントリー T5 AWD」のリアサスはまだ硬めだが、ボディとの動きに破綻がないので不快感なくたっぷり2時間リアシートで休めたのは、体験したものでなければ分からないあらたなる事実。

見た目よりも狭くない居住空間もまた、V40シリーズでの新発見であった。

1日たっぷりとロングツーリングをおこない、たまにはリアシートに収まるドライブも悪くないと、改めてボルボに教わったような気がした。

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Volvo V40 Cross Country T5 AWD |ボルボ V40 クロスカントリー T5 AWD
ボディサイズ|全長 4,370 × 全幅 1,800 × 全高1,470 mm
ホイールベース|2,645 mm
トレッド 前/後|1,550 / 1,540 mm
重量|1,580 kg
エンジン|1,968 cc 直列4気筒直噴 ターボ
最高出力| 180 kW(245 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|350 Nm(35.7kgm) / 1,500-4,800 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|4WD
最小回転半径|5.4 m
価格|439万円

問い合わせ先

お客様相談室

0120-922-662(受付時間 平日9:00-17:00)

           
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