CITROEN DS3|04 DS3 × 中村貞裕
Car
2015年4月2日

CITROEN DS3|04 DS3 × 中村貞裕

CITROEN DS3|シトロエン DS3
DS3 × Space Design──空間ブランドプロデューサー中村貞裕

東京を変える小さな波を、やがて大きな波にするために(1)

空間ブランドプロデューサー。ひとが集まる“箱”をつくり、その場所にあらたな価値を生み出す仕事だ。『the SOHO』『TABLOID』と湾岸エリアをにぎわすSOHOビルプロジェクトの仕掛け人である中村貞裕さんは、いまもっとも注目されるプロデューサーのひとり。彼の哲学にシトロエンDS3のアンチレトロの精神を重ね合わせる。

文=東ミチヨ写真=五十嵐隆裕

いろんなひとを巻き込んでおもしろいことをやりたい

東京を変える。街を変える。ライフスタイルが変わっていく。トランジットジェネラルオフィス代表の中村貞裕さんは、これまでカフェやホテルなどのリノベーションによって、東京を変えるあらたなムーブメントを仕掛けてきた空間“ブランド”プロデューサーである。そこにはトレンドセッターたちが集い、さまざまなイベントや交流を通して、あたらしいライフスタイルやコミュニケーションがつぎつぎ生み出されてきた。

そんな中村さんが情熱を注いだ、最新のスポットが東京、湾岸エリアにあるSOHOビル『TABLOID』である。コンセプトづくりからイベント企画などのオペレーションまで、ブランディングプロデューサーとしてかかわっている。もともと新聞社の印刷工場であったという建物は、かつての旧きよき時代を感じさせる味を遺しつつも、スタイリッシュなアート空間にリノベーションされている。

クルマと建築。両者はどこか似ているかもしれない。そして建築にあらたな価値観をもたらすことで、街を変え、ライフスタイルを魅力的に変えてしまう中村さんのパワーは、クルマにあらたな価値観を見出したシトロエンDS3のパワーにも似て、サプライズと楽しさに満ちている。

──湾岸エリアといっても、ひとが集まりにくい特殊な場所ですよね。あえてこの場所を選んだのはなぜですか?

そう、この場所だからこそ興味をもったんです。NYのブルックリンや、ロンドンのクイーンズみたいになるんじゃないかって思えて。レインボーブリッジが見わたせる湾岸沿い、倉庫街みたいな何もない雰囲気は、ブルックリンやクイーンズにも似たおもしろさを感じます。あのあたりって20年前は何もなかったけど、今じゃすごくアグレッシブな街になっていますよね。この場所も、そうしたポテンシャルを備えている気がするんです。

東京という広い視野で見れば、湾岸エリアのこのスポットは、いまはまだ小さなひとつの波でしかないけれど、ひとつひとつの波が次第に集まってくれば、やがて大きな波になる。だから今後はもっと、“湾岸エリア”や“SOHO”を切り口に、さまざまな波がつづいてくれるといいなと思うんです。(お台場の)青海には僕がプロデュースした『the SOHO』があります。こちらは新築の大規模SOHOビルですが、これからもいろんなひとを巻き込んで、おもしろいことをやっていきたいですね。どんどんつづかないと大波になりませんから。

シトロエンDS3×中村貞裕|02

CITROEN DS3|シトロエン DS3
DS3 × Space Design──空間ブランドプロデューサー中村貞裕

東京を変える小さな波を、やがて大きな波にするために(2)

旧い建物をリノベーションするのはサプライズがある

──『TABLOID』の建物は、もともと印刷工場だったそうですが、はじめてこの物件を見たとき、どんな印象をもたれました?

まず天井が高いなぁ、と。十数メートルの天井高は、活用しがいがあると思いました。海外では天井が高い建物というのはよくあるけれど、日本にはなかなかないんですよ。これは印刷工場ならではの設計ですよね。そして、屋上からはレインボーブリッジが一望できるんです。その眺めがすばらしい。新築のビルもいいけど、もともとあった旧い建物をリノベーションするって、そういうサプライズがある、ワクワクする何かがあるのが魅力なんです。

シトロエンDS3×中村貞裕

シトロエンDS3×中村貞裕

──リノベーションを成功させるために大切なのはどんなことですか?

僕はよく海外にも、ユニークなホテルやカフェがあれば飛んで見に行くんですが、必ず観察するのが「なぜ、このひとたちはここに集まるのか?」ということです。もともとの建築や、空間の有効活用を観察するのはもちろんですが、大事なのはそこに集まるひとなんです。ホテルにしろ、オフィスにしろ、空間というのはひとによって空気が生まれるものです。ただカッコいい箱を作るのは簡単だけど、つづかなければ意味がありませんから。それが僕が仕事としている、空間のブランドプロデュースなんです。ブランドというのは積み重ねで生まれるもの。ひとの積み重ねによって、空間もブランドになっていくんです。

シトロエンについていえば、やはりそこにもたしかな“ブランド”がありますよね。オシャレなひと、ライフスタイルにこだわりのあるひと、変化を求めるひと、そんなひとたちに似合うクルマじゃないかと思います。それはシトロエンに乗るひとたちが、そういう空気をもっているということもあるでしょう。シトロエンに乗っている僕の先輩が、すごくカッコよくて。僕にとってはオシャレなイメージが強いですね。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
DS3 × Space Design──空間ブランドプロデューサー中村貞裕

東京を変える小さな波を、やがて大きな波にするために(3)

アンチレトロとはいえ、シトロエンのブランドは揺るぎない

──シトロエンDS3を見て、気になったのはどんなところですか?

ルーフやドアミラー、ダッシュボードなど、自分の好みでカラーをコーディネートできるのはおもしろいですね。ここまでいろいろ嗜好を反映させて、自分らしい表現ができるって、ほかのクルマにはなかなかないですよね。そのぶん、クルマに対する愛着もわきそうですね。またコンパクトでありながら、存在感のあるデザインにも魅力を感じます。インパクトあるグリルや、LEDライトも印象的です。銀座の裏道を行くのもいいし、青山や表参道のオシャレなストリートにも似合うんじゃないかな。このアーティスティックな感性は、それこそクリエイターとコラボレーションしたり、何かムーブメントを起こすだけの可能性を秘めていると思います。

──シトロエンは“アンチレトロ”をキーワードにしています。中村さんにとってのアンチレトロとは?

何かあたらしいムーブメント、大きな波を起こそうと考えたとき、ふたつの手段があると思うんです。ひとつは東京のど真ん中にインパクトある空間を仕掛ける。もうひとつは何もないところに、おもしろい空間を仕掛ける。後者の選択は、すぐに成果が出せるというよりも、5年、10年かけてやるプロジェクトだけど、僕らがやるべきところはそこだな、と。街のブランド化、地域のブランド化を目指して、既存にないあたらしいことをやっていきたいですね。ひとを巻き込んで大きな波を作っていきたいと考えています。

シトロエンの場合は、アンチレトロといっても、これまで歴史のなかですでに築いてきたものがありますから、ブランドが揺るぎない。だから何をやっても崩れないんですよ。そのぶん、いろいろあたらしい挑戦ができるのだと思います。ブランドは、ひとの積み重ねによって育っていくもの。クルマにもおなじことが言えると思うんです。DS3は、乗るひと、売るひと、場所によって、どんどんイメージが生まれていくでしょう。街で見かけるたびに、イメージが上がっていくのではないでしょうか。自分らしさを表現できるDS3は、あらたな価値観の広がりが楽しめるクルマだと思いますね。

中村貞裕|NAKAMURA Sadahiro
1971年生まれ。伊勢丹を経て2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。カフェレストラン事業、ケータリング事業のほか、2003年ホテル『クラスカ』の企画運営によりホテル事業に進出。2006年に大阪の『堂島ホテル』をブランディングプロデュース、また世界一のパンケーキで話題の『bills』や数かずのカフェのオペレーションをおこなっている。近年では『the SOHO』や『TABLOID』などSOHOビルのプロデュースで注目を集める。そのほか、レジデンス、オフィス、ファッションのブランディングプロデュースなどその仕事は多岐にわたる。
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