Volkswagen Golf Cabriolet 久びさに登場したゴルフ カブリオレに試乗
CAR / IMPRESSION
2015年3月6日

Volkswagen Golf Cabriolet 久びさに登場したゴルフ カブリオレに試乗

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ

久びさに登場した新型 ゴルフ カブリオレに試乗!(1)

フォルクスワーゲン グループ ジャパンにより、2011年10月1日に発売されたフォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ。9年ぶりに登場した4代目カブリオレは「近年まれにみるペースで販売店の店頭からカタログがなくなっている」(マーケティング担当者)とのこと。

文=小川フミオ写真=荒川正幸

ルーフを閉めてもカブリオレであることがわかる優越感

ゴルフ カブリオレ(399.9万円)は、1.4リッター4気筒エンジンに、スーパーチャージャーとターボチャージャーを組みあわせた、いわゆるツインチャージャーエンジンを搭載。身長175cmを超える乗員が4人、きゅうくつな思いをせずに座れるパッケージングと、メタルルーフの開閉による、いわゆるクーペ/カブリオレでない、キャンバス地のソフトトップを採用しているのも特徴だ。

「ルーフを閉めているとき、ブラックのソフトトップだと、カブリオレとわかるある種の優越感も評価していただいている」とマーケティング担当者は語る。電動ソフトトップは開けたときに、コンパクトにボディに収まる。やたら凝った仕掛けを排除した見返りに、開くのに要する時間はわずか9.5秒。トランク容量も実用に充分な大きさが確保されている。

ダウンサイジングコンセプト採用で、小排気量エンジンの恩恵で15.4km/ℓ(10・15モード)の燃費を実現。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 試乗|02

ロールオーバープロテクションシステムをはじめ、高い衝突安全性。快適に乗車ができるパッケージング。ゴルフ ハッチバックをさらに精悍したスタイリングにくわえ、機能的な魅力を多く兼ね備えていると、フォルクスワーゲンでは謳っている。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ

久びさに登場した新型 ゴルフ カブリオレに試乗!(2)

1.4リッター4気筒「ツインチャージャー」ユニットのモノグレード

ゴルフ カブリオレの「心臓」は、ゴルフ ハイラインとおなじ1.4リッター4気筒「ツインチャージャー」ユニット。スーパーチャージャーが低回転域によりトルクを与え、インタークーラーつきターボチャージャーが高回転域でパンチのある加速感をもたらしてくれる。最高出力は160ps/5,800rpm、最大トルクは240Nm/1,500-4,500rpmとなる。組みあわされるのは、7段のデュアルクラッチシステム、いわゆるDSGだ。

160psのツインチャージャーエンジンのゴルフ ハイラインは、かつてのGTIもかくや思わせるパワフルさを特徴としている。いっぽうおなじエンジンのカブリオレには、そこまでのパワー感がないというのが試乗の印象だ。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 試乗|04

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 試乗|05

3,000rpmを超えると一瞬にしてスポーティな印象に

とくに低回転域では若干トルクが細く、市街地できびきび走るには、ややアクセルを強く踏みこむ必要がある。ただし3,000rpmを超えると印象は一瞬にして、スポーティなものと変わる。高回転域を使うと、ゴルフ カブリオレは、矢のように疾走する。

同時にトップを閉めているときの室内騒音は、比較的よく抑えられていて、日本の高速道路の速度域では、意外なほど静かだ。ウィンドシールドとソフトトップの結合部分から少し風切り音がするが、全体としていやなこもり音が気になることはない。洗練された印象だ。

乗り心地もよく、ダンピングは入念に調整されていて、突き上げもなければ、減衰のときにフワフワと揺れがつづくこともない。ひとことで言うと、だれが乗っても違和感のない出来。これがじつはむずかしいのだが、ゴルフ カブリオレは上手にそれを成し遂げているのに感心した。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ

久びさに登場した新型 ゴルフ カブリオレに試乗!(3)

フルオープンならではの爽快感を存分に味わうことができるデザイン

オープン走行時の快適性も高い。30km/hなら走行中でも開閉可能のソフトトップ。オープンにすると、傾斜が強められたウィンドシールドのおかげで、運転中すこし視線を上にあげただけで、空を見ることができる。

せっかくフルオープンのクルマに乗っているのだから、気分的な爽快感も味わいたい。その思いを満足させてくれる上手なデザインだ。

いっぽう風の巻き込みは、効果的に抑えられている。個人的にはフルオープンのときは風に吹かれていいと思うのだが、まあ、オープンの雰囲気とともに、風に邪魔されない快適性を同時に手に入れたいドライバーが多いのは事実だろう。サイドウィンドウを上げれば、日本の制限速度内では快適なフルオープンドライブが味わえる。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 試乗|07

ウィンドディフレクターを標準装備

4枚のサイドウィンドウの開閉は、ひとつのスイッチ操作でおこなえる。開閉速度もおどろくほど速い。電動ソフトトップとともに開閉システムに採用されたギアの比率が適切なのだろう。こういうメカニズムにも、ひとは無意識下だろうと、クオリティを感じるものだ。

2名乗車のときはさらに前席背後にウィンドディフレクターを装備できる。「多くのカブリオレモデルでオプション設定されているウィンドディフレクターもゴルフ カブリオレでは標準装備です」とフォルクスワーゲンの広報は胸を張る。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ

久びさに登場した新型 ゴルフ カブリオレに試乗!(4)

カルマン社による美しいボディデザイン

ゴルフ カブリオレは「洗練されたおとながターゲット」(フォルクスワーゲン)と言うだけあって、スタイリングとともに品質感の高さが印象に残る。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 試乗|09

スタイリングの面では、ソフトトップを下げたときの特別感もさることながら、上げたときにスタイリッシュなクーペに見えるデザインがみごと。美しい造型だ。2010年からフォルクスワーゲン傘下に入ったカルマン社(歴代のゴルフ カブリオレのボディ製造を手がけてきた)の、質の高い仕事ぶりだ。

幌を開けたときは、ドアの上端部からトランクのほうにかけてぐるりと半円状に装着されたクロームのアクセントトリムが際立つ。

充実した内外装の組みあわせ

この視覚的効果を十全に活かすためには、サイドウィンドウは全開にして走るほうが、よりスタイリッシュだ。

カブリオレはサイドウィンドウを上げていてもよくて、ロードスターはサイドウィンドウは下げていなくてはならない、というのが欧米でよく見られるクルマの「きまり」だが、このゴルフは例外的なカブリオレだ。

標準装備されたレザーシートの感触は、比較的ソフトで、バケット形状だが、再度サポートが障害になって、乗り降りに困難を感じることは少なそうだ。車体色は5色、シート色は4色。さまざまな組みあわせが楽しめる。

カブリオレなので開けたときのドラマチックな演出を考えると、おとなしい車体色に、派手な内装色の組み合わせがいいかもしれない。クルマに乗るときぐらい、劇的な体験を。それをゴルフ カブリオレは実現してくれる。

Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ 試乗|10

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Volkswagen Golf Cabriolet|フォルクスワーゲン ゴルフ カブリオレ
ボディ|全長4,260×全幅1,780×全高1,430mm
ホイールベース|2,575mm
エンジン|1.4リッター DOHCインタークーラーつきターボ+スーパーチャージャー 直列4気筒
トランスミッション|7段DSG
最高出力|118kW(160ps)/5,800rpm
最大トルク|240Nm(24.5kgm)/1,500-4,500rpm
10・15モード燃費|15,4km/ℓ
CO2排出量|151g/km
乗車定員|4名
駆動方式|前輪駆動
価格|399万円

           
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