岡部美代治|Vol.18 肌タイプの見分けかた
岡部美代治 連載
Vol.18 肌タイプの見分けかた(1)
大手化粧品メーカーの研究部門と商品開発部門にて、数々の優秀コスメ誕生にかかわってきた岡部美代冶さん。女性の美に対するあくなき探求心と鋭い視点、そして研究者ゆえの造詣の深さを活かして、さまざまな「美容の疑問」を、科学的見地から解説していただきます。
語り=岡部美代冶
文=OPENERS
写真=JAMANDFIX
スキンケアをより効果的におこなうために知っておきたいのが自身の肌タイプ。肌なじみや使用感、効果への影響はもちろんですが、自分に合った化粧品を選ぶための判断基準としても、とても重要です。今回は、肌タイプの基本的な見分け方と、セルフチェックのポイントを教えてもらいました。
皮脂の分泌量と水分保持力がカギ
Q,肌タイプは何で決まるのですか?
判断基準は、皮脂の分泌量と水分保持力、乾燥のしやすさです。そのバランスにより、オイリースキン(脂性肌)、ドライスキン(乾燥肌)、コンビネーションスキン(混合肌)、ノーマルスキン(普通肌)の4つに分かれます。
Q.それぞれの特徴を教えてください。
まずドライスキンは、目や口のまわり、頬の高いところの皮脂分泌が少なく肌が乾燥しやすい肌。化粧が粉浮きしたり、バリア機能が弱いため肌荒れを起こしやすいのが特徴です。印象としては、皮脂線が発達していないため毛穴が小さく、キメの細かい肌に見えます。じつは、肌タイプのなかでもっとも美肌に見えるのが“ややドライスキン”とも言えます。
つぎにオイリースキンは、Tゾーンがテカっていて触ると皮脂が付くような肌状態であるのが特徴です。皮脂分泌が過剰なため、皮脂線が活発で毛穴が目立ち、ニキビなどのトラブルが多くなりがちです。また、ファンデーションの色沈みを起こしやすいのもオイリースキンです。
そしてコンビネーションスキンですが、額・鼻・顎のTゾーンがオイリーで、目と口のまわりであるOゾーンがドライの肌を指します。厳密に言えば、すべてのひとがコンビネーションスキンなのですが、そのギャップが大きい場合がここに該当すると考えてください。
最後にノーマルスキン。このタイプは、皮脂分泌も調度良く乾燥も気にならないひとです。自己診断だと、みなさん比較的厳しく判断しがちなので、ある調査では全体の1割にも満たないと言われていますが、上記の3つどれにも当てはまらないひとはノーマルスキンと言えるでしょう。
Q.肌タイプを自分で判断するさいの注意点はありますか?
一般的には、夏にオイリースキン、冬にドライスキンが増える傾向にあります。季節によって肌タイプが変わるひともいますので、最低でも夏と冬の2回はチェックしましょう。本来は、四季で判断するのがベストです。
Q.タイミングとしては、洗顔後に判断するのですか? それともスキンケアをして数時間後ですか?
洗顔後30分がベストです。オイリースキンのひとは30分経過するとテカりはじめますし、ドライスキンのひとは30分以内につっぱりはじめます。Tゾーンがテカって、頬がつっぱってきたというひとはコンビネーションスキンです。
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Vol.18 肌タイプの見分けかた(2)
思いこみ肌タイプに注意!
Q.自己診断で肌タイプを勘違いしているケースもありますか?
とくに若い女性に多いのですが、普段のスキンケアにおいて油分補給を怠っていて自分はドライスキンだと思っているケースです。保湿のメカニズムを正しく理解できていないひとにとくに多いですね。保湿というのは、外から水を与えるのではなく、油分補給をすることにより肌内部の水分をキープすることを指します。正しいスキンケアができていないと診断結果も変わってしまいますので注意が必要です。
Q.それぞれの肌タイプのスキンケアのポイントを教えてください。
まずドライスキンは油分補給をしっかりすること。乳液ならリッチタイプを選ぶべきですし、クリームもしっかりと保湿してくれるものを選びましょう。ポイントは、朝つけて日中つっぱらないこと。オイリースキンは、しっかりと洗顔をして肌の油分を取り、ライトタイプの乳液やクリームを塗るといいと思います。コンビネーションスキンのひとは、どちらの症状が気になるかによってケアが変わります。乾燥が気になるひとは洗顔時にTゾーンをしっかりケアしたあとに、ドライスキンのケアをする。皮脂が気になるひとは、オイリースキンのケアをして、乾燥の気になる部分だけクリームを付け足すといいと思います。
Q.肌が荒れてしまった場合のケアは肌タイプによって異なるのですか?
肌が荒れてしまった場合は、肌タイプにかかわらず、まずはスキンケアを控えましょう。ソフトな洗顔をして、クリームだけあるいはリッチタイプの乳液だけをつけて2日くらいようすを見てください。それでも肌荒れが進行するようであれば皮膚科へ行くべきです。正しいスキンケアをしても肌がもどらない場合、正しい診断と薬の力というのが一番効果的で安全ですから。
Q.お手入れによって自分の肌タイプが変わることもあるのですか?
お手入れをしたあとの肌がコンディションの良いノーマルスキンとおなじような状態になる、これがスキンケアです。ですからスキンケアの働きだけで、ドライスキンのひとがノーマルスキンになったり、オイリースキンのひとがドライスキンになるようなことはありえません。ただし加齢により皮脂腺の活動が低下することでドライスキンになることはあります。自分の肌タイプとは気長につきあっていかなければならないのです。だからこそ肌タイプに合わせた適切な化粧品選びと正しいスキンケアが重要になるのです。そして最後になりますが、今回お話しした4つの肌タイプ以外に「敏感肌」があります。ドライで敏感、オイリーで敏感、ノーマルで敏感などさまざまですが、今回の肌タイプとは軸がちがいますので、敏感肌については次回、詳しくご説明します。