CITROEN DS3 (東京編)|デザイン性豊かな心地良い場所を探しに
CAR / FEATURES
2015年3月12日

CITROEN DS3 (東京編)|デザイン性豊かな心地良い場所を探しに

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@TOKYO

デザイン性豊かな心地良い場所を探しに(1)

クルマは楽しいほうがいい、と言わんばかりの主張あるモデルが、フランス生まれのシトロエン DS3。2ドアハッチバックだが、荷物をたくさん積めて、おとなが窮屈な思いをせずに乗れて……と機能にくわえ、ほかのどんなクルマにも似ていないボディデザインが特徴的。スタイリッシュで、かつ、斬新。ビークルパーソナライゼーションなるコンセプトも注目で、ルーフとボディが2トーンで、組み合わせの自由度も高い。自分だけの1台になる。キーワードはアンチレトロ。過去を振り返っているのではなく、未来へ目を向けようという。どこへでも乗っていきたくなるDS3と、東京の最先端をめぐるドライブへ出た。

文=小川フミオ写真=五十嵐隆裕

アンチレトロな東京ガイド

シトロエン DS3のユニークさは、ファンクショナルでスタイリッシュという、まったく異なるような要素を合体させたところ。それがあたらしいクルマとして結実した。これまですべてのモデルに「C」ではじまる車名をつけてきたシトロエンが、初めて「DS」とつけたのは、現在の多様化するライフスタイルに合わせて、提案型のクルマを作りたかったからという。ハッチバックの機能性とクーペの優美さを併せ持つDS3は、あらゆる場面で楽しいクルマに仕上がっている。

シトロエン DS3は、1.6リッターの「Chic(シック)」と、よりパワフルな1.6リッターターボの「Sport Chic(スポーツシック)」の2本立て。前者は快適性を志向するユーザーに、後者はマニュアルトランスミッションも用意され、運転を積極的に楽しむユーザーにと、テイストに合わせたモデルラインナップとなっている。ボディ色とルーフ色の組み合わせのバリエーションが豊富なのも特徴で、同色も選べるいっぽう、たとえば「ブル・ボッティチェッリ」とよばれる淡い水色の車体に、「ブラン・オパル」なる白色のルーフを組み合わせるのも可能だ。さらにドアミラーがルーフと同色に、ホイールのセンターキャップがボディと同色になるなど、ディテールへの気配りも徹底している。

DS3はアンチレトロというキーワードが示すとおり、未来を向いたクルマだ。しかしじつはそこに、過去との強いつながりが、ひとつある。それは、1955年に発表されてパリをはじめ世界中のひとを驚かせた「DS」というプレスティッジサルーンとの、イメージの関連性だ。かつてのDSが、弾丸を思わせるスタイリングとともに、サスペンションの緩衝機構、ステアリング、ブレーキとすべてのシステムを油圧のパイプでつなぐという斬新なメカニズムにより、アバンギャルド(前衛)と言われた。

DSの強い存在感に近いものが、2009年に発表されたDS3からも感じられる。おなじように、すぐれて現代的でありながら、過去との関連性を感じさせる施設が、探すといくつもある。それを訪ねてDS3を走らせた、アンチレトロな東京ガイドだ。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@TOKYO

デザイン性豊かな心地良い場所を探しに(2)

建築家 隈研吾の手によって生まれ変わった『根津美術館』

歴史を斬新な容れ物にうまく閉じこめたともいえるのが、南青山『根津美術館』だ。美術収集に秀でた実業家であった初代根津嘉一郎のコレクションを一般公開するために、1941年オープンした美術館。日本をはじめ、東洋の美術品で構成されていて、なかには国宝7件、重要文化財87件がふくまれる。

コレクションはそのままで、建物が「新創開館」したのが2009年10月。あたらしい建物を手がけたのは、建築家、隈研吾だ。金属とガラスを大胆に使いながら、竹林や庭園とも共存するという、美しいスタイルが評判を呼んでいる。

「表参道から美術館に至るシークエンスは茶室の露地であり、都会の喧噪から静寂なアート空間へと人々をカームダウンする大事な空間なのです」。これは隈研吾が語る建物のコンセプト。広い空に対抗するような巨大な屋根は、現代的な素材でできているのだが、どことなく東大寺などを生んだ奈良時代の天平のイメージを呼び起こす、おだやかでかつ力強い存在感が印象に強く残る。あたらしいブランドによるブティックやレストランがつぎつぎに生まれる青山の通りを、茶室の露地に見立ててしまう感覚といい、古き時代の美術品をきれいに展示した美術館に、みごとにあたらしい息吹を吹き込んだといえる。まさにアンチレトロ。これからの美術館の在り方において、ひとつの指針になるのではないだろうか。

青山とクルマの相性はいい。何に乗っているか、通行人からもチェックされるような、モード感覚の強いところだ。オープンカフェもある細い通りを走ると、シトロエン DS3の印象的なデザインは、笑顔で迎えられる。主張を大事にする、欧米のような感覚をもつひとたちがいる街に、DS3はとくに似合う。かつ、コンパクトな外寸の車体は取り回しがよく、それでいて、のぼりくだりのある地形と、そこを通る屈曲の多い道路でも、まことに使い勝手にすぐれる。その意味では、目立ちながらも溶け込む、という、まことに得難い性能ぶりを見せてくれる。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@TOKYO

デザイン性豊かな心地良い場所を探しに(3)

伝統とモダニズムの融合を随所に感じるレストラン『アクアヴィット』

美食もクルマと相性がいい。欧米ではレストランにクルマを乗りつけるのは、傍から見ていても美しいと思える光景だ。日本で数少ない、クルマで行きたいレストランが、東京・北青山の『アクアヴィット』だ。モダンスカジアビアン・キュイジーヌを標榜するだけあって、まるで欧州のように丁寧に敷石が並べられたクルマ寄せをもつ。

アクアヴィットは、ニューヨークで人気を呼んでいる北欧レストランの東京店だ。ガラスを多く使い採光のよい室内は、生の感触をもつウッド、磨かれたメタル、ひんやりとした印象のガラスと、異素材が組み合わされている。美しい北欧家具が並び、テーブルは優しい手触りのウッドであるのに対して、チェアはレザーとクローム。コーディネートじたいが、オリジナリティの高いモダニズムの表現となっている。

「現代のスカンジナビア料理は、フランス料理をベースにしながら、独自の調理法や素材を採り入れたものといえます」

そう話すのは、本国での修業経験もあるアクアヴィットの津留見和彦シェフ。

「たとえば当店では脂がのったノルウェイサーモンを使ったりします。フランス料理がベースといいましたが、北欧で好まれる食材のおいしさを引き出すためには、北欧のやり方を採用することもあります。たとえばスウェーデンでは砂糖を使います。欧州では異色ですが、日本料理も砂糖やみりんを積極的に使うので、ここの料理は意外かもしれませんが、日本料理の好きな方に受け入れやすくなっています」

CITROEN DS3|シトロエン DS3|アクアヴィット

モダンな要素が、フランスや英国ほど日本で知られていないスカンジナビアの距離を近く感じさせてくれる。これもノーバウンダリー、境界がなくなったといわれる現代の文化の在り方の象徴といえるかもしれない。シトロエン DS3は個性的でありながら、じつは、乗ったひと誰も幸せにする力をもつ。それとも近い。あたらしさのなかに本質的なよさを見るのは、アンチレトロの魅力に通じるものでもある。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@TOKYO

デザイン性豊かな心地良い場所を探しに(4)

ホテル内にモダンなアート作品が点在する『グランド ハイアット 東京』

歴史ある街に、デザインやアートを軸に現代性をもちこんだという点では、グランド ハイアット 東京の存在感が光る。この最高級クラスのホテルが位置するのは六本木ヒルズの一角。通りからはライトブラウンの外壁が印象ぶかいが、一方、六本木ヒルズの商業コンプレックスのほうから見ると、ホテルの建物がみごとに六本木ヒルズと合体している。通路から、「あそこにある緑が多い気持ちよさそうな空間なんだろう?」と見ると、グランド ハイアット 東京のレストランだったり。建物の中にある建物とでもいうような在り方が、都会的な居心地のいい場所と感じられる。

グランド ハイアット 東京のオープンは2003年4月。いまも魅力は薄れていない。デザインを手がけたトニー チー氏が「市場をイメージした」というように、生の野菜が並び、横にはエージングのためにガラスの貯蔵庫に収められた牛肉が食欲をそそるレストラン「けやき坂」。いきおいよく踊るようなガス燈の炎がひときわ目を惹くバー「マデュロ」。ともに、料理やドリンクもさることながら、空間としても強く心に残る。

グランド ハイアット 東京の特徴は、くわえてアート。六本木ヒルズには美術館があるし、街を歩くと意外なところにアート作品の展示を発見することもある。同ホテルでも、1階エレベータホールにジュン カネコの巨大な頭部をモチーフにした作品。約200点のコンテンポラリーアートが処々に置かれているそうだ。都市とホテル、ともにつねに新鮮な空気を呼吸しているように思える。アートの功績だ。

アート作品のなかでとくに人気が高いのは「神殿」前ホワイエに展示された千住博作「ウォーターフォールズ」という。通路を抜けて、暗い背景に浮かびあがるように出現する滝をモチーフにした作品は、一瞬、息をのむ迫力だ。この神殿のデザインを担当した杉本貴志氏が手がけた「グランドチャペル」も、杉板を組み合わせて直線の雨が降るような壁の作りと、もっとも高いところで16mという天井から吊られた巨大な十字架が圧倒的だ。

神殿と教会をモダンなテイストと合わせる――。この斬新な感覚が、不思議と居心地のよさにつながる。何を提供したいか骨太のコンセプトをもったクリエイターが作るものには、感動をよぶ「魂」が宿るということか。アンチレトロの本質のひとつは、こんなところにもあるかもしれないと思わせられる。

六本木ヒルズはじつは、意外にクルマとの相性がいいと思う。ブティックやレストランが並ぶけやき坂は短い距離だが、今の東京の贅たくな要素がぎっしり詰まっている。それを見ながらのドライブはほかでは味わえない体験になる。もうひとつ、六本木ヒルズ内部の円環状の連絡道路も、ホテルのエントランス、シネマコンプレックス、商業施設など魅力的な目的地をつなげていて、ここを走ることがすなわち心躍る体験となる。

CITROEN DS3|シトロエン DS3
CITROEN DS3@TOKYO

OPENERS Recommended Spot

CITROEN DS3|シトロエン DS3|根津美術館

<PLAY>
根津美術館
東京都港区南青山6-5-1
営業時間|10:00~17:00
月曜日、展示替期間、年末年始休
ただし月曜日が祝日の場合は翌火曜日休
Tel. 03-3400-2536
www.nezu-muse.or.jp/

CITROEN DS3|シトロエン DS3|AQUAVIT

<DINING>
AQUAVIT
東京都港区北青山2-5-8
営業時間|11:30~15:00/18:00~23:30
年中無休
Tel. 03-5413-3300
www.aquavit-japan.com/

CITROEN DS3|シトロエン DS3|グランド ハイアット 東京

<STAY>
グランド ハイアット 東京
東京都港区六本木6-10-3
Tel. 03-4333-1234
tokyo.grand.hyatt.jp

           
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