連載・藤原美智子 2012年6月|朝型生活で人生を変えよう!
BEAUTY / THE EXPERTS
2015年2月20日

連載・藤原美智子 2012年6月|朝型生活で人生を変えよう!

2012年6月|“日の出とともに”のシンプルな人生に向かっていこう

「朝型生活で人生を変えよう!」

今月、私の新著が発売されました! タイトルは『美しい朝で人生を変える』(幻冬舎)。これは、いつも4時半から5時半の間に起床している私の朝時間の使い方のアレコレを綴ったエッセイ本です。ちょっと大げさなタイトルにおもわれるかもしれませんが、私、気持ち良い朝を重ねていくと人生が変っていく! と実感しているのです。手に取って読んでいただけるとうれしいです!

Photographs&Text by FUJIWARA Michiko

朝について56章からなる一冊の本

この本を書くきっかけになったのは、幻冬舎から発売されている『GINGER L。(ジンジャーエール)』(年4回発行の季刊誌です)という文芸誌に、私がエッセイの連載を受けもっていたことから。ある号で“朝”についてのエッセイを書いたところ、担当編集者から「おもしろいので、これで一冊書いてほしい」と依頼を受けたのだ。「朝のテーマだけで一冊なんて、書けるかなー」と少々不安を抱きつつも、いつもの自分の朝の行動と気持ちを思い起こしながら書き進めていったら、いつの間にか56章からなる一冊の本ができあがったという次第である。

ところで、私が朝型になったのは8年ほど前。それまでは20代のころからずーっと立派(?)な夜型人間だった。深夜2時前に寝たことはなかったし、ときには飲み遊びまわって朝帰りということも。朝は出かける間際に起きるので、いつもバタバタ。そんな私だったが40歳のころから、「いつかは日の出とともに起きて、日の入りとともに寝るという生活を送るようになりたい。そうしたシンプルな日常を満足するひとになりたい」という夢をもつようになった。そのためにもいまは、興味をもったことはなんでもしてみよう! とおもい立ち、そして行動するようになった(それ故、より遅寝遅起になった!?)。なぜなら、そんな人生を迎えることになったとき、「あれも、やっておけばよかった。これも、やればよかった」と後悔したくないと思ったからだ。でも“日の出とともに~”は“いつかは”のことであり、それこそ夢であり現実的なこととは捉えていなかった。というよりも捉えられないでいた。

この私が毎日朝早くなんて起きられるの?

そんな私が8年前に朝型に切り替えたのは、やむを得ない事情から。そのころ、メイクの教科書のような本(ちなみに改訂前の『パーフェクトメイク&ヘアバイブル』(講談社)という本です)を執筆していたのだが、これが書いても書いても終わらないというぐらいに大変な労力を要するものだったのだ。夏の終わりごろから書きはじめて冬に差しかかっても、夜遅く撮影から帰ってきてコートを脱ぐ暇も惜しんで、毎夜々原稿書きに追われていた。が、だんだん疲れが溜まってきたのだろう。翌朝、読み返してみると「あれー。これじゃー、ダメじゃん!」という原稿になっていることに気づき、時間のない朝に慌てて書き直すということが増えていった。そんなことを繰り返していたある朝、ハタと「こんなに二度手間になるんだったら、夜は書くのを止めて早く寝ちゃえばいいんだ。朝、早く起きて原稿を書けばいいんだ!」ということに気がついた。
──でも、夜だったら起きていればいくらでも時間は伸ばせるけど、朝は出かけるまでのあいだしかないから書ける時間は限られている。もし書けなかったら、どうする? それに、この私が毎日朝早くなんて起きられるの? という不安や、「もう夜、遊びにも行けなくなっちゃうの?」なんてことまで頭に浮かんだ。でも、このままでは締め切りに間に合わない。よし、やるしかない! ということで、私の朝型生活がはじまったのである。

どうやって朝型に切り替えたのか、あるいはそのコツなども今度の新著に書いてあるので、朝型に切り替えたいとおもっているひとはぜひ、参考にしてみてほしい。

断舎離や朝型のひとが増えている理由

それにしても『GINGER L。』に朝について連載の原稿を書いているときに気がついたのだが、私だけではなく最近、朝型のひとがどんどん増えているようだ。とくに、昨年の震災以来、さらに増えているような気がするのだが、どうだろう。

私の体験から推測すると、まず朝型になると“なんとなく”ということが減ってくる。たとえば、なんとなく夜の食事会や飲み会に付き合うとか、なんとなく夜遅くまでダラダラとテレビを見るとか。それが朝型になると夜は早く眠くなって“夜時間”が短くなるので、必然的になんとなくの付き合いまでは手がまわらなくなる。朝の時間というのもかぎられているので、なんとなくもボーッともしている暇はない。だからホントにしたいことや大切にしたいことなどに時間を割くようになる。そして、それがどんどん明確になってくるので“なんとなく”ということが少なくなるのだ。これは最近流行っている“”断舎離”(この連載でも2010年11月に取り上げています)と似ているとおもう。つまり、こうした整理整頓術が流行っていることや朝型のひとが増えているということはいま、何を大切にしたいのかをクリアにしたいというひとが増えていると言ってもいいのではないだろうか。

いまでも私にとって夜、皆と食事をしたりパーティに出かけたりするのは楽しいことのひとつだ。でも、それは“たまに”だからこその楽しさ。以前の私はそれが日常的なことでありもっとも楽しいこと(仕事以外……!)だった。そして、楽しんでいながらも虚しさも感じていた。いまならよくわかるが、それは積み重なる充足感ではなく一瞬の楽しさだからなのだ。そうしたおもいが無意識にも“いつかは日の出とともに”という夢を私に抱かせたのだろう。その実現が予期せぬことからはじまったのだから、人生ってホントにわからないものだ。これからも充足した朝を積み重ねていき、「日の出とともに」のシンプルな人生に向かっていけたらとおもっている。──その境地へはまだまだなんですけどね!

           
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