山本浩未×渡邉季穂 親友対談 夢中になるものがあると、きれいになれる(1)
山本浩未×渡邉季穂 親友対談
夢中になるものがあると、きれいになれる(1)
「大人には、大人のハマり方があります」
美容誌や女性誌を中心にさまざまなメディアで活躍されている、ヘア・メイクアップアーティストの山本浩未さん。シンプルでわかりやすい美容理論と、ナチュラル、かつ魅せるメイクテクニックは、幅広い年代の女性から支持を集めています。
メイク同様、人柄もナチュラルで魅力的な浩未さんの、きれいの秘密は、なんと宝塚。公私にわたりお付き合いがある渡邉季穂さんも、それには納得とうなずきます。
「夢中になるものがあると、元気になる、きれいになれる!」と断言するおふたりのビューティ対談です。
文=染谷晴美写真=北原 薫
“ハマれるものをもった大人”というのは最強です
渡邉季穂 今日は、“夢中になるものがあるときれいになれる”がテーマ。浩未さんはいま、宝塚に夢中なんですよね。
山本浩未 大人になると恋愛もしにくくなるし(笑)、夢中になれるものが少なくなるじゃないですか。でも、私はいま、宝塚を好きになっていろんなものが一気に花開いたって感じ。ハマれるものをもった大人というのは最強ですよ(笑)。
季穂 そうそう(笑)。
浩未 なにかひとつが飛び出ると、ほかも引き上げられるというか、あらゆることがプラスに働きます。まず元気になった。これは間違いないですね。おしゃれにもいっそう気をつかうようになったし、より他方面に行動するようになって、興味の幅がぐっと広がりました。
季穂 私がいま夢中になっているのは、演ずるひとたち。ネイルのお仕事で舞台に裏方として関わらせていただくようになって、まず舞台の魅力にハマり、いまは演じるひとたちの才能に惚れ込んでいます。もちろん、浩未さんの影響で宝塚のファンでもあります。
――宝塚以外にも、共通の趣味が多いとうかがいましたが
季穂 そうですね。浩未さんとのお付き合いも、もう10年以上になりますからね。
浩未 仕事でたまたまご一緒して、意気投合。数ヵ月後には一緒にロスに行ってました(笑)。
季穂 当時はまだ、撮影の仕事に慣れていなかったので、浩未さんとご一緒すると聞いてとても緊張したんですよ。で、現場に行ってみたら、大きなバーキンに荷物をガシガシ入れていて、さすが有名人! やっぱりすごいなと。
浩未 ハハハ。
季穂 でも、お話をさせていただいたら、すごく気さくな方だった。そのあとすぐごはんを食べに行くことになったくらい、あっという間に打ち解けたんですよね。
浩未 で、ロサンゼルスへ。あの旅で、さらに距離が縮まりました。以来、ロス旅行は毎年の恒例。私が宝塚にハマりだしてから、ちょっと中断していますが(笑)。
そのつど気持ちがフルになる、小さなゴールがちょっとずつあるのがいい
浩未 ハマるものがあると、きれいになります。季穂ちゃんはとくにきれいになった。以前は、どちらかというと、見かけには無頓着だったでしょ。でも、いまは手をかけるようになりましたよね。
季穂 浩未さんたちと宝塚を観にいくと、舞台上もきらきらしているけど、みんなもきらきらしている。そういうのを見ているうちに、私もきらきらしなきゃって思うようになったんです。
浩未 きれいというのは、外見と中身のバランスですよね。若いときは、見かけのきれいさが幅をきかせているけれど、大人になるにつれ、見かけのきれいはちょっとずつダウンしていく。だからその分、中身のきれい、たとえば健康などで補っていくわけですが、健康も大人になるとおぼつかなくなります。となれば、最後に支えてくれるのは、こころのきれい=パワーだと思うんですね。
外見と中身にこころのきれいが備わることで、大人は、いろいろなエネルギーをつくれるんじゃないかなって。だから、仕事でも恋愛でも趣味でもなんでもいいから、夢中になれるものをもっている大人は強いわけですよ。
季穂 好きなことをする、好きなものを見る、そういう小さなゴールがちょっとずつ目の前にあって、私たちはそこに向かって努力している。それが、いまのいい状態をつくっている気がします。
浩未 同感! よく、恋をするといい美容液が体内から出てくるって言うでしょ。そして、それは肌につける美容液よりもはるかに効くって。ほんと、そのとおりだと思います。夢中になるにはエネルギーが必要であり、そのエネルギーは夢中になることでどんどん出てくる。
季穂 上からぐいっと引っ張り上げられるような、すごい力が働くんですよね。そうすると元気になれる。元気になるからきれいになれるんです。
20代のころよりも、いまのほうがだんぜん楽しい!
浩未 若いときは若いからこその楽しみ方があったように、大人になると大人のハマり方がありますよね。なにがいいって、お金がある。とりあえずお金でなんとかできる(笑)。
季穂 宝塚を観に、大阪まで行けちゃうしね。
浩未 20代のころだったら、大阪まで行けたとしても、鈍行だったでしょうね。要は、時間はたっぷりあるけどお金がない。大人になると、時間がない代わりに、いろいろな知恵や経済的なゆとりがあるから、またちがったハマり方ができるんですよ。
季穂 せっかく行くんだから、ホテルはリッツカールトンにしようとかね。ついでにあれやってこれやって、といろいろ詰め込む。そういう楽しみ方ができるようになりました。
浩未 大人は分別があるから、それが、よくも悪くも足を引っ張ってしまって、なにをやってもいまひとつ楽しめない。でも、夢中になれるものがあると、これはいらないなと思える分別の壁はさーっと取れちゃう。そういう意味でも、大人にとってハマれるものは非常に貴重なんです。
Profile
山本浩未(ヘア・メイクアップアーティスト)
資生堂美容学校卒業後、化粧品メーカーにて、ヘア・メイクアップアーティストとして、宣伝、広報、商品開発などに従事する。1992年よりフリーランス。
「生活者としてのきれい」をテーマに、美容誌や女性誌を中心にシンプルでわかりやすい美容理論を展開。メイクアップ、コラムの執筆、トークショーへの出演、化粧品の商品開発へのアドバイスなど、幅広く活躍中。