Chapter 3 受け継がれるクーペのDNA
Chapter 3 受け継がれるクーペのDNA
高級車メーカーとして、それぞれの時代を代表するクーペを生み出してきたBMW。そこに貫かれるのは絶対的なエレガンスとスポーティネスだ。長い歴史のなかで生み出された数々のクーペのDNAは、今日のモデルにも受け継がれ、そしてX6へとつながる。BMWが誇る、珠玉のラグジュアリークーペたち。
Photo by BMW
高級4シータークーペの気品
BMW 6シリーズ クーペ
世界でもっとも美しいクーペと称された初代「6シリーズ」。しばしの休眠を経て復活した現行2代目も、優美さと精悍さをあわせもつスタイリッシュクーペであることにかわりはない。
スタイリングを指揮したのは、BMWのデザインチーフであるクリス・バングル。伝統美のなかに新しさを創出しようとする彼の意欲があらわれている。
全体的に滑らかな曲線で構成されるフォルムに、長めのノーズからルーフ、リアへと伸びるスリークなラインを採り入れ、クーペ独特の流麗さを演出。一方リアエンドは、世界的に話題を集めた「7シリーズ」にも通ずる斬新な造形とし、ワイドなトレッドとあいまって、力強さとスポーティネスの象徴として、後を追うものの目に焼きつける。
インテリアでは、最上級の素材をふんだんに用いることで、高級4シータークーペとしての気品を引き立てる。ハイエンドなパーソナルクーペのお手本的として誰にでも薦められる1台である。
630i 3.0リッター直6エンジン+6AT 917万円
650i 4.8リッターV8エンジン+6AT 1154万円
強烈な個性と存在感
BMW Z4 クーペ
もし、クーペに強烈な個性と存在感を求めるのなら、BMWの2シータースポーツ「Z4クーペ」はいかがだろうか。
BMWのデザイングル、クリス・バングルが「フレイム・サーフェイス」(炎のような面)と表するフォルムは、過激なまでにアグレッシブでアバンギャルド。ロングノーズ、ショートデッキ、そして短いオーバーハングという、スポーツクーペの定石を踏みながら、まるで折り紙を折るように各所にシャープなラインを引き、そして曲面と凹凸を巧みに配置。前後左右から眺めると万華鏡のような多彩な表情を見せるのだが、しかし1本の矢のようにシャープなフォルムにまとめあげられている。奇才バングルが生み出した、この世にふたつとない意匠だ。
リア寄りのキャビンに乗り込み、これまた後方に追いやられた低いシートにかけると、適度にタイトな空間に包まれる。長いノーズに収められるエンジンに火をつければ、孤高の走りの世界へと誘われることだろう。
Z4クーペ 3.0si 3.0リッター直6エンジン+6AT 578万円
細部にわたるクーペへのこだわり
BMW 3シリーズ クーペ
豊富なボディバリエーションをそろえるBMWの主力モデル「3シリーズ」にも、2ドアクーペは存在する。もともとスポーツセダンとして定評のある3シリーズだが、クーペはそれ以上にダイナミックでエレガント。なぜなら、ボディパネルはクーペ専用で仕立てられ、セダンと共用しているものは1枚もないのだ。このことは、妥協を許さない、究極のクーペデザインを求める姿勢のあらわれである。
クーペの独自性は、低く伸びやかなルーフラインのみならず、低く配置することでノーズをより長く見せる効果を狙った「キドニー・グリル」や、サイドの流れるようなライン、セダンより多くの水平ラインを採り入れワイド感と安定感を強めたリアビューなど、随所に散見される。
車内では、フロントからリアまで伸びるセンターコンソールがクーペらしいパーソナルな空間を演出。メーター類の目盛りや針のデザインをスポーティにするなど、細部にわたりこだわりを見せる。
320iクーペ 2.0リッター直4エンジン+6AT 441万円
320iクーペ 2.0リッター直4エンジン+6MT 430万円
335iクーペ 3.0リッター直6エンジン+6AT 706万円