Volkswagen|すべてのユーザーが購入可能なEVを
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2015年3月6日

Volkswagen|すべてのユーザーが購入可能なEVを

Volkswagen |フォルクスワーゲン

すべてのユーザーが購入可能なEVを

フォルクスワーゲングループは、カリフォルニアにおいて、EVやハイブリッドなど環境対応車の市場投入プランである「e モビリティ」をさらに推し進めることを発表した。

文=ジラフ

2013年にはゴルフ・ブルーeモーションを発売

アメリカのカリフォルニア州パロアルトには、ドイツ本国以外としては最大規模となるフォルクスワーゲンのERL(エレクトロニクス・リサーチ・ラボラトリー)が設立され、約100名のエンジニアが、日々、研究に取り組んでいる。今回の発表は、ここでの研究をさらに強化するというものだった。

フォルクスワーゲンは、「トゥアレグ ハイブリッド」につづき、2012年には新型「ジェッタ ハイブリッド」、さらに2013年には「E-Up!」の市販モデルと「ゴルフ・ブルーeモーション」を発売することを公表。E-Up!の市販モデルとゴルフ・ブルーeモーションは、フォルクスワーゲングループとしては米国初の市販EVになるという。

またマルティン・ヴィンターコルン会長は、「フォルクスワーゲンは、すべてのユーザーが購入可能なEVを発売する自動車メーカーとなる」と表明。フォルクスワーゲングループは、EVという分野に、本格的に取り組んでいくことになる。

BRAND HISTORY
フォルクスワーゲンは1936年に設立された自動車メーカー。スポーツカーなど手がけないため、実直なイメージの強いメーカーだが、技術力は高く、世界でもトップクラスの乗用車メーカーの地位を守っている。

フォルクスワーゲンで特徴的なのは、欧州では珍しく戦後本格的にスタートした自動車メーカーであること。そして、創設者といえる技術者、ドクター・フェルディナント・ポルシェの自動車づくりへの情熱を、いまもヘリティッジとして大切にしていると感じさせること。

タイプ1ともよばれる、いわゆるビートルで礎を築いたあと、買収したアウディの技術でより広い市場をカバーする乗用車づくりを手がけるようになった。ブレークスルーは1974年発表のゴルフで、使い勝手のよさと走りという自動車に求められるふたつの機能をみごとに両立させ大ヒットとなった。そのクルマづくりの精神は今も受け継がれており、フォルクスワーゲンのモデルは実直だが、運転する楽しさもきちんと備えている。先代ゴルフではいち早くデュアルクラッチシステムを採用したのも注目点。

フォルクスワーゲンは同時にマーケティングが巧みな会社でもある。ゴルフにGTIを設定してホットハッチ(速いハッチバック車)というジャンルを確立したのは、自動車史に残る偉業ともいえる。ブランドの使い方にも長けている。傘下のアウディには独自の4輪駆動技術であるクワトロを採用して、先進的なイメージでフォルクスワーゲンとは異なる市場の開拓に成功。さらに現在は、ランボルギーニ、ベントレー、そして世界でもっとも高性能かつ高価なスポーツカーともいえるブガッティをもち、ポルシェの筆頭株主でもある。

1990年代の後半には、日本車を凌駕することを目標に、品質の向上に大きく力を入れた。結果、作りのよさでは世界基準となるまでに。さらにこのところ、静粛性向上も著しく、かつての日本車の牙城は大きく脅かされているといえる。

日本におけるラインナップは、コンパクトハッチバックのポロ、ゴルフとステーションワゴン版であるゴルフ・バリアント、マルチパーパス・ミニバンのトゥーラン、ゴルフのセダン版のジェッタ、大ぶりなボディをもつパサート・バリアントが中心。くわえて、2ドアクーペのシロッコと、4ドアだけれどクーペのようなスタイリッシュさが売りもののパサートCC、そしてSUVではティグワンと、大型のトゥアレグが並ぶ。

ゴルフはとくにバリエーションが豊富で、1.2リッターターボエンジン搭載車から、GTIそして、4輪駆動システムに256psのエンジンを組み合わせたゴルフRまで。燃費よく快適なモデルから、走りを楽しむドライバー向けのモデルまで、フォルクスワーゲンの自動車づくりにおける幅と奥行きがここにもよくあらわれている。

           
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