MOVIE|伝説のポルノ女優の光と影を描く『ラヴレース』
LOUNGE / MOVIE
2015年2月2日

MOVIE|伝説のポルノ女優の光と影を描く『ラヴレース』

MOVIE│清純派のアマンダ・セイフライドの体当たりの熱演に注目!

伝説のポルノ女優の光と影を描く『ラヴレース』

1970年代に一躍脚光を浴びた伝説のポルノ女優リンダ・ラヴレースの半生を描く『ラヴレース』が3月1日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開される。

Text by YANAKA Tomomi

監督はドキュメンタリー出身のロブ・エプスタインとジェフリー・フリードマンのコンビ

1972年にアメリカで公開され、社会現象となったポルノ映画『ディープ・スロート』。アメリカのポルノ映画史上もっともヒットした作品は、アダルト向けの劇場だけでなく、一般の映画館でも上映されるなど空前のブームを巻き起こした。

また、主演したリンダ・ラヴレースも1970年代のアメリカの解放的な“性革命のシンボル”として大きな注目を集めることに。そんな彼女の光と影を描いた衝撃作が日本でも公開される。

主演のラヴレースを演じるのは『レ・ミゼラブル』のコゼット役や、『マンマ・ミーア!』のソフィーなどでの演技も記憶にあたらしいアマンダ・セイフライド。清純派としてもっとも旬な女優が、体当たりでアメリカのセックスシンボルを熱演する。

ラヴレース 02

ラヴレース 03

ラヴレースの暴力的な夫を圧倒的な存在感で演じたのはピーター・サースガード。さらに、シャロン・ストーンや、ジェームズ・フランコ、クロエ・セヴィニーら豪華キャストが顔をそろえた。また、監督にはアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞するなど、かずかずの名作ドキュメンタリーを世に送り出してきたロブ・エプスタインとジェフリー・フリードマンのコンビ。ジャーナリストの視点から、ラヴレースのセンセーショナルな人生に挑み、真実の姿を描き出している。

夫の借金返済のため、ポルノ映画に出演するリンダ

敬虔なカトリック教徒の両親と暮らしにうんざりしていたリンダ。彼女は、地元でバーを経営しているチャックと出会い、彼の優しい言葉に惹かれ、すぐに結婚する。しかし、その半年後、チャックは借金を返済するため、妻のリンダをポルノ映画に出演させようと企むのだった。

そしてたった7日間で撮影された『ディープ・スロート』は記録的な大ヒット。「リンダ・ラヴレース」というポルノ女優としての芸名を得た彼女は、一躍スーパースターとなり、「プレイボーイ」の編集長ヒュー・ヘフナーら有名人から賞賛されるほどの人気者に。1970年代の解放的な「セックス革命のシンボル」として祭り上げられていく。

ラヴレース 04

ラヴレース 05

だが、『ディープ・スロート』の公開から6年後。ラヴレースは「衝撃の事実」を告白するために、自伝本を書くことを決意する。なぜ彼女はポルノ女優となったのか? 映画の製作現場の裏側で“本当に起こっていたこと”とは?

あまりにも数奇なリンダの人生。それは時代を越え、いまなお私たちの心に突き刺さる。

MOVIE│清純派のアマンダ・セイフライドの体当たりの熱演に注目!

伝説のポルノ女優の光と影を描く『ラヴレース』(2)

ここからは主演女優アマンダ・セイフライドのインタビューをお届けする。最大の難役に挑んだ彼女がリンダ・ラヴレースの魅力と映画の見どころを語ってくれた

「大胆」と「勇敢」を演技に注ぎ技込んだアマンダ・セイフライド

──あなたは1985年生まれですが、今回のプロジェクトの前にはリンダ•ラヴレースや映画『ディープ•スロート』のことを知っていましたか?

いいえ、この映画のために『インサイド・ディープ・スロート』を観るまでは、映画のこともリンダ自身のことも何も知りませんでした。だから両親にも当時の反響を聞いたりして(笑)。監督のロブとジェフリーが彼らの集めた膨大な写真やフッテージ、本などの資料を私に見せてくれたし、私自身も彼女が出た映画もほとんど全部観て役作りをしていきました。

──あなたはなぜこの役に惹かれたのでしょうか?

私はチャレンジングな役が好きなの。実在の人物を演じる場合は責任を感じるから怖くもある。大きな挑戦だけど、エキサイティングでもあります。それと、リンダはポルノ業界のスターだっただけに資料もたくさん残っているから、そういう点でキャラクター作りはあまり難しくないと感じたんです。共演者もみんな優しくて、シャロン・ストーンは撮影の当初からとても励ましてくれました。

ラヴレース 07

──役作りの上でリンダ自身からどんなインスピレーションを得ましたか?

まさに、彼女が持っているサバイバルの能力に感化されました。すごく悲劇的な人生を体験したにもかかわらず、彼女はそこから抜け出して、最後には自分の家族を持つことができました。彼女が経験してきたことはとても困難なことだけど、それを語ることを恐れず、他の女性たちとシェアすることを恐れなかったです。

ポルノ産業で強要され、利用された後にも関わらず…。彼女は他の女性たちのことも理解し、世界に居場所をみつけることができた。それは誰にでもできることじゃありません。それに思春期の頃、彼女はとても純粋だったけど、両親からはあまり顧みられなかったから、そういう生い立ちが彼女の性格に影響を与えたのだと思います。

ラヴレース 08

──あなたが感じたリンダ・ラヴレースについての印象を教えて下さい。

リンダは信じられないほど寛容で、人の意見に対する理解力を持ち、ある意味、信じられないほどストイックだったと思います。物を投げつけられたり、裏切られたり、ののしられたり、一挙一動について質問されたり、それはとても腹立たしいことなのに、彼女はそのような人にも優しく、愛情をもって接しました。さらに驚くことに、彼女はただ友達や子供、幸せな結婚生活が欲しかったの。それだけを望んでいましたね。

──暴力的な夫チャックを演じたピーター・サースガードはどうでしたか?

ピーターがすごいのは、カリスマ的な魅力を持っている男から、一瞬にしてひどく暴力的な男に豹変してしまえることです。チャックという男は、普通の人には理解できないような多重人格的な性格の持ち主でした。ピーターは、そんな難しい役を完璧にこなしきりました。

──この映画にはフェミニスト的な側面もあると思いますが、その点ついてはどう思いますか?

実際の彼女の人生において、それはとても重要な要素だったと思います。私たちはもっとそういうシーンを撮影していたのですが、ずいぶんカットされた部分もあります。たとえば、リンダとチャックとの関係の最後の方などは長くなりすぎるのを避けてカットされました。

彼女の人生にはたくさんの側面があって、すべてを語り尽くすことは不可能です。でも映画の後半にかけて、彼女が徐々にフェミニストになっていく様子を描くのは、とても大切なことだったと思います。彼女の人生には別の側面があったことを示唆するためにも、あのような終わり方が必要だったと思います。

──最後にこの映画の見どころをお願いします。

この作品はリンダという女性の人生の旅と、リンダとチャックという信じられない二人の関係を描いています。それぞれのキャラクターを掘り下げ、リンダの物語をもっとも良い形で伝えていると思います。リンダのサバイバルだった人生、勇気を観て欲しいです。

ラヴレース 09

『ラヴレース』

3月1日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国ロードショー

監督│ロバート・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン

出演│アマンダ・セイフライド、ピーター・サースガード、シャロン・ストーン、ジェームス・フランコ、クロエ・セヴィニー

配給│日活

2012年/アメリカ/93分/R18+

©2012 LOVELACE PRODUCTIONS,INC.ALL RIGHTS RESERVED

           
Photo Gallery