Toyota Avensis|トヨタ アベンシス : A European Life Style CHAPTER 3
Toyota Avensis
CHAPTER 3
良質な空間たりうる条件
スタジオまでの毎日の足としても、選曲のための試聴空間としてもクルマを使うピーター・バラカンさん。彼にとって、良質な時間を提供してくれるクルマという空間を語っていただいた。また同時に、お薦めのドライブに心地いい音楽もセレクトしていただいた。
文=松尾 大写真=五十嵐隆裕
試聴空間たりうること
ピーター・バラカンさんは、ラジオ番組の収録のため、朝5時には家を出る。今の愛車に乗りはじめて約13年。そのまえのクルマもおなじように長い時間を共にした。 おなじものを長く使いつづけるという、彼のお眼鏡にかなうクルマは、なかなかあらわれないというのである。
朝のドライブで重要なのは、あたらしい音楽を試聴し、番組で流す楽曲を選曲することだ。そのためには、外界とクルマの中を隔てる遮音性が重要だ。余計なノイズが入るクルマでは試聴することはできない。また、アクセル操作に対するレスポンスの良さ、ステアリングの応答性、ボディ剛性などが高く、安心して気持よく運転できることは重要。リラックスした精神状態をもたらしてくれる、安心感のあるクルマであることも必須条件となる。つまり、彼にとって、音楽を視聴できる空間たりうるクルマこそ良質というわけである。
何時間でも運転できる
欧州車ばかりを乗り継いできた理由は、上質な走りと安心感がちがうからだと彼は語った。では、彼にとってアベンシスとはどういうクルマなのだろうか?
「私が想像する日本車とはちがって、重量感があります。たとえば、ドアを閉めたときの音。これひとつとっても、ちがう。私の思う欧州車とおなじ音がしている。それに走りはじめてすぐに感じたのは、アクセルのレスポンスの良さです。普段、欧州車に乗っている人間としては非常に運転しやすく感じます。足まわりもしっかりとしていて、ボディ剛性が高くて、日本に比べてより高い速度域で走行する欧州でも安心して運転が楽しめるでしょう。
ウインカーレバーも欧州車とおなじく、左側に付いているから違和感がない。シートはあたりがソフトすぎずハードすぎず、乗り心地がいい。ランバー(腰椎)のサポート性が優れています。欧州車のように大きめに作られているので、リラックスできるし、何時間でも運転しつづけることができるでしょうね」
もちろん、欧州車そのものというわけでもないという。
「低速域でのステアリングが軽く、扱いやすいというのは日本車らしいところだと思います。とはいっても、最近の欧州車もかなり軽くなっているので、決定的なちがいとは言えないのでしょうが」と、欧州車らしさと日本車らしさをあわせもっていると感じたようだ。アベンシスは、ピーター・バラカンさんにとって、彼の思う欧州車とおなじ感覚で扱うことのできる、試聴空間たりうる存在であるようだ。
Toyota Avensis
CHAPTER 3
良質な空間たりうる条件(2)
良質なデザイン
ピーター・バラカンさんは、毎朝スタジオまでの9キロの道のりなどで、年間約1万キロを走るという。都内が中心のドライブとしては、決して少ない距離とは言えない。多くの時間をともに過ごす存在ということだ。
「デザインの美しいものにだけ囲まれていたいんです」というピーターさん。このアベンシスについては「とくにルーフの曲線がとても美しいと感じました。また、傾斜の強いAピラーのデザイン、上下に薄い窓ガラス部分などには、ヨーロッパのテイストを色濃く感じます」と。
クルマを選ぶさいにも、デザインの美しさは重要なポイントだが、乗り心地、安定性、静けさ、そして実用性。そのどれもが高い水準にないと納得できないともいう。
デザイン以外にとくに印象に残ったのは、静粛性だという。そんなピーター・バラカンさんに、アベンシスで聴きたいお薦めの音楽を5作品選んでいただいた。
John Scofield “A Moment’s Peace”
個性的なジャズ・ギタリストのバラード集です。静かでもしっかりとした聞き応えがあります。
The Imagined Village “Empire And Love”
イギリスの伝統フォークの歌にインドのシタールなどの要素を持ち込み、多民族社会になりつつある英国の実態を匂わせています。
Tedeschi Trucks Band “Revelator”
まれにみる才能のスライドギターを弾くデレク・トラックスとすばらしくソウルフルな歌を聴かせる奥さんのスーザン・テデスキが2人で率いる夢のバンド。オールマン・ブラザーズのメンバーでもあるデレクですが、彼らの初期を覚えている方なら今の時代にこんなバンドがあることになおよろこびを感じるかも知れません。
Aaron Neville “I Know I’ve Been Changed”
“黄金の歌声”と言われるヴェテランのソウルシンガーはここで昔からあるゴスペルソングを歌います。日ごろの嫌な気持ちをすべて洗い流してくれます。
Afrocubism “Afrocubism”
キューバ、そして西アフリカのマリのミュージシャンが一緒になって作り上げた名盤。さまざまな弦楽器を中心とした究極のドライヴ・ミュージックだと思います。
Peter Barakan|ピーター・バラカン
英国・ロンドン出身。日本在住の音楽評論家、ラジオDJ。ロンドン音楽大学日本語科卒業。来日後、YMOのマネジメント事務所に入社し、YMOの海外コーディネイションや楽曲の英語詞を担当。独立後はテレビ、ラジオのパーソナリティをつとめ、現在も多くのメディアで活躍する。