Divine of Creation|伊藤嶺花×松井龍哉(前編)
Lounge
2015年4月16日

Divine of Creation|伊藤嶺花×松井龍哉(前編)

さまざまなステージで活躍するクリエイターをゲストに迎え、スピリチュアル ヒーラーの伊藤嶺花さんが、ひとが発するエネルギーを読み解くリーディングと複数の占星術を組み合わせ、クリエイターの創造力の源を鑑定。現世に直結する過去生や、秘められた可能性を解き明かし、普段は作品の陰に隠れがちでなかなか表に出ることのない、クリエイター“自身”の魅力に迫ります。

スピリチュアル対談 Vol.5|松井龍哉

伊藤嶺花が“視た”ゲストの肖像

「世の中の必要性と可能性から、人々が喜ぶ光の道を切り開いていく賢者」 (前編)

人々の幸せと最先端の技術を結ぶ接点を発想し
ロボットを現実生活に解き放つ仕事

第5回目のゲストは、フラワー・ロボティクス代表、ロボットデザイナーの松井龍哉氏。フラワーガールをコンセプトにした代表作「Posy」をはじめ、ショーウィンドウを美しく演出してくれるマネキン型商用ロボット「Palette」など多くのロボットを生み出し、最近ではKDDIのiidaブランドから発表となったコンセプトモデル、学習機能をもつ携帯電話型ロボット「Polaris」の開発も手掛けている。また、ロボットデザイン以外でも、航空会社スターフライヤーのトータルデザイン、アルフレッド ダンヒルの店舗設計など活躍の場を広げる松井氏の素顔に迫ります。

Text by OPENERSPhoto by Kenta Suzuki

ロボットデザインに必要なのは、クリエイティブな発想力と
その発想を現実にさせるための99パ-セントの努力

伊藤 よろしくお願い致します。じつは以前、PRのお仕事をしていたときにお会いしているんですよね。

松井 そうでしたね。以前とはだいぶちがうお仕事をされていらっしゃるんですね。

伊藤 お会いしたときはカミングアウトしていなかったので(笑)。視える体質といいますか……。

松井 視える体質?

伊藤 そうなんです。幼少のころから、亡くなっているかたや生きているかたの想いのエネルギーが視えるんです。今は「共感覚」というらしいのですが、新聞や小説を読むと、文字が七色の虹みたいにチカチカってエネルギーで視えたり、音楽を聴いていても目の前で色がブワーッと流れたり……。

1-2-327

伊藤嶺花さん

そんな体験が物心ついたときからだったので最初はみんなもそうだと思っていたのですが、両親やお友達に言いはじめたころに「え、ちがうの?」って気づいて、わたしだけ特殊だってことがすごくこわかったんですよ。日本だと「オカルト」や「ホラー」、「心霊写真」といった扱いをされることが多いですし、そういう情報ばかりでしたので、30歳くらいまでは自分の体質を否定していたんです。けどどこかで、自分は一体なんなんだろうという思いがあって、この力にはなにか意味があるんじゃないかと思ってから、エネルギー的なことを学びはじめまして。いまは切り替えができるようになったので、こうして仕事にしています。

松井 そうだったんですね。

伊藤 松井さんは、今のお仕事をはじめられたきっかけというのは何だったのですか?

松井 はじめからロボットデザインというわけではないのですが、クリエイティブなことをやりたいという気持ちは幼いころからありました。小学生のときはいつも絵を描いたりしていましたね。小さくても簡単にはじめられるクリエイティブな仕事といいますか、学校で美術部をつくって、ソーシャルワークとして校内用のポスターを仕事として受け持つような部署として認めてもらって。内情はプラモデルを作っていましたが(笑)。

伊藤 あはは。

松井 その後、中学生のときに「デザイナー」という仕事を知って、その日から今日まで一貫してデザイナーの道を進んでいます。今年40歳になりましたが、一度もほかの道を考えたことはないですね。

伊藤 すごいですね!

松井 「デザイン」とひとことで言っても広いですから。僕は、高校・大学とデザインの学校に行きまして、海外でもデザインの勉強をしたので、本当にいろんなことを経験しましたが、自分が作るもののテーマの選び方によって人生って大きく変わるじゃないですか。音楽家であればクラシックなのかオペラなのかとかね。デザイナーは、一生をかけてできる仕事ですから、あと50年くらいはロボットのデザインは面白いかなと。

伊藤 なぜロボットだったのですか?

1-3-327

松井龍哉さん

松井 僕が考える「デザイン」というのは、技術を洗練させていくとすばらしいデザインになるというものではないんです。ロボットというのは、技術はもっとも進んでいるのに世の中に受け入れ体制がない現状なんです。ですから、人びとの生活に入っていくための仕組みから考えて、人びとが幸せを感じる場面と最先端の技術を結ぶ接点を発想する。人間は何に価値を見出すのかとか、もっというと生物性から考えて、それであればこういうものが必要になってくるとか……、そういうところまで考えてシステムをつくって、それに必要な技術を開発するわけです。そうすると、クリエイティブな発想力と、その発想を現実にさせるための99パ-セントの努力が必要になってくるでしょう。そういった意味で本当にやりがいのある仕事ですね。ロボットを現実生活に解き放つというこの仕事は。

1-4-327

1-5-327

KDDIのiidaブランドから2009年9月に発表された最新のロボットの「Polaris」

生活にいちばんふさわしい技術をシンプルで自然なかたちで表現

伊藤 目の前にあるこの球体のものもロボットですか?

松井 はい。これは「ポラリス」といって、うちのいちばん新しいロボットです。まだ試作機ですが、結構かわいいんですよ。学習機能を持っているロボットで、専用の携帯電話を近づけるとパカッと開いて携帯電話がなかに収まるんです。

伊藤 かわいい!

松井 携帯電話ってみなさん毎日持っているものですよね? だったらいろんな情報をもっているはずなのに、誰もそこから毎日の蓄積された情報を役に立てられていないんです。この子は充電器にもなっていて、置いた瞬間に携帯電話の使用状況から今後の傾向と対策を考えてくれる。たとえば本を買うと、ユーザーの傾向から「こんな本はどう?」って探してくれたり、ライフログというんですけど、今日はどれくらい電話やメールがあって何歩あるいたとかを記録してくれる。そして日々の記録から傾向と対策を読んで「野菜を取った方がいいよ」とか教えてくれるわけです。そうやってさまざまな情報を入れていくと、たとえば「八百屋さんでこんなの注文できるけどいる?」とか学習して。

伊藤 すごいですね!松井 生活にいちばんふさわしい技術を、もっともシンプルで自然なかたちで表現するとロボットデザインができてくるんです。それは、デザイナーとしては人生をかけてもいいくらいおもしろいサブジェクトなんじゃないかなと思っています。

例えば、アップルの創立者であるスティーブ・ジョブス(Steve Jobs)氏は、彼が発明したわけではないけれど、人びとにインスピレーションを与えてコンピューター産業をゼロからつくってきたわけですよ。

1-6-327

今日、僕らがコンピューターを使って生活しているということは、それにまつわる企業がたくさんあるわけです。細かいことを言うならば、CD ROMの工場のお父さんひとりに家族が4人いるとして、それが世界中のレベルになると何億という人間がかかわってきて、何兆円というお金が動いている。そう思うと、彼は人類にとってとんでもなく価値のある人間で、多大な貢献をしているわけですよね。ですので、ビジネスと言ってしまっては平たいのですが、社会貢献という点においても、テクノロジーと実際の人間の生活を真剣に結んでいるひとたち。そういったことをゼロから創造していくということが、デザインがもっている力のひとつだと僕は思うんです。そういう意味で、僕らは世界で一番小さいロボットメーカーである「フラワー・ロボティクス株式会社」を創業しました。そして少しづつですが企業として成長しています。

伊藤 素晴らしい! ご自身が一番魂からの使命を感じとってそのまま言葉にされているので、お話することがなくなっちゃいました(笑)。子どものころからだと思うのですが、心が躍動するようなことから得た興味に対して、ものすごくストイックに研究する姿勢、ひとつ興味をもつと、そこから派生している部分を全部深堀りしていって、枝分かれしていることもすべて知っておこうという姿勢をおもちですよね。知識を汲み上げていくこと、吸収・蓄積していくことがものすごくお好きなのかな。その知識を、独自のアイデアとして具現するということを一生かけてやっていかれるのだと思います。

MATSUI Tatsuya|松井龍哉
フラワー・ロボティクス 株式会社 代表取締役/ロボットデザイナー
1969年東京生まれ。91年日本大学芸術学部卒。丹下健三・都市・建築設計研究所,科学技術振興事業団,研究員を経て、2001年フラワー・ロボティクス(株)設立。ヒューマノイドロボット「Posy」等の研究開発に注力。09年、商用マネキン型ロボット「Palette」の量産開発に成功し販売事業開始。「Palette」は09年度グッドデザイン賞受賞。トータルデザインした航空会社スターフライヤーは07年「新日本様式百選」に選ばれる。近作にダンヒル銀座本店店舗設計、アロマディフューザー「ECRIT」のデザイン。最新のロボットはKDDIのiidaブランドから2009年9月に発表された「Polaris」。早稲田大学理工学部非常勤講師。日本デザイン振興会Gマーク審査員。
http://www.flower-robotics.com/

ITO Reika|伊藤嶺花
株式会社ディヴァイン代表/スピリチュアルヒーラー
服飾雑貨系の製造卸売業、仕入製造小売業の企業にて商品企画、広告宣伝、経営企画の仕事に従事したのち、チャネリングやリーディングによって視えたことを、複数の占星術を組み合わせて読み解く独自スタイルの宿命鑑定と、ヒーリングや催眠療法などを行うライトワーカとして活動を開始。有名企業経営者からの企業鑑定依頼も多く、これまでに10万件以上の鑑定実績をもつ。2009年7月から、自由が丘にて個人セッション再開、満月&新月のワークショップを開始予定。著書に『シンクロニシティ』、『運命好転術』。www.divine-msg.com

           
Photo Gallery