Volkswagen Polo TSI highline | フォルクスワーゲン・ポロ TSI ハイライン | 軽い身のこなしが特徴の新世代モデル
Volkswagen Polo TSI highline|フォルクスワーゲン・ポロ TSI ハイライン
軽い身のこなしが特徴の新世代モデル(1)
1.2リッターターボエンジンを搭載したフォルクスワーゲン・ポロが、フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンの手で2010年6月10日に発売された。軽いエンジンの恩恵で軽快さが際だった。
文=小川フミオ写真=荒川正幸
ダウンサイジングが功を奏し、燃費は20km/ℓ
新型ポロは「TSIコンフォートライン」(213万円)と、装備が豊富な「TSIハイライン」(243万円)の2本立てで、従来の1.4リッターエンジン搭載モデルはやがてラインナップから消滅する。
ポロはゴルフの下に位置するコンパクトハッチバック。新型は2009年10月に1.4リッター自然吸気エンジンを搭載して登場したが、今回は過給器を装着して、最高出力は20psアップの105ps、最大トルクも43Nm増強されて175Nm(17.8kgm)になっている。「これは1.8リッターエンジンに匹敵する性能」とフォルクスワーゲン・グループ・ジャパンでは話す。
排気量を抑えつつ過給化で高出力を狙うのは、現在ドイツ車を中心に世界の自動車メーカーが採用する「ダウンサイジングコンセプト」というもの。フォルクスワーゲンもダウンサイジングに熱心で、排気量を抑えつつ、高効率化をはかった恩恵で、ポロの場合、1.2リッターエンジン搭載モデルは、燃費が向上。10・15モードでリッターあたりの走行距離は20kmに。従来の1.4の17km/ℓから大きく改善されている。
「(1.2リッターエンジンは)2バルブ、SOHCという軽量、コンパクトかつ低フリクションのシンプルなヘッドを採用」とフォルクスワーゲンが謳うように、先に発表されたゴルフTSIトレンドラインとおなじ1.2リッターエンジンは、重量の面でも従来の1.4リッターユニットより約40kg軽くなっているという。今回の発表にあたって、フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンは、「Think Small」というかつてビートルが米国で成功する理由ともなった、広告キャンペーンのキーワードを再びもち出して、ポロが環境への負荷が少ないクルマだという点をアピールしたのが印象に残った。
加速のよさにくわえ、ターボチャージャーが力強さをプラス
操縦してみると、第一印象は軽い! 操舵で車体が向きを変えるその感覚は、切り出しがじつにスムーズで、自然な感覚が気持ちよい。1.1トンという比較的軽い車重の恩恵もあって、とくに下り坂で曲がるときには、感心するぐらい新鮮な感覚がある。
加速についても、走り出しもフットワークがよい。そのあとターボチャージャーに負荷がかかって過給がはじまる領域に入ると、さらに力強さを感じる。7段DSG(ダブルクラッチシステムを使ったフォルクスワーゲンの変速機)をマニュアル操作して4,000rpm付近を使うようにすると、活発に走らせることができる。燃費のよさを強調するポロのマーケティングと反してしまうが、運転する楽しさをもったクルマだ。
Volkswagen Polo TSI highline|フォルクスワーゲン・ポロ TSI ハイライン
軽い身のこなしが特徴の新世代モデル(2)
外からのあらゆる音を効果的に遮断
軽量化はクルマにとってもっとも大切な要素といえる。ポロのようにエンジンが小さくてすむし、慣性質量が大きくないのでブレーキ径も抑えられる。大排気量のエンジンの高効率化を目指すより、さらに効率のよい手法だ。エンジンの排気量をたんに小さくするのではなく、ヘッドの形状からエンジンオイルの量まで、徹底的に見直して軽量化をはかったフォルクスワーゲンのやり方は注目に値する。ポロの身のこなしの軽やかさは、じつは新世代のクルマのあり方といえる。
ポロの美点は快適性の追求にもある。ひとつは高い静粛性。外からの音の侵入を防ぐとともに、エンジンやトランスミッションに起因するメカニカルノイズ、吸気および排気音、そしてタイヤと路面からの侵入音、どれも効果的に遮断している。日本車は昔から騒音対策に熱心だったが、このサイズでここまで徹底的にやっているモデルはじつに数少ない。ポロの質感の高さは、音と、そして各部の作り込みにある。ハンドルのグリップ形状が立体的なのも、感覚的にじつに心地よい。ここに注目しているメーカーは少ないようだが、グリップの気持ちよさは、人間の原初的な快適性につながる。自動車の用語で、感覚とつながるデザインを感性品質というが、VWの高品質ぶりはここにもあらわれている。
ポロかゴルフか、悩むところ
コンフォートライン(213万円)はベースグレードで、ハイライン(243万円)はより装備が豊富な仕様。ハイライン専用装備としては、フルオートエアコン、パークディスタンスコントロール、スポーツシート、革撒きステアリングホイール、アルミホイールなどがあげられる。
おなじ1.2リッターエンジンを搭載するゴルフTSIトレンドライン(257万円)はスチールホイールや標準シートと、装備で比較すると微妙な交差がある。広びろ感でいうと、2,575mmのホイールベースに4,210mmのハッチバックボディを乗せたゴルフに対して、2,470mmに3,995mmのポロ。車体全幅もゴルフの1,790mmに対してポロは1,685mm。サイズのちがいが、室内の広びろ感の差にあらわれている。
ゴルフの1.4リッターエンジン搭載モデルで、走行距離が少なく、状態のよいものが200万円を切る価格で市場に出ているのが現状だ。それをかんがみると、ポロかゴルフかの選択は悩ましい。ポロにはよりコンパクトなぶん、いさぎよさがあり、それが魅力であることはまちがいない。
Volkswagen Polo TSI Highline|
フォルクスワーゲン・ポロ TSI ハイライン
ボディ|全長3,995×全幅1,685×全高1,475mm
ホイールベース|2,470mm
車両重量|1,100g
エンジン|1,197cc 直列4気筒SOHC+インタークーラー付ターボチャージャー(2バルブ)
最高出力|77kW[105ps〕/5,000rpm
最大トルク|175Nm[17.8kgm〕/1,550-4,100rpm
駆動方式|前輪駆動
トランスミッション|7段DSG
価格|242万円
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
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