最新軽自動車ベスト3|第5回 (前編)|「軽は、脱税スレスレくらいにおトク」
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2015年4月14日

最新軽自動車ベスト3|第5回 (前編)|「軽は、脱税スレスレくらいにおトク」

第5回:最新軽自動車ベスト3(前編)

「軽は、脱税スレスレくらいにおトク」

自動車の国内販売が鈍化する昨今にあって好調なのが軽自動車。2006年の年間新車販売台数は202万3619台(前年比5.2%増)、3年連続のプラス成長となり、過去最高を記録した。

このことは、自動車における格差の象徴なのか? 下野康史が最新の軽自動車について語る。

文=下野康史写真=三菱自動車/ダイハツ工業

2006年1月発売、三菱の力作「i (アイ)」。「リア・ミドシップレイアウト」なる凝ったプラットフォーム(車台)に、曲線を多用した斬新な意匠を被せた。

クルマにお金をかけない人のクルマ

アメリカで高額宝クジに当たった人の多くは、その後、破産してしまうのだそうだ。身近な人が持ち込む投資話でたいてい失敗するのと、あとはきまって豪邸と高級車を買ってしまうからだという。
豪邸も“豪車”も、買うときは高いが、値落ちが激しく、売るときは安い。「目に見える立派なモノ」に、実はその押し出しほどの価値はない、ということなのだろうか。

軽自動車は、クルマにお金をかけない人のクルマである。豪車の対極だ。イニシャルコストも安いが、それ以上に維持費が安い。とくに、所有しているだけでかかる経費が、白いナンバーに比べてだいぶおトクである。

どれくらいおトクか。軽の次に安い1000ccクラスと比べると、新車を買って3年間乗る場合、自動車税+重量税+自賠責保険料の合計が、リッターカーは16万9100円かかるのに対して、軽は6万9060円ですむ。1.5リッタークラスだと20万3000円になる。

まったくクルマを動かさなくても発生する公的コストからして、これだけ違うのである。

2人乗りコンパクトオープン「ダイハツ・コペン」は2002年6月にデビュー。ニッチ市場向けだったが、ひそかなヒット作に成長した。

マイベスト3は安くない

ぼくが乗っている「スマート・フォーツー」は、車重790kgだ。排気量は698ccなので、660ccの黄色ナンバーは付けられないが、しかし、車重は軽並みか、それ以下である。
白ナンバー車としては最低ランクの1トン以下だから、新車購入時に支払う3年分の重量税は3万7800円である。

ところが、軽乗用車はこの税金も1万3200円ですむ。ワンボックスタイプの4WDのターボ車だと、いまの軽はかるく1トンを超すのに、ボクのスマートより安いのだ。なぜなら、軽乗用車の重量税は、車重にかかわらず、一律だからである。

軽四輪というカテゴリーが発足した当初、軽は軽いのがあたりまえだった。その後、半世紀のあいだに軽のキャラクターはすっかり様変わりしたのに、当時の“おめこぼし”がいまだに生きているのである。

逆に言うと、それくらい軽は優遇されている。もう、脱税スレスレくらいにおトクなのである。景気回復の実感がなかなか味わえないこの時代、軽の人気が高まる一方なのも、むべなるかなだ。

そこで、今回は軽のマイベスト3をあげてみたい。「三菱i」「ダイハツ・コペン」「ダイハツ・ソニカ」である。

3台に共通して言えるのは、安くないことだ。いずれも、最上級グレードは160万円くらいする。100万円以下で買えるクルマも多い軽としては、目が飛び出るほど高い。

けれど、これも売る方は確信犯的にやっている。軽ではあっても、メインターゲットは、上のクラスからおりてくるお客だからだ。必ずしも値段で釣る必要がないのである。

2006年6月にリリースされた「ダイハツ・ソニカ」。生活のための足グルマというより、ちょっと遠出もできるツアラーとして登場した。

           
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