「着楽に、ベスト!」
世のトレンドとは一線を画す独自の視点で選んだアイテムを、編集大魔王の洒脱な解説ともに紹介する話題の新連載。第二弾となる今回は、秋一番に手に入れたいボリューミーな『キルティング・ベスト』をチョイス。「まだ暑いのに綿やダウン入り?」と敬遠するなかれ。旬のボトムに好相性のトップスとして、また、予想外な着こなしに使えるアイテムとして必見です!
Direction & Select by SUKEZANE TomokiPhotographs by YAMAGUCHI KenichiStyling by KAWAI Kota Text by HATAKEYAMA SatokoGrooming by 大東京
vol.2 キルティング・ベスト【kwɪ́ltɪŋ vést】
祐真 今回のベスト7は、『キルティング・ベスト』。ダウンやプリマロフトなどの中綿入りで、キルティングがほどこされたベストをラインナップしています。
僕自身、去年の秋冬はフレアパンツをよく穿いていて、春夏シーズンが終わりそうな今の季節、なんとなく「今年もフレアを穿こうかな」という気分になっています。そうすると合わせるトップスをどうするかということになるのですが、シルエット的に良さそうだなと気になっているのが、適度なボリュームがあって着丈の短いキルティング・ベストです。
防寒性があってヘビーデューティなイメージもあり、スポーティなアイテムの代表格でもあるこのアイテム。カジュアルな着こなしももちろんアリですが、僕自身はスラックスやレザーシューズをあわせて、フォーマルに寄った着こなしをしたいなと思っています。今回選んだベスト7も、そういったスタイリングを前提にした視点でセレクトしています。
TOM FORD|トム フォード
祐真 トップの画像で着用しているベストがこれ。去年買った同ブランドのフレアパンツに合うものがないかなと探していたら、秋冬の定番として継続しているこのベストがぴったりハマりました。薄めのキルティングとシックなデザインが、フレアパンツにドンピシャ。黒のタートルニットはこの撮影のため、急きょ前日に買ったバレンシアガです。
MONCLER GAMME BLEU|モンクレール ガム・ブルー
祐真 これは自分的に最も理想的なシルエットで、着丈のバランス、ボリューム的にも完璧。フロントのスナップボタン&ファスナーを開けた時の感じもさりげなくて好き。この冬、いちばん欲しいと思っているキルティング・ベストです。
MONCLER|モンクレール
祐真 前身頃がヴィンテージ風のムートン、後ろ身頃が曲線のキルティングという意表をついたコンビネーション仕立て。ハードなようでいて後ろ姿はスポーティというギャップがユニークな一着です。ざっくりしたバルキーニットやアランニットの上に羽織っても良さそうです。
THOM BROWNE|トム ブラウン
祐真 着丈が短くて軽いのと、こういうアイテムには珍しいスクエアなキルティングがスタイリッシュ。トム ブラウンのライトグレーのスーツの上にレイヤードしても似合いそうだし、薄いのでコートの中に合わせてもいい。オックスフォードシャツにネクタイをしてその上から羽織るなど、スタイリングのバリエーションが広がります。
BOTTEGA VENETA|ボッテガ・ヴェネタ
祐真 イントレチャートで切り替えた上質なレザーとナイロンのコンビネーションバランスに加え、ダークなモスグリーンの色合いがシック。ダウンベストらしからぬラグジュアリーな雰囲気は、黒やグレーのウールのフラノスーツにレイヤードしてこそ映えそうです。
COMME des GARÇONS JUNYA WATANEBE MAN|コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン
祐真 色合いがすごく好みです。ダートマスグリーン(編集部注:アメリカのダートマス大学のスクールカラー)を彷彿とさせて、ダウンのふくらみも70年代な感じ。こういうアイテムにはスラックスというよりも、やはりフレアのジーンズをあわせたくなってきます。実際に僕自身も持っているので、アメリカの青春映画的なノリでスタイリングしてみたいですね。
MONCLER|モンクレール
祐真 これぐらいの長めの丈だと、もはやベンチコート代わりに着られそう。それこそコートの上から羽織ってもいいのかもしれません。裾広がりで前後の丈のバランスもちょうど良く、着た時のおさまりも意外としっくり。なによりも腰をすっぽり包むのであったかいのがいいですよね。