最新軽自動車ベスト3|第6回 (後編)|「安っぽくなく、オタクで、スポーティ」
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2015年3月9日

最新軽自動車ベスト3|第6回 (後編)|「安っぽくなく、オタクで、スポーティ」

第6回:最新軽自動車ベスト3(後編)

「安っぽくなく、オタクで、スポーティ」

長さ3.40m以下、幅1.48m以下、高さ2.00m以下、排気量660cc以下---軽自動車に課せられた制限をクリアしながらいかに魅力的な商品に仕立てるか、軽自動車メーカーの腕の見せ所である。
下野康史があげた軽ベスト3。お薦めの所以とは……。

文=下野康史写真=三菱自動車/ダイハツ工業

一般的には車両前部に置かれるエンジンを、後輪車軸前にマウントした「三菱 i」。最近の軽にしては珍しいレイアウトで、広い車内や斬新なデザインを実現した。

軽の安っぽさがない「i」

「三菱 i」は、このところ、街でやたらと目につく。実際、よく売れているが、なにより個性的なカタチなので、1台で3台分くらい目立つ。
珍しいRR(リアエンジン/リアドライブ)方式をとるこのクルマ、スマートと縁が深い。開発中、三菱はダイムラー・クライスラーと資本関係にあった。

車両概要:シトロエンC6

iのエンジンはNAとターボの2種類。
トランスミッションは4段オートマチックのみ。
後輪駆動と4WDがある。

このほど発表された新型スマートのエンジンは三菱製だが、iそのものも、コンペ作品だったのではないか、と疑いたくなるほど、よくできている。軽の安っぽさや“みみっちさ”がまったくないのである。「欧州メーカーがつくった軽」のような豊かさがあるのだ。

フロントが軽くて、お尻が重いRRなので、高速域での直進安定性はFF車ほどよくない。高速道路を常用する人にはあまりお薦めしない。そのかわり、操舵感は軽快だ。ポルシェ911にも一脈通じるRR独特の“進み感”も味わえる。

なんていう、ディープな話はともかく、RRレイアウトが可能にした軽最長のホイールベースは、軽ばなれした快適な乗り心地をもたらす。内装もクラスレスで感じがいい。

かつて「ホンダ・ビート」や「スズキ・カプチーノ」などで賑わった軽オープン市場。約10年の空白期間を経て発売されたのが「ダイハツ・コペン」。電動ハードトップ「アクティブトップ」により約20秒でオープンに。

オタクパワー「コペン」、快適とスポーツ性「ソニカ」

そんな三菱iのセカンドカーにしたいのが、「ダイハツ・コペン」である。「メルセデス・ベンツSLK」ばりの可変メタルトップを備える2座スポーツカーだ。

160万円弱の価格設定でも、まだ採算がとれず、売れば売るほど赤字がかさむ、という噂も出るほど、たしかにこのオープン機構を軽で実現したのはスゴイ。日本人のオタクパワーのすごさにいちばん気づかないのは、日本人である。

三菱 iの快適性と、コペンのスポーツ性を1台でそこそこ充足させたいという向きには、「ダイハツ・ソニカ」がお薦めだ。

ターボ・エンジンとCVT(無段変速機)を組み合わせたパワーユニットは、パワフルで、しかも燃費がいい。好燃費とは無縁だった軽のターボ車としては画期的である。

操縦性も優秀で、峠道ではコペンよりスポーツカー的な走りが味わえる。全高の低いスタイリッシュなボディでも、意外や居住性はワルくない。

車両概要:シトロエンC6

コペンのエンジンはターボ1種類のみ。
5段マニュアルと4段オートマチックがある。
ちなみに生産は、熟練した技術者がほとんど手づくりで行う。

背高ワゴンも多い軽のなかで、「ソニカ」の全高は立体駐車場にも入れられる低さ。デザインのみならず、ターボエンジンやCVTなどハード面からも“走り”をアピールする。

レクサスで軽!?

しかし、ベスト3を選んで、そのうち2台がダイハツというと、なんだかメーカーの回し者みたいだが、回されたわけではない。

ただ、トヨタの完全子会社になってから、ダイハツの開発力には明らかに弾みがついたと思う。レクサスで儲けた金で、軽自動車が魅力を増す。小さなクルマ好きにはうれしい話である。

(おわり)

車両概要:シトロエンC6

ミニバン並みのシートアレンジも最近の軽では珍しくない。
ソニカのシートも、前後席を畳むことで用途にあわせたかたちにできる。

           
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