坂本龍一|坂本龍一 × 細野晴臣(1)
Lounge
2015年3月19日

坂本龍一|坂本龍一 × 細野晴臣(1)

坂本龍一 × 細野晴臣 『細野晴臣トリビュート・アルバム』を語り尽くす(1)

坂本龍一とクリスチャン・フェネスの「fennesz+sakamoto」初のオリジナルフルアルバム『cendre』の紹介につづいて、4月29日(19:20~22:00)に放送されるNHK-FM「音楽の美術館・サウンドミュージアム 坂本龍一」の収録から細野晴臣さんとの対談をウェブ独占先行掲載。4月25日にいよいよ発売された『細野晴臣トリビュート・アルバム』についてのふたりのトークのオンエア分を4回にわたって連載いたします。お楽しみください。

第1曲目「ろっかばいまいべいびい」

細野さん、トリビュートされる気持ちは……

坂本 さて、坂本龍一の『サウンドミュージアム』、細野晴臣さんをお迎えしました。こんばんは。

細野 こんばんは。

坂本 記憶を辿っていくと、ラジオでふたりで喋るのははじめてですね。

細野 こうして対面して話すことはなかったね、めずらしい。

坂本 めずらしいです。歴史的な瞬間。あ、そんなことはないか(笑)。大げさな、ですね。4月25日に細野晴臣トリビュートアルバムが発売されます。

細野 トリビュートされちゃって、申し訳ない。

坂本 今までには……

細野 ないですよ(笑)。

坂本 作家でいうと、全集がでたような気持ちですかね。

細野 いや、それとは全然ちがう。トリビュートというのは複雑だよ、まだ生きているのにと思うもの(笑)。

坂本 そういう感じですか。

細野 たとえば、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンというひとは、ちょっとよたよたしているんだけど(笑)、ああいうひとにはトリビュートでね、よろこばせてあげるとかね。だから考えたね。「いよいよ来たかな」って(笑)。

坂本 今回はヴァン・ダイク・パークスも……

細野 いや、それがすごくうれしくて。あの大先輩というか先生がね。

坂本 言ってみればグルでしょ?

細野 グルまではいかないけど(笑)、尊敬する先生ですよ。先輩というと、僕はムッシュかまやつさんとミッキーカーチスさんと、ほほほ。尊敬もしているんですけど。

坂本 ヴァン・ダイクとおなじくらい細野さんにとって重要なひとというと……

細野 まあそうね、同世代ですごく影響を受けたひとだと、ヴァン・ダイク・パークス、ザ・バンドとかね。70年代の多くはカリフォルニアのあたりにいたミュージシャンたちね。あとはウッドストックか。今回もウッドストックのひとが演ってくれて。

坂本 ジョン・セバスチャンですね。

細野 ありがたくて、ありがたくて。なんか申し訳ないね。

坂本 そんなことないけど(笑)。

細野 すごくうれしかったのは、つまり出来がよかったわけ、とても。うれしかったね。

坂本 それを僕たちがつくったレーベル「commmons(コモンズ)」から出すことができるのも本当にうれしいですね。ひとりも手を抜いていないし。

細野 一曲一曲噛みしめることができるよね。

坂本 味わい深い。

細野 坂本君の演った曲もね、素晴らしかったし。ほんと、ほんと。

坂本 そんなこと言っていただいちゃって、照れるな。

細野 いやいや(笑)。手を抜いてないでしょ?(笑)

坂本 抜いてないですよ。結構シンプルに聴こえますけど、2週間ぐらいかかっているんですよ。めずらしいですよ、僕にしては。じゃあ、1曲目聴いてみますか? じつはアルバムの1曲目は、細野さんの秘蔵テープが出てきたんですよね。

細野 うん、うん。もうしょっちゅう出てくるんだよね。埋もれてるの、ゴミのなかに(笑)。

坂本 細野さんはなんでも取っておくという話を聞いていますけど。

細野 取っておくつもりはないんだけど、捨てないっていうだけの話で……。

坂本 だから溜まっちゃう。

細野 整理整頓をしていないんだよね。この間ね、あるひとが来て、当時の大事なカセットテープを探したいって探したけどないんだよね。それで最後に靴箱に入っていて、とんでもないところにあるなと(笑)。

坂本 自分できっと入れているんですよね(笑)、きっと。不思議だなあ、それが1曲目に入っていて。「ろっかばいまいべいびい」をピアノで弾いているデモテープからです。これは狭山ですよね。

細野 そう狭山。

坂本 ではお聴きください。

──DISC 1
01.「ろっかばいまいべいびい - Piano Demo ver.- 」 細野晴臣

──次回2曲目、「イエロー・マジック・カーニバル」につづく

細野晴臣トリビュート・アルバム

4月25日発売

細野晴臣トリビュート・アルバム

■DISC 1
01.「ろっかばいまいべいびい - Piano Demo ver.- 」 細野晴臣
02.「イエロー・マジック・カーニバル」 ヴァン・ダイク・パークス
03.「風の谷のナウシカ」 坂本龍一 + 嶺川貴子
04.「わがままな片想い」 コシミハル
05.「ハイスクール・ララバイ」 リトル・クリーチャーズ
06.「アブソリュート・エゴ・ダンス」 東京スカパラダイスオーケストラ
07.「終りの季節」 高野寛 + 原田郁子
08.「Omukae De Gonsu」 miroque
09.「ハニー・ムーン」 テイ・トウワ + ナチュラル・カラミティ
10.「北京ダック」 □□□(クチロロ)
11.「三時の子守唄」 ワールドスタンダード + 小池光子

■DISC 2
01.「恋は桃色」 ヤノカミ(矢野顕子×レイ・ハラカミ)
02.「スポーツマン」 高橋幸宏
03.「ミッドナイト・トレイン」 畠山美由紀 + 林夕紀子 + Bophana
04.「Turn Turn」 コーネリアス + 坂本龍一
05.「銀河鉄道の夜」 といぼっくす
06.「蝶々さん」 ウッドストック・ヴェッツ
(ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー & ガース・ハドソン他)
07.「ブラック・ピーナッツ」 ヴァガボンド + 片寄明人
08.「風をあつめて」 たまきあや + 谷口崇 + ヤマサキテツヤ
09.「日本の人」 サケロックオールスターズ + 寺尾紗穂
10.「風来坊」 ジム・オルーク + カヒミ・カリィ
11.「Humming Blues −Demo ver.-」 細野晴臣

           
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