サントスの精神を体感する、サンフランシスコへの旅Vol.2|CARTIER
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2018年11月19日

サントスの精神を体感する、サンフランシスコへの旅Vol.2|CARTIER

Cartier|カルティエ

編集大魔王 祐真朋樹 
サントスの精神を体感する、サンフランシスコへの旅Vol.2

イノベーションの聖地・サンフランシスコで開催された「サントス ドゥ カルティエ」のNEWコレクションのローンチイベント。2日目の夜は、いよいよメインとなるパーティへ。編集大魔王のスタイリングにも注目!

Report,Text,Snapphotos by SUKEZANE TomokiPhotographs by YABUKI Takemi〈W〉Edit by HATAKEYAMA Satoko

【2日目】

翌朝は再び会場へ。そして勇気を出して〈Social LAB〉に参加してみたが、残念なことに僕は英語が不得手なので早々に退散。日本人チームでチャイナタウンへランチに向かう。チャイナタウンへ向かう途中、GQの鈴木編集長が「サンフランシスコのチャイナタウン~♫、って歌があるよね?」とつぶやいた。僕が即座に「知ってます!♫サ~ンフランシスコのチャイナンタ~ウ〜ン~♫、ですよね?!」とワンフレーズ歌ったら、バス内は凍り付いたかのように静まりかえった。

次の瞬間、オリジナルの楽曲が誰かの携帯から流れてきた。車内が静かだったのはググっていたからだった。渡辺はま子の歌声が流れて、僕のハモリは歌詞&音程ともに間違っていたことに気がついた。そして、曲のタイトルを見て、サンフランシスコを「桑港」と書くことも初めて知った。

向かったレストランは予約をとらない人気店。並ぶのを覚悟で向かったが、ランチタイムで人数も多かったので、もちろん待たされた。途中、ローカル客一組に抜かされたが、GQの鈴木編集長が、アメリカ人より上手な英語で店に強くクレームを入れてくれたおかげで、理不尽で悔しい思いを抱えたまま、テーブルに着くことは避けられた。

それにしても、毎回サンフランシスコに来て感じるのは、アメリカなのに食べ物が美味しいってこと。全体的に、基本、アジアンベースの味付けや風味になっていることが多い。フレンチやイタリアンへ行っても、アジア人好みな味付けになっているような気がする。おそらくアジア系の住人の占める割合が多いからだと思う。そのためか、ニューヨークやロサンゼルスでよく経験する、“大きくて美味しくない店”へは過去一度も行ったことがない。

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ランチの後はホテルに戻った。部屋に用意されていたのは、アルベルト・サントス=デュモンのポストカード三枚。ツバの大きいハット、タイトなジレ、Aラインのマキシコート、ロングシルエットなスーツ、首を見せないハイカラーのシャツに、緩めのタイドアップ、そして厚みのある髭。それらすべてが、彼のエレガントなオーラと一体化している。

僕はその三枚のカードをしばらく凝視してしまった。飛行家である前に、お洒落な男であったことがわかる彼の写真が心に刺さる。1900年前後に、ブラジルの珈琲農園からパリの社交界へ飛び込んできたアルベルト・サントス=デュモン。彼の冒険心とチャームな内面が、この三枚の写真からダイレクトに伝わってきた。

田舎者が大都会へ来て文化人を驚かせるストーリーを聞くと胸が焦げるような思いがする。都会のコンサバティブな思想や常識を、思いもかけない方法でひっくり返してしまう田舎者。そんな、侍のようなアルベルト・サントス=デュモンの魅力に惹かれたルイ・カルティエ。

彼の純粋で懐の深い人格にも大いに興味を持った。こんな男たちが今の時代にいたら、みんな憧れること間違いなしだと思う。その後、ジェイク・ギレンホールを起用したスペシャルムービーを鑑賞。「なるほど。現代のスタイルだとこうなるのか〜」と、映像美にすこぶるシビれた。

夜はモロッコ料理レストランmouradへ出掛けた。何故にサンフランシスコでモロッコ料理?と思いながら行ったのだが、美味しかった。なんでも、世界で初めてモロッコ料理でミシュランの星を取ったシェフ、Mourad Lahlou氏の店なのだとか。このシェフのパイオニア精神は、アルベルト・サントス=デュモンのそれに共通するのかもしれない。

mouradは、店の内装、スタッフの雰囲気、そしてもちろん料理も、すべてが洗練されていた。僕が想像していたのは、昔パリでよく連れていかれたクスクス屋のエスニック感だったが、mouradは、香辛料の入れ物から出し方まで、ことごとくスタイリッシュでクールだった。

mouradでは、真向かいに座ったリヒトと半年ぶりに話しをした。リヒトは東京とポートランドを半月ごとに移動する生活を送っている。彼からはポートランドでのカントリーライフの楽しみと退屈事情の両方を聞いた。毎月、東京とポートランドを往復する生活は、ジェットラグでさぞ大変だと思うが、少し羨ましい。

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Stéphane Feugère © Cartier

食事が終わると、いざレッドカーペットが敷かれた会場へ。パーティールックは、グッチDIYで作ったボウブラウスをスーツに合わせた。ボウブラウスを着るのはこの日が初めて。ボウの結びを迷っているうちに、フォトコールへも呼ばれ、慣れない場所で慣れない笑顔を作った。僕はいつまでたっても、このブランドロゴが入ったボード前での撮影には一向に慣れることができない。50を過ぎても大の苦手である。

その撮影の後はパーティーホールへ。フィンガーフードにシャンパン、ウオッカトニックと共に、ライブ演奏に浸る。ほどなく「フェニックス」が出てきた。

15年ほど前、エディ・スリマンがディオールオムのコレクションを東京でやったときに彼らを連れてきたのを思い出した。その時も同じように大きな箱を作ってやっていたな〜。そして、やっぱり隣にはリヒトがいたな〜。と、フラッシュバック。シャンパン、ウオッカ、ドラム&ギター音とともに夜は更けていったのでありました。

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