Audi Q5|「軽やか!」と驚く(後編)
Audi Q5|アウディ Q5 (後編)
「軽やか!」と驚く。
SUVなのだけれど、車高を1650mmにとどめ、セダンの躍動感をもった、オンロードでもオフロードでも使えるクルマ「アウディ Q5」。アウディが満を持してリリースした同車の真価とは?
文=小川フミオ写真=河野敦樹
1.8トン程度に抑えられた車重
はたしてQ5に乗ると、たしかにアウディが強調する運転しての楽しさをまず感じた。低いといチても全高1650mmの、車型的にはSUV(スポーツ多目的車)に属するモデルだ。オフロード走行および積載量の多さを主目的に開発されたクルマであっても不思議はないのだけれど、Q5はちがった。スポーティな形状の、身体の移動を抑えるサポートがいくつも設けられた座席に身を落ち着け、プッシュスタートでエンジンに火を入れ、アクセルペダルを踏み込んだとたん、「軽やか!」と驚く。
軽量、高強度の高張力鋼板は、コスト面から一般車ではふんだんには用いられない素材だが、プレミアムカーであるQ5では、高張力鋼板のメリットを活かして車重を1.8トン程度に抑えている。それと、たとえば2.0TFSIクワトロでは1500rpmというごく低回転から35.7kgmもの大トルクが出る設定とが組み合わされて、車体がすっと動いていく気持ちよさが実現されているのだろう。このときレスポンスのいいハンドルもその軽快な運転感覚に寄与するところが少なくないはず。
もうひとつQ5で感心するのは、乗り心地。ゴツゴツ感はなく、フラットで、なめらか。専門用語では「バネ上とバネ下」というけれど、車重との関係もうまく調整されているのだろう、じつに気持ちのよい移動ができる。この感覚にも感心した。
ドライバーの意志とクルマの動きがシンクロしている
コーナリングも、意外かもしれないが、Q5の得意分野だ。アルミニウムを多用したサスペンションシステムは、軽量化にとどまらず、正確な動きとともに、前後の重量バランスを考慮した車両の操作性を念頭に入念なセッティングがされているという説明を裏書きするように、油圧によるパワーアシストを備えたハンドルを切ると、車体の追従性は素晴らしく、ドライバーの意志とクルマの動きがシンクロしている。SUVのなかでもトップクラスだ。
個人的にとくに気に入ったのは、2.0TFSIクワトロだ。ごく低回転域から35.7kgmもの大きなトルクが出るため、アクセルペダルの踏み込みに対するクルマの動きは俊敏だし、車体の動きもより軽やか。ターボチャージャーの設定も上手で、どの回転領域でもパワー不足を感じさせず、軽快なドライブを可能としている。
室内は4人のおとなに充分な広さで、「MMIマルチメディアインターフェイス」は10のスピーカーに180ワットのオーディオシステムと組み合わせられ、40GBのハードディスク搭載などで、音楽を聴くのが好きなひとへの魅力も大きい。オプションで505ワットのバング&オルフセンのオーディオシステムも用意される。
SUVの装いが少し非日常を演出してくれる、あらたな魅力をまとった、新しいアウディの登場だ。
Audi Q5 2.0 TFSI quattoro
ボディ|全長4630×全幅1900×全高1650mm ホイールベース2810mm
車両重量|1870kg
エンジン|1984cc 直列4気筒+ターボチャージャー
最高出力|155kW[211ps]4300~6000rpm
最大トルク|350Nm[35.7kgm]/1500~4200rpm
駆動方式|4WD
トランスミッション|7段Sトロニック
価格|569万円
Audi Q5 3.2 FSI quattoro
ボディ|全長4630×全幅1900×全高1650mm ホイールベース2810mm
車両重量|1930kg
エンジン|3196cc V型6気筒
最高出力|199kW[270ps]/6500rpm
最大トルク|330Nm[33.7kgm]/3000~5000rpm
駆動方式|4WD
トランスミッション|6段Sトロニック
価格|660万円
アウディコミュニケーションセンター
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