CITROEN DS3|シトロエン DS3|横浜編
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2015年3月30日

CITROEN DS3|シトロエン DS3|横浜編

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@YOKOHAMA

伝統に裏打ちされた「革新」を体感できる都市(1)

ブランドは一朝一夕にはできない。時間をかけて熟成しながら、残るべきものが土台となって築かれてゆく。1919年にフランスで創業したシトロエンは、伝統をベースにしながら革新を重ねたからこそ、確固たるブランドになったといえる。現代のラインナップにおける代表モデルは、スタイリッシュなDS3だ。伝統と革新。2009年に開港150周年を迎えた横浜も、そんなキーワードでDS3と響き合う街だ。

文=小川フミオ写真=清水博孝

開港以来、独自の発展を遂げた革新の街

シトロエンDS3は今年日本に導入された、フランス製のコンパクト2ドアクーペ。120馬力を発生する1.6リッターエンジンに4段オートマチックトランスミッションを搭載する「Chic(シック)」と、156馬力の1.6リッターターボエンジンに6段マニュアルの「Sport Chic(スポーツシック)」の2本立てだ。

自動車づくりにもっとも大切なのは経験、とは昔からよくいわれる。過去の技術の蓄積とその応用が、すぐれて現代的なエンジニアリングを実現する。たしかにDS3の出来のよさは、経験ゆたかなシトロエンのエンジニアがいてこそ実現されたものかもしれない。

しかしだからといって、DS3は過去にこだわっているわけではない。次に求められるものはなにか、時代のニーズを先取りすることも大事な役目と心得ている。めまぐるしく走行環境のかわる現代日本の都市においても不足感はなく、逆に走行シーンが変わるたび、その出来のよさに感心するくらいだ。高速道路ではしなやかな足まわりを、ワインディングロードでは安定感のあるふんばりを見せてくれる。

市街では、コンパクトにまとめられた完成度の高いデザインがオーナーのプライドをくすぐる。これもひとつの性能だろう。それらが、シトロエンがDS3のスローガンとして掲げる「アンチレトロ」の概念に符号する。過去に数かずの名車を生んだシトロエンの伝統がなければ存在しえなかったいっぽうで、実態は革新性に満ちあふれている。――そこにDS3の真骨頂がある。

伝統と革新、というキーワードを街にあてはめると横浜がまず思い浮かぶ。日米修好通商条約をもとに1859年に開港した歴史を持つ。伝統的な建造物が残り、港湾を中心にできた街だが、公園や文化施設が数多くあり、安らぎと知的好奇心という、相反するような要素を同時に手に入れることができる。東京の隣町なのに独自の文化を守っているのも、大きな魅力だ。

1860年には外国人の手によるホテルが次々とオープン。牛肉を使うなど、日本には存在しなかった各国の料理を供するレストランも開かれた。横浜の「伝統」とは、日本の文化や習俗に当時の海外の文化が混ざり合ったものだ。有機的に混ざり合っているから、時勢の流れに応じて微妙に形を変えていくという強みがある。ホテルにしても商業施設にしても、博物館のショーケースの中に入らないで済んでいるのはそのためだろうか。時代とともに歩む。しかし迎合しない。伝統が革新と手に手をとりあって歩む姿が目に浮かぶようだ。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@YOKOHAMA

伝統に裏打ちされた「革新」を体感できる都市(2)

横浜カルチャーの新ランドマーク『ヨコハマ創造都市センター』

横浜はいま、歴史と現代性がうまく共存しはじめている。たとえばヨコハマ創造都市センター。1929年建設の旧第一銀行横浜支店の建物を使いながら、文化とアートと地域振興を融合させ横浜の街作りの一翼を担う施設だ。観光客にもよく知られている馬車道から港のほうへ出たところに、三角形の土地を利用した個性的なたたずまいを見せている。「トスカーナ様式」と呼ばれる建築様式で、地域のランドマークになっている。そこからあたらしい横浜を支える活動が生まれてきている。

「いま横浜市は、文化芸術のもつ創造性を活かしたまちづくり“クリエイティブシティ・ヨコハマ(文化芸術創造都市)”を推進しています。 そのために、横浜市と公益財団法人横浜市文化芸術振興財団は、横浜に集うアーティストやクリエーター、NPO、市民、企業、学校など様々な創造活動を繰り広げる人たちが活動しやすい環境づくりを行っています。ここでは、人々が出会い、交流と創造が育まれる場となることを使命として、創造の担い手たちの活動を強力にサポートしています」(広報担当者)

ヨコハマ創造都市センターでは音楽コンサートや、アートや街づくりに関するセミナーが開かれている。また2011年に開催される大きなアートの催し「横浜トリエンナーレ2011」ではキックオフイベントもここで開催される予定という。

「このセンターの周辺には、東京藝術大学の横浜キャンパスもあり、アート志向の若者やアートスペースが増えています。そんな背景もあり、横浜市ではアジアのアーティストを招聘して横浜に滞在してもらい作品をつくってもらう、いわゆるアーティスト・イン・レジデンスといった活動も行います」

ただ、ヨコハマ創造都市センターでは、視野をより広げていることを強調する。アートツアーを行って横浜の観光振興をしたり、産業育成をしたりと、地域の活性化にも積極的なのだ。太い列柱が歴史の重みを感じさせる建物の内部から、生命感に溢れた活動が生まれるというのは、とてもすばらしい組み合わせだ。欧州的というと多少語弊があるかもしれないけれど、フランスのアートシーンだって、歴史を土台に新しい活動を支援することで活性化してきた。その点で、シトロエンとも意外なつながりを感じさせられる。

展示スペースにもなる1階ホールには、採光のよい窓と高い天井が心地よいカフェレストランがある。提供される料理は地元で知るひとぞ知る「80*80(ハチマル・ハチマル)」という店が手がける。名前の由来は、横浜から「80」km圏内でとれる食材を「80」%以上使うというポリシーを表したもの。ラタトゥイユに使う根菜も、風味ゆたかな黒米も、横浜近辺で育てられたもので、じつに味わいがある。味はもちろん、そんな地産地消の姿勢からもここの魅力が伝わってくる。

核になるものを見据えて、それを軸に発展をはかるという考え方が、ここにはある。その核は、「人間」が心地いいかどうかで構成される。そこがシトロエンDS3とも、どこかで通じ合っている。なぜならDS3も、乗り心地といい操縦感覚といい、乗るひとが「気持ちいい」かどうかを大切にしているからだ。変わっていくためには、ブレない軸がなければいけない。それが対人間であるからこそ、説得力のある革新が生まれるのだ。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@YOKOHAMA

伝統に裏打ちされた「革新」を体感できる都市(3)

『タワーレストランヨコハマ』で横浜のいまを味わう

横浜のシンボルともいえる建造物はいろいろあるが、そのうちのひとつが「マリンタワー」だ。クルマで横浜を訪れたときはランドマークとなってくれるから、「お世話になった」という自動車乗りは少なくないのでは。1961年に横浜開港100周年記念事業で建てられ、2011年に50周年を迎えるから、横浜の歴史の一部といってもいいかもしれない。

タワーとシトロエンには、縁がある。パリのシンボルであるエッフェル塔がパリ万博に合わせて建設されたのが1889年。シトロエンは第二次世界大戦前、このエッフェル塔を使い、「CITROEN」の巨大な電飾文字を掲げたことがあるのだ。1927年にニューヨークとパリを結んで単独無着陸飛行を成功させたチャールズ・リンドバーグも、飛行機からこの「CITROEN」の文字を目撃したとかしなかったとか。当時は鉄の構造物が伸びゆく工業化社会のシンボルだったので、シトロエンがエッフェル塔を広告的に利用したのは、賢い施策だったといえるかもしれない。そんな関係を、マリンタワーは思い出させてくれる。

2009年に横浜開港150周年記念事業の一環でリニューアルをおこなったのが、現在のマリンタワーだ。外装がかつての赤と白の塗り分けから、メタリックな印象のグレー系となったのが目を惹いた。同時に内部も大きく変わり、レストランが充実した。1階にはカフェ・レストラン「ザ・バンド」、バー「mizumachi bar」が誕生。そして4階には、落ち着いた雰囲気で食事ができる「タワーレストラン・ヨコハマ」。窓の外には銀杏並木と、そして海と空が広がる開放的なレストランだ。

「タワーレストラン・ヨコハマ」は男ならスーツを着ていける、大人っぽい雰囲気を特長とする。ローストビーフは早くも名物料理となっており、スチームコンベクションで肉汁たっぷりに焼かれたビーフの塊を専用のカービングワゴンに載せ客席まで持ってきてくれるサービスもうれしい。「味わいぶかいのでこの肉を選択しました」とシェフが言う米国のロンググレイン(穀物肥育の期間を長めにとったもの)のビーフを使い、リブアイの部分を中心に供される。周囲はかりっと焼かれて、内部は肉汁がしたたり出るぐらいの仕上がりで、ナイフを入れた段階で早くも口中につばがわき出そうだ。これに淡い味で仕上げられたグレービーソースと、ヨークシャープディングが添えられている。

大きな窓がぐるりと囲い、黒を基調とした店内は、開放感のなかにも色気のようなものを漂わせていて、いるだけでも特別な気持ちを抱かせてくれる。かつてパリでレストランが生まれた時、そこは滋養のためにスープを飲みにいく場所だったというが、求められる機能は時代とともに変わるもの。それを知悉したマリンタワーのレストランだからこそ、食欲だけでなく、雰囲気や演出など心理的な面でも客を満たそうとつねに工夫を絶やさず進化しているのだ。

かつ、29階、30階という上空から横浜を360度にわたって眺望できる展望台も、もちろん見逃せない。みなとみらい地区など変貌を遂げている横浜と、港湾施設と公園がモザイクのように入り組んだ昔からの独特の風景が混在する景色。横浜は、歴史的建造物のなかに次つぎと革新が生まれるパリにもどこか通ずるところがある。そんな横浜ではよりいっそう、フランス生まれのこのDS3を走らせ街との相性を楽しみたくなる。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@YOKOHAMA

伝統に裏打ちされた「革新」を体感できる都市(4)

革新をつづけながら伝統を守る『ホテルニューグランド』

ホテルがその街を代表する。これはあまり例のないことかもしれない。強いていえば、飲食や宿泊施設の格付け本であるフランスの「ギド(ガイド)ミシュラン」が、文化的な面でホテルやレストランに各都市を代表させている。

横浜は数少ない例外というか、ギド・ミシュラン抜きでも、ホテルが街の象徴になっている。それが山下公園という美しい緑をもつ公園に面して建つ「ホテルニューグランド」だ。横浜開港とほぼ時期をおなじくして建った「グランドホテル」が1923(大正12)年の関東大震災で倒壊したあと衣鉢を継ぐかたちで、最高級のホテルを再びという理念で建てられたと聞く。開業は1927(昭和2)年だ。

現在は横浜市が指定する近代化産業遺産などに登録されているだけあって、ニューグランドの建物は荘厳という言葉が似合いそうだ。1960年代までは外国人利用客が圧倒的に多かったというだけある。その当時の記憶がいまでも鮮明なひとは多く、東京に住んでいても「一度はニューグランドに滞在したい」と願うひとは少なくない。

「あえて歴史的な価値を捨て去るようなことはしません。若い方がたには、歴史の重みを堪能していただけるのも、このホテルの魅力とかんがえています」(広報担当者)

文化的遺産の側面を重視するホテルニューグランドは、1991年、本館に隣接するかたちで「ニューグランドタワー」を開業した。こちらは部屋のデザインをふくめてより現代的な要素もあり、部屋によっては港湾都市横浜の美しい景色が俯瞰して楽しめるなど、ここにしかない価値をもつ。

本館でもニューグランドタワーの開業と歩みを合わせるように、一部リニューアルをおこなっている。そのうちのひとつが、イタリア料理店「イル・ジャルディーノ」のオープンだ。北から南まで日本人のテイストに合うイタリア料理を広く提供する同レストランでは、もうひとつ内装という特長をもつ。それがイタリアから輸入した大理石を用いたモザイクの床。細かい大理石がきれいなパターンを成している。1991年当時は、日本でイタリアの伝統文化に大いなる興味が集まっていた時代だったはず。伝統あるホテルが、もうひとつ「イタリア」という伝統に注目したことが、とりもなおさず時代の革新だったという事実はじつに興味深い。

革新というとき、英語では「カッティングエッジ」なる言葉を使ったりする。しかし必ずしも、革新は斬新さを意味しない。歴史的遺産を掘り起こしても、それをいかなる文脈で使うかにこそ、革新性の真髄がある。ホテル・ニューグランドでは「デトックスプラン」や、近くの横浜市立みなと赤十字病院検診センターと組んで人間ドックとホテル滞在をセットにした宿泊プランを売り出すなど、現代の健康志向に合致した企画もさまざま手がけている。フランスのエッセンシャルオイルを用いたエステサロンもある。伝統を作りあげてきたもののよさを忘れないという、革新性にとって最も重要な鍵をもつからこそ、それらの取り組みは人びとを惹きつけるようだ。

伝統を作りあげてきたものとは、場合によっては目に見えるものではない。ホテルニューグランドでは、接客の最初の窓口になるベルからレセプション、そして客室係やレストランのサービスまで、すべてに「あたたかみ」というこのホテルの魅力が宿っている。巨大なホテルにない、いわゆる顔の見えるサービスが、ここにはある。だからリピーターがつねに滞在する。

クルマもモデルチェンジをすれば、見た目はまったく別のものとなる。シトロエンの創始者アンドレ・シトロエンは、言うまでもなく現在のDS3など想像もしなかった。しかし「黄色い巡洋艦隊」を組織してアフリカの大地をクルマで探検したり、ハイドロニューマチックという油圧と窒素ガスによる画期的なサスペンション技術を1950年代に採用したりという、クルマの持つ機能を徹底的につきつめ、それを乗るひとに提供する価値に還元するという企業の姿勢は、いまも揺らぐことはない。

スタイリッシュなシトロエンDS3。しかし真髄は乗ってこそわかる。横浜へのショートリップは、シトロエンの価値を十分に堪能させてくれる。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@YOKOHAMA

OPENERS Recommended Spot

CITROEN DS3|シトロエン DS3|

<PLAY>
ヨコハマ創造都市センター
神奈川県横浜市中区本町6-50-1
営業時間|11:00~19:00(カフェはL.O.18:30)
Tel. 045-221-0325
http://www.yaf.or.jp/ycc/index.php

CITROEN DS3|シトロエン DS3|

<DINING>
THE TOWER RESTAURANT YOKOHAMA
神奈川県横浜市中区山下町15
営業時間|11:30~15:00(L.O.14:00)/17:00~23:00(L.O.22:00)
年中無休
Tel. 045-263-8117
http://marinetower.jp/

CITROEN DS3|シトロエン DS3|

<STAY>
ホテル ニューグランド
神奈川県横浜市中区山下町10
Tel. 045-681-1841
http://www.hotel-newgrand.co.jp/

           
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