OPENERS CAR Selection 2014 大谷達也篇
OPENERS読者におくる2014年の5台
OPENERS CAR Selection 2014 大谷達也 篇
2014年も終わりつぎの1年も見えてきたこの時期だからこそ、あわてずじっくり振り返った「OPENERS Selection 2014」。昨年登場した数おおくのクルマのなかでも、大谷達也氏が注目したモデルはこれだ。
Text by OTANI Tatsuya
スーパースポーツカーのひとつの到達点が登場
2014年、個人的にとりわけ強く印象に残ったのはエコカーとスーパースポーツカーの台頭だった。CO2の削減が叫ばれ、またエネルギー セキュリティの観点から石油資源への過度な依存に警鐘が鳴らされている現在、プラグインハイブリッドやEV、燃料電池車といった次世代型エコカーに注目が集まるのは当然のことだろう。でも、面白いことに、エコカーとおなじくらいに、場合によってはエコカーを上まわるくらいの勢いで、昨年は多くのスーパースポーツカーが誕生したようにも思う。
また、2014年に登場したスーパースポーツカーは、とりわけ乗りやすさや快適性と圧倒的なパフォーマンスという、いわば対極にある価値観を極めて高いバランスで両立させたことにも特徴があった。
その代表がマクラーレン「650S」であり、ランボルギーニ「ウラカンLP 610-4」だろう。どちらもエンジンの最高出力は600psオーバー、そして最高速度は325km/hを越える(650Sは333km/h)というのに、乗り心地は拍子抜けするくらいスムーズで、運転しても一切気むずかしいところがない。個人的に、こういった「スーパースポーツカーの民主化」は過去20年間にわたってジワジワと進行してきたものと理解しているが、650Sとウラカンはスーパースポーツカーのひとつの到達点として特筆すべき存在だと思う。
それにしてもなぜ、この時期にスーパースポーツカーが次々と登場するのだろうか? エミッション規制が一層厳しくなり、くわえて現在のように手軽にガソリンが入手できなくなって、事実上スーパースポーツカーが乗れなくなる時代がそう遠くない将来に訪れる可能性が論じられている。だとすれば、そんな“暗黒の時代”がやってくる前にスーパースポーツカーを謳歌したいと考える人々がいたとしても不思議ではあるまい。現在のスーパースポーツカー市場の活況振りは、そういった人々によって下支えされているのではないか? 私はそんなふうにも考えている。
いずれにせよ、純粋なクルマ好きの立場からいえば、個性豊かな製品が続々登場している現状は嬉しい限り。そしてまた、スーパースポーツカーを思いっきり楽しめる時代が1日でも長くつづくよう、日ごろはエコカーでCO2排出量を抑える努力も忘れたくないものである。
大谷達也による2014年の5選
Mclaren 650S|マクラーレン650S
Lamborghini Huracan LP610-4|ランボルギーニ ウラカン LP 610-4
Audi S3|アウディS3
Volkswagen e-up!|フォルクスワーゲン eアップ!
Renault Lutecia ZEN 0.9 MT|ルノー ルーテシア ゼン 0.9 MT