ファッションモデルTAOインタビュー(前編)
パリコレのランウェイから──
ファッションモデルTAOインタビュー(前編)
身長177センチ、1985年生まれ、千葉県出身のモデルTAOさん。14歳でモデルとしてスタートし、2006年3月にはじめてのパリコレを経験。2008年春夏パリコレクションでは、ビッグメゾンのイヴ・サンローランにアジア系では唯一のモデルとしてランウェイに立った。
文=梶井 誠(本誌)
日本の事務所にいろいろお膳立てしてもらっていたらダメだったかも
──パリやミラノなどのコレクションに憧れているモデルは多いと思いますが、TAOさんは海外は怖くなかったんですか?
高校2年のときにイギリスに1年間留学していたので英語が大丈夫です。それはやはり大きいですね。
──パリに最初に行ったのは2006年の2月ですね。ひとりで行ったんですか?
はい。日本人モデルのばあい、現地の所属事務所が決まった状態からスタートするのがほとんどですが、私はエージェント(事務所)リストを自分でつくって、電話して、面接してもらって……というところからで、現地のエージェントのランクもわからないし、東洋系はひとり所属していたらもう採用しないというウワサも聞いていて、まずパリコレに出る以前にエージェントが決まるかどうかが不安でした。でも自分でやるしかないと覚悟はできていましたから、もし日本の事務所にいろいろお膳立てしてもらっていたら甘えてしまってダメだったかも。
──事務所はすんなり決まったんですか?
最初はたくさんのエージェントをまわるつもりでいて、初日にとったアポイントは3つ。どうせ決まらないだろうとハイレベルのところから行ったんですが、やはり断られてショックでしたね。それで2つ断られただけで挫(くじ)けちゃって、3つめに行ったところで気に入られちゃって、「もうここしか採ってくれない」と思ってしまって、2006年の3月のパリコレはその事務所でやりました。その後、ELITEが気に入ってくれて移りました。こういうことはタイミングも大きいですね。
──その3月(2006年秋冬コレクション)はいくつ出られたんですか?
それでも8メゾンぐらいは出ました。新人デザイナーとか、わりと小さいメゾンがほとんどでしたね。そのあと2シーズン目に少しずつ有名なメゾンに出られるようになり、ウンガロに出られたり、次にミラノでサルヴァトーレ・フェラガモに出て、それで4シーズン目(昨秋)にイヴ・サンローランに出ました。
──TAOさんは英語が話せるのは武器ですね
アピールするにはコミュニケーションが絶対必要で、やっぱり第一段階として話せないとつらいですね。日本人のモデルでも「きれいだけど、話せなかったんだよね」というのはよく聞きますね。
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──ランウェイを歩くのはどうですか?
私は大きいステージでもほとんど緊張しないんですね。パリのグランパレでのサンローランも体験したし、もっと大規模で世界中が観ているショーに出たい。やっぱり緊張感とかモチベーションはちがいますね。私はランウェイを歩く瞬間より、終わった瞬間の拍手とか、バックステージでのデザイナーの言葉にグッときちゃう。みんなで何かをつくりあげるのが好きなんですね。
──では、パリコレから印象を聞いていきます
パリは、コレクションの盛り上がり方は世界でいちばんだと思います。すごいイベントに参加しているなって。
──ミラノは?
ミラノのファッションは、わるい表現をすると少しけばけばしいところがあるので、求められるモデル像が特有であったりして難しいですが、大きいメゾンがたくさんあるのでやりがいはあります。
──ニューヨークは?
う~ん、全体的にカジュアルだと思います。私は、パリ、ミラノを体験したあとに行ったので、ストリート系のファッションとかが目について、「えっ?これがコレクションなの?」って感じで。トップメゾンはまたちがうんでしょうけど、カジュアル過ぎる印象がありますね。
──ではロンドンは?
パリやミラノにくらべたら小規模ですけど、相変わらず奇抜なファッションもあって面白かったです。
──それでは東京は?
私は東京のファッション、好きですね。ほかの都市では見られないものだし、海外から見た「東京のファッション」というとギャル系や原宿系などが面白がられていますが、もっとちがう私の好きな「東京のカラー」が世界に強く出てもいいと思います。コレクションも海外のもののようにもっと盛り上がってほしいと思いますね。
──2008春夏コレクションで印象に残っていることは?
1点しか着用しなかったんですが、マルタン・マルジェラが面白かった。マリテ・フランソワ・ジルボーとキャステルバジャックのコレクションの演出で、「カメラの前で(正面で)遊んで」と言われて戸惑ったんですが、やってみたら意外と楽しくて。マルジェラは服も演出も好きでした。
─パリコレのランウェイから─ファッションモデルTAOインタビュー(後編)につづく
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