連載・岡部美代治|Vol.16 フット&レッグケア
Beauty
2015年1月28日

連載・岡部美代治|Vol.16 フット&レッグケア

Vol.16 フット&レッグケア (1)

大手化粧品メーカーの研究部門と商品開発部門にて、数々の優秀コスメ誕生にかかわってきた岡部美代冶さん。女性の美に対するあくなき探求心と鋭い視点、そして研究者ゆえの造詣の深さを活かして、さまざまな「美容の疑問」を、科学的見地から解説していただきます。

語り=岡部美代冶
写真=JAMANDFIX

素足にミュールやサンダルを履く季節こそ気にしたいのが、フット&レッグケア。とくに脚は、身体全体の疲労が出やすい箇所です。むくみ対策やかかとのケアなどをしっかりおこなって“素足美人”を目指しましょう。

Q.「フットケア」をすべきひとの目安を教えてください。

現代女性は疲れやストレスにより「むくみ」に悩んでいるひとが多いようですが、サンダルで締め付けられている部分に跡がついた経験があるひと、夕方になると靴がきつくなるというひとは、自分はむくむ体質なのだと思ってください。レッグ&フットケアが必要なひとは、むくみを感じたことのある全員です。むくみを放置すると、脚のラインが綺麗に見えなくなるのはもちろんですが、足首がなくなってしまうほどの方もいらっしゃいます。そして、それは一回のマッサージで治るようなものではありません。

Q.なぜ、むくみは脚に出やすいのですか?

血液やリンパは血管を循環しているのですが、心臓がポンプとなって送り出された血液の循環がとくに滞りやすい部位というのが、心臓から遠い脚なのです。というのも、血液循環において上から下へ向かう流れは重力の抵抗もなくスムーズなのですが、一番低くなる脚はどうしても血液やリンパ液が溜まりやすいんですね。

Q.よく、足はポンプの役割だと聞きますが……。

そうですね。正確には“ポンプ”というのは脚全体を指します。心臓から押し出された血液がつま先まで巡ったあと、どのように心臓まで戻ってくるかご存知ですか? じつは、上がってくるときというのは心臓のようなポンプの役割を果たすものがないのです。静脈には「弁」がついていて、身体が動くたびに弁が開き血液がひとつ上の弁に上がる、その繰り返しで心臓にもどっていきます。長時間の立ち仕事やデスクワークなどでおなじ姿勢を維持することがむくみの原因となるのもそのためです。なので、マッサージというのは、弁が開いたり閉じたりして、血液が上に流れる手助けになるんですね。しかし、あまりにむくみがひどいと血液が溜まって膨れてくる。さらにそれを放置してしまうと、静脈が弾力のなくなった風船のように緩んでしまい、緩んだ部分に血液が溜まってしまうのです。


Vol.16 フット&レッグケア (2)

Q.そうなる前に、マッサージが必要なのですね。

そのとおりです。とくに膝から下をマッサージすることでむくみは解消されていきます。血液の循環を良くして、できるだけ血液の流れやすい静脈にするというのがポイントです。やり方は、強く押しすぎなければ上から下でも、下から上でも問題ありません。とにかく押してあげれば自然に弁が動きますので。それをつづけることで、自分の力でむくみが解消されてくると思います。自分はむくみやすという自覚のあるひとは、それを毎日おこなうことをお薦めします。また、むくみやすいひとは生活を見直すことも大切です。散歩をしたり足を上にして休むなど、脚の血液の循環を意識しましょう。いまはむくみがないというひとも、加齢の影響や生活のストレスなどによって起こる可能性がありますので、予防をかねて週に1回くらいのペースでおこなうことをお薦めします。むくみは足の見た目だけの問題ではなく、体全体の循環の問題ですからね。たまたま足にでているけれども、足だけではなく、体内の循環が滞りがちですよというサインなのです。マッサージは、足をきれいにすると同時に、体の健康を維持することも目的なのです。

Q.では、むくみ以外のフットケアについてはいかがですか?

サンダルなどによって足を露出する季節ですから、かかとのケアも重要です。かかとはとくに乾燥しやすく目立つ箇所ですので、ザラザラにならないようにしておくというのは基本中の基本ですが、軽石やフットスクラブなどで固くなった角質を取ったあと、きちんとフットクリームを塗ることが大切です。すでに硬くなってしまっているというひとは、少し削ってクリーム、少し削ってクリームを繰り返すといいですよ。とはいえ、一度硬くなってしまうと修復に時間がかかりますので、早めのケアが大事なのは言うまでもありません。スキンケアもそうですが、予防はとても大事です。それと、今の季節、女性に多い悩みが虫刺されです。大事なのはかかないこと。かゆみ止めを用意して、触らずに塗る。かいて大きくしてしまうと色素沈着になりやすいのです。しかし、その前に、蚊が出るようなところへ行くまえには、防虫スプレーで予防することも忘れないように。それと、無駄毛処理のあとのケアですが、シェービングというのは部分的なピーリングみたいなものですから、毛穴に赤みが出るなどのトラブルもありえます。また、シェービング後の肌は乾燥しやすくなるので、きちんとクリームなどでケアをしましょう。

Q.フットケアには初期対応が大切なのですね。

そのとおりです。毎日のケアや定期的なケアが基本中の基本です。きちんと予防してつづけることが大事。そうすることで、いつまでも美しい足を保てるのです。

岡部美代冶オフィシャルサイト
「美」の科学 「ビューティサイエンスの庭」
http://www.kt.rim.or.jp/~miyoharu/

           
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