ゴルフ ヴァリアントに国内で試乗|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2015年3月6日

ゴルフ ヴァリアントに国内で試乗|Volkswagen

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフ ヴァリアントに国内で試乗

年の瀬も押し迫った2013年12月26日、第7世代「ゴルフ」をベースにしたステーションワゴン「ゴルフ ヴァリアント」が国内で発表された。輸入車としてはじめて“2013-2014 日本カー オブ ザ イヤー”受賞をはたしたゴルフ7のボディを伸長し、使い勝手を向上させたこのモデルは、果たしてどうなのか。塩見氏が乗ってたしかめた。

Text by SHIOMI SatoshiPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko

知的にかんじるダウンサイジング

ハッチバックが2013年半ばに日本で発売されたフォルクスワーゲン・ゴルフ。7世代となる新型も、いつも通り奇をてらわないデザインで、いつも通りすぐれたパッケージングをそなえている。

先代あたりからフォルクスワーゲンの効率(燃費)を追求する姿勢には鬼気迫るものがある。新型ではさらに効率を上げてきた。ダウンサイジング コンセプトの過給器エンジンとデュアルクラッチ トランスミッションを組み合わせたおなじみのパワートレーンをブラッシュアップし、軽量化されたボディに載せることで、良好な燃費を実現した。

2013年末に発表されたゴルフ ヴァリアントは、ゴルフのワゴン版。リアドアより前はハッチバックとおなじデザインで、リアオーバーハング部分が専用デザインとなっている。2,635mmのホイールベースはハッチバックと同一。ハッチバック同様、フォルクスワーゲンの高いプレス技術が駆使されており、ボンネットフードやボディサイドのキャラクターラインの鋭さには感心させられる。

1.2リッター直4ターボの「コンフォートライン」と、1.4リッター直4ターボの「ハイライン」が設定される。ハッチバックにある廉価版の「トレンドライン」は、現時点ではバリアントには設定がない。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント 03

試乗したのはコンフォートライン。最高出力105ps/4,500-5,500rpm、最大トルク17.8kgm/1,400-4,000rpmと、ピークパワー&トルクこそ控えめながら、エンジンがもてる実力のほとんどを低い回転から広い範囲で発生するため、1,300kgの軽量ボディを走らせるにはじゅうぶんだ。小さいエンジンで(サイズのわりに)軽いボディを効率よく走らせるのはとても知的な行為に感じられ、隣にV8エンジンを搭載したハイパフォーマンスカーが並んでも全然悔しくない。それどころか「いろいろ大変でしょう」と声でもかけたくなる。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフ ヴァリアントに国内で試乗(2)

じゅうぶん過ぎる省燃費性能

クルマの動きはハッチバックそのものといっていいほどちかい。街中での軽快さと高速道路での直進安定性の高さが高い次元でバランスされている。ゴルフはエコカーに分類して差し支えない燃費性能を誇るが、乗ってたのしいという意味では、ほかの多くのエコカーとは一線を画す。と言っても、スポーティーというわけではない。正確な動きに徹してくれるのだ。ステアリングを切れば切ったぶんだけ曲がり、そのさいのロールも乗員が想像する通りの量とスピードで不快さがない。ペダルはアクセルもブレーキも軽く、踏力はほとんど不要だがコントローラブル。外国の雑誌がよく「precise」と書くタイプのクルマだ。

コンフォートラインには、ダンパー減衰力やパワステの特性を変化させられるDCC(アダプティブ シャシー コントロール)をオプション装着することができない。ハイラインのみにオプション設定される14万7,000円のDCCは、とくに「コンフォート」の状態で走ると非常に快適で、そのためだけにハイラインを選ぶというひとがいてもおかしくないほどの装備だが、そなわらなくてもダメというわけではない。コンフォートラインでも選べたら最高なのにな。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント 10

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント 11

先代の1.2リッター直4ターボと排気量はおなじだが、2バルブSOHCから4バルブDOHCへとヘッドが立派なものに取り替えられた。その進化はパワーアップではなくすべて燃費向上に振り向けられ、JC08モード燃費は60kg軽いハッチバックと同じ21.0km/ℓをマーク。ちなみに、よりハイパワーのハイラインは19.5km/ℓ。じゅうぶん過ぎる。

ハッチバックとバリアントでは、同じ「コンフォートライン」「ハイライン」というグレード名でも細かい装備が異なる。端的に言うと、バリアントのコンフォートラインはハッチバックより装備を削ることでわずか5,000円高いだけの269万5,000円に抑えられているいっぽう、ハイラインは装備を充実していて、ハッチバックよりも23万5,000円高い322万5,000円に設定される。

コンフォートラインとハイラインの価格差53万円の理由は、一番はエンジンが1.2リッターか1.4リッターか、次が「アダプティブ クルーズ コントロール」や「レーンキープ アシスト」などの安全装備が標準装備か否かといったあたりにある。そのほか、ハイラインはパドルやオーディオコントロール付きのステアリングホイールが標準装備で、ヘッドランプもバイキセノンとなる。タイヤ&ホイールサイズもことなる。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

ゴルフ ヴァリアントに国内で試乗(3)

抜きんでた実用性

今回のバリアントで特筆すべきはラゲッジ容量の大きさ。先代の505リットルから一気に100リットル増しの605リットルとなった。より車体が大きいマツダ「アテンザ」のワゴンが506リットル、スバル「レガシィ」のワゴンが520リットル、トヨタの5人乗り「プリウスα」が535リットルということをかんがえればわかるように、先代の505リットルだって決して不満が出る容量ではなかった。だが、新型は先代やライバルを大幅に引き離しただけでなく、勢い余って上級モデルのパサート・バリアント(603L)までも上回ってしまった。ゴルフ ヴァリアントの実用性が際立つというもの。

コンフォートラインにオプション、ハイラインに標準装備のアダプティブ クルーズコントロールとレーンキープ アシストは、自動運転一歩手前の便利アイテムだ。個人の経験の範囲で述べると、ゴルフ ヴァリアントのアダプティブ クルーズコントロールの前車を認識する能力はまずまず。

レーンキープ アシストの白線を認識する能力は非常に高い。クルーズコントロールは、わりと急にその機能を作動させたくなるものだが、ゴルフ ヴァリアントはステアリングスイッチですぐに呼び出すことができる。

Volkswagen Golf Variant|フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント 34

ゴルフ ヴァリアントは、とことんまじめなエンジニアリングを突き詰めて到達した、クルマのお手本のようなクルマだ。ハッチバックとくらべ、広大な荷室以外に特別な部分はないので、広い荷室が必要ならヴァリアント、必要なければハッチバックを素直に選べばよいと思う。いま、ひとにオススメしてもっともまちがいのないクルマだ。

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Volkswagen Golf Variant TSI Comfortline│フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントTSIコンフォートライン
ボディサイズ│全長4,575×全幅1,800×全高1,485mm
ホイールベース│2,635mm
トレッド│1,545/1,515mm
最低地高│140mm
最小回転半径│5.2m
エンジン│1,197cc 直列4気筒 DOHC ターボ
最高出力│77kW(105ps)/4,500-5,500rpm
最大トルク│175Nm(17.8kgm)/1,400-4,000rpm
トランスミッション│7段DSG
駆動方式│FF
タイヤ│205/55 R16
ブレーキ前/後│ベンチレーテッドディスク/ディスク
サスペンション前/後│マクファーソンストラット/トレーリングアーム
燃費(JC08モード)│21.0km/ℓ
価格│269万5,000円

Volkswagen Golf Variant TSI Highline│フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントTSI ハイライン
ボディサイズ│全長4,575×全幅1,800×全高1,485mm
ホイールベース│2,635mm
トレッド│1,535/1,510mm
最低地高│140mm
最小回転半径│5.2m
エンジン│1,394cc直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ
最高出力│103kW(140ps)/4,500-6,000rpm
最大トルク│250Nm(25.5kgm)/1,500-3,500rpm
トランスミッション│7段DSG
駆動方式│FF
タイヤ│225/45 R17
ブレーキ前/後│ベンチレーテッドディスク/ディスク
サスペンション前/後│マクファーソンストラット/4リンク
燃費(JC08モード)│19.5km/ℓ
価格│322万5,000円

フォルクスワーゲン カスタマーセンター
0120-993-199

           
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